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教員が大麻・薬物で逮捕されたら?免許を剥奪されることはある?

教員が大麻

「教員として仕事をしているが、大麻・薬物事件を起こし逮捕されてしまった。教員免許を剝奪されることはあるのか」

こちらの記事では、現在教員として働かれている方が大麻・薬物の罪を犯してしまった場合、教員免許を剝奪される可能性について、また逮捕後の流れや、免許を失わないためにすべきことなどについても解説します。

教員が大麻・薬物により免許を失わないためには、早期に弁護士に相談することが重要です。

教員が大麻・薬物で逮捕されたら免許を剥奪される?

教員が大麻・薬物事件を起こした場合、教員免許を剝奪されたり、新たに取得できなくなることがあります。

教員は禁錮以上の前科がつくと免許を授与されない

教員が大麻・薬物に限らず何らかの罪を犯し逮捕された場合、教員免許や教員の職を失う可能性があります。

教員免許に関する制度を定めた法律である教育職員免許法は、5条1項3号にて、以下に該当する者には教員免許を「授与しない」と定めています。

三 禁錮以上の刑に処せられた者

教育職員免許法5条

大麻・薬物に関する主な罪は全て懲役刑以上となっており、起訴され刑が確定した場合はほぼ確実に免許を失うことになります。

また不起訴になったとしても、特に罪を認めている場合などでは以下のように懲戒処分を受け、免許を失う可能性があります。

教員が逮捕された場合の処分

教員が逮捕された場合、懲戒処分を受けることがあります。処分は各都道府県の教育委員会が、もしくは私立学校の場合は各学校法人が行います。

その結果として「懲戒免職」の処分を受けた場合、教育職員免許法10条は、「その免許状はその効力を失う」としています。

東京都教育委員会がホームページ上に公開している「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」によると、「麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した場合」もしくは「医薬品医療機器等法又は東京都薬物の濫用防止に関する条例により指定されている薬物を含む危険ドラッグを所持又は使用した場合」は、免職の処分となることが定められています。

教員が大麻・薬物で逮捕された後の流れ

大麻・薬物で逮捕された後は、どのような流れで刑が確定するのでしょうか。

大麻は初犯であっても逮捕が行われます。軽微な犯罪であれば微罪処分として釈放し事件を終了することもありますが、大麻の場合は困難であるケースが多いです。

また大麻・薬物は証拠隠滅を疑われやすい罪であるため、逮捕後は原則として勾留が行われます。アトム弁護士事務所の統計でも、勾留率は大麻で83%、覚醒剤では100%に上ります。勾留されると起訴・不起訴の判断が下るまで最長で20日間の身柄拘束が続き、家族との面会も不可能となる接見禁止がつく場合も多いです。

勾留の後は検察官により起訴・不起訴の決定がなされ、裁判により罪が確定します。

大麻・薬物事件の逮捕の流れの詳細は、こちらの記事『大麻で逮捕されたら|逮捕の条件とその後の流れ』もご参照ください。

教員が大麻・薬物で免許を失わないための正しい対処法

前科とは起訴され刑事裁判で有罪が確定することをいいます。日本においては、起訴された場合の有罪率はほぼ99.9%に上るため、前科がつくことを避けるためには刑事裁判が開かれなくなる不起訴処分を得ることが重要です。

被害者のいる犯罪の場合、被害者と示談を締結することで不起訴処分を目指しますが、大麻・薬物事件はその性質上被害者は存在しません。そのため、不起訴を目指すためには職場・家族からの陳情を得る、薬物依存の治療、贖罪寄付などといった活動を行い、早期の釈放と前科の回避を目指すことになります。

このような活動を単独で行うのは困難であるため、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。

大麻・薬物の刑罰は?初犯より再犯の方が罪は重くなる?

大麻・薬物に関する罪で逮捕された場合、刑罰はどのようなものになるでしょうか。また再犯の場合、罪は重くなるのでしょうか。

大麻の所持・譲渡・譲受の刑罰

まずは大麻について見てみましょう。警察庁が公開している統計「令和元年における組織犯罪の情勢」によると、令和元年の薬物事犯検挙人員13,364人のうち、大麻による事犯は4,321人であり、全体の32.3%を占めています。

大麻に関する犯罪は、その犯行様態によって刑罰のパターンが変わることが特徴です。

免許等を持たずに個人で使用する目的で大麻を所持した場合や、大麻を売ったり買ったりした(譲渡・譲受)場合、以下の処罰が下ることが大麻取締法24条の2で定められています。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

大麻取締法24条の2

また所持・譲渡・譲受の中でも、個人使用でなく営利目的が認められた場合、刑罰は重くなることが同法同条の2の2項に規定されています。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

大麻取締法24条の2

大麻の栽培・輸出・輸入の刑罰

また大麻の栽培や輸出入を行った場合、以下のようなより重い処罰が下ることが定められています。

第二十四条 大麻・薬物を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。

大麻取締法24条

大麻の初犯と再犯の刑罰の相場

大麻取締法で禁止されている主な行為は、上で見たように所持、譲渡・譲受、栽培、輸出入の4つですが、いずれの場合も刑罰は懲役刑以上となっており、罰金刑以下となることはありません。

ただし、懲役刑の判決を受けても、初犯であり悪質性も低いとみなされた場合は執行猶予がつくことも多いです。しかし、逆に再犯となった場合は実刑となる可能性が高くなり、特に執行猶予判決を受けてから5年以内の再犯の場合はほぼ確実に実刑となります。

大麻以外の薬物の刑罰

大麻以外の薬物のうち、ここでは代表的なものである覚醒剤の刑罰をみてみましょう。「令和元年における組織犯罪の情勢」によると、令和元年の薬物事犯検挙人員13,364人のうち、覚醒剤による事犯は8,584人であり、全体の64.2%を占めています。

覚醒剤の刑罰は大麻よりも重く、所持・譲渡・譲受・使用でも10年以下の懲役、営利目的の輸出入・製造が認められた場合は最高で無期懲役となります。

その他の薬物の刑罰に関しては、こちらの記事『薬物事件で弁護士に相談するメリット|覚醒剤・大麻などで逮捕されたら』もご参照ください。

大麻・薬物で逮捕され有罪になると教員免許を失ってしまうことも

教員が大麻・薬物の罪で逮捕された場合は、起訴に至らなかった場合であっても懲戒処分により教員免許を失う可能性があります。

例を見ると、2020年4月、佐賀県の国立唐津海上技術学校に勤めていた元教員の男性が大麻0.174グラムを所持していたとして逮捕され、不起訴となったものの学校からは懲戒解雇となっていたケースがあります。

教員が大麻・薬物で免許を失わないために弁護士へ早期相談

教員が大麻・薬物に関する罪を犯したことにより前科がついた場合、免許の取り消しなどが行われる可能性があることがわかりました。

前科により免許を失わないためには、早期に弁護士に相談することが重要となります。

逮捕を避ける・早期釈放されるためのアドバイスを弁護士から受ける

先に見たように、大麻・薬物は微罪として終えることは困難であり、勾留率も高い犯罪です。そのため、まずは勾留を避け、早期に釈放されることを目指すことになります。

早期釈放のためには、家族の協力なども得ながら、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを弁護士に伝えることが重要です。

また、同居人や恋人などが大麻・薬物で逮捕され、自分にも嫌疑がかかっているという場合があります。そのような時は逃亡や証拠隠滅の恐れがないことや所持の事実がないことを弁護士を通じて主張し、逮捕の回避を目指します。

大麻・薬物所持などの事実関係を争い不起訴を目指す

法務省が作成している令和元年度版「犯罪白書」によると、大麻・薬物取締法違反での起訴率は年による変動が大きいものの、平成30年度においては50.8%となっています。同年の刑法犯全体の起訴率は37.1%(同白書)であるため、大麻・薬物取締法違反での起訴率はやや高いことがうかがえます。

大麻・薬物事件で不起訴処分となるのは、どのような場合が多いのでしょうか。具体的には、所持量が微量、違法性の認識が薄い、初犯である、治療を行っている、などのケースのほか、嫌疑不十分による場合もあります。

大麻・薬物事件において不起訴を目指すためには、犯行が悪質でないことや十分に反省して再犯の恐れがないことなどをしっかりと検察官に示すことが必要となります。

起訴された場合、保釈による釈放を目指して活動を行います。弁護人により保釈請求を行い、逃亡や証拠隠滅の恐れのないことが認められると、保釈決定が下り、保釈金を納付することで釈放されます。

保釈金については、こちらの記事『大麻事件の保釈金の相場はいくら?初犯でも再犯でも釈放される?』もご参照ください。

裁判では執行猶予つき判決を得て実刑を回避すること目指します。初犯で個人使用目的であれば執行猶予がつくことが多いですが、営利目的や常習性が認められた場合は実刑になるケースが多くなります。

大麻・薬物・薬物依存を治療して再犯を防ぐ

大麻・薬物は再犯率の高い犯罪です。厚生労働省のホームページ「大麻・薬物をめぐる現状」によると、平成28年度における検挙者に占める再犯者の割合は22.4%となっています。これは10年前の平成18年度に比べて2倍近い数字です。

そのため、罪を少しでも軽くするためには再犯防止のための取り組みをしっかりと行い、それを検察官や裁判官に示すことが必要となります。

具体的には、医療機関で治療を受け、「薬物のダルク」などの回復支援施設に入所して依存から回復するなどの取り組みを行います。弁護士や家族などと協力し、診断書やサポート体制などを証拠として提出することで、再犯防止の取り組みを明示するのです。

不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得で早期の社会復帰を目指す

教員が大麻・薬物事件で免許を失うのを防ぎ、一日も早い社会復帰を果たすためには、早期に弁護士に相談し、不起訴処分や執行猶予判決を得て、再犯防止の取り組みをしていくことが大切です。

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アトム法律事務所 所属弁護士