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公務執行妨害で逮捕されたら?示談や不起訴には弁護士依頼がポイント

公務執行妨害で逮捕

公務員に対する暴行・傷害などの公務執行妨害で家族が逮捕されたり、警察の事情聴取を受けたりすると、この先の対応で不安がいっぱいになってしまうものです。

公務執行妨害はどんな刑罰に問われる可能性があるのか、懲役刑・罰金刑など聞いたことはあっても具体的にイメージできない人も多いでしょう。

この記事では、大切な家族が公務執行妨害罪の容疑で逮捕された方に向けて、公務執行妨害の逮捕後の流れや刑罰を詳しく解説しています。

家族の突然の逮捕でどうすればいいのかお困りの方、または逮捕の可能性があり心配だという当事者の方は、まずアトム法律事務所の法律相談予約窓口にお問い合わせください。

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公務執行妨害の内容と刑罰

公務執行妨害とは?

公務執行妨害罪とは、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた場合に成立する罪です。

職務質問で呼び止められた警察官に暴行を加える場合などが典型例といえるでしょう。

警察官は、公務員として、治安維持や犯罪捜査などの職務を担っています。警察官に対する暴行は、これらの職務の執行を妨げる行為であり、公務執行妨害罪が成立します。

公務執行妨害は警察官に対するものがイメージしやすいですが、警察官だけに成立する犯罪ではありません。

どんな職種であっても、「公務員」の職務執行中に、暴行・脅迫を加えた場合に成立する可能性があります。

公務執行妨害と業務妨害は違う?

警察署へのいたずら電話などは公務執行妨害罪ではなく業務妨害罪に問われる可能性があります。公務執行妨害罪が成立するためには暴行・脅迫が必要になるからです。

公務執行妨害にあたるのか、業務妨害にあたるのかは、個別のケースによります。弁護士との法律相談を通して見解を聞くことも可能です。

業務妨害罪についてくわしく知りたい方は、関連記事をお役立てください。

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業務妨害罪での逮捕の流れと弁護士依頼のメリット!威力業務妨害・偽計業務妨害とは?

公務執行妨害の刑罰は罰金刑?

公務執行妨害罪の法定刑は、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。公務執行妨害は罰金刑になる可能性もありますが、罰金刑よりも重い刑罰が科される可能性もあります。

公務執行妨害で有罪判決を受けた場合、科される刑罰は「懲役刑」「禁錮刑」「罰金刑」のいずれかで、事案ごとに判断されるのです。

懲役刑と禁錮刑はどちらも服役が必要な刑罰ですが、両者の違いは、「刑務作業が課せられるかどうか」です。刑務作業を課せられる服役が懲役刑となり、刑務作業のない服役が禁錮刑と区別されます。

公務執行妨害ではなく傷害罪に問われる可能性もある?

職務を担っている警察官に暴行を加え、重度のけがを負わせた場合などは、公務執行妨害ではなく、傷害罪に問われる可能性があります。

警察官にけがを負わせた場合は、公務執行妨害罪と傷害罪の両方の罪に問われます。ただし、公務執行妨害罪と傷害罪は、「観念的競合」の関係にあります。

観念的競合とは、1つの行為によって複数の罪が成立する場合に、より重い方の刑によって処断する規定です(刑法54条第1項前段)。

公務執行妨害罪の法定刑は、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」ですが、傷害罪の法定刑は、「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

この場合は、傷害罪が公務執行妨害罪よりも重たい刑が設けられているため、傷害罪に問われるということです。

傷害罪に問われた場合は、最長で15年の懲役刑に科される可能性もあります。

傷害罪が適用された場合にどういった対応をすべきかは、弁護士との法律相談でアドバイスを受けることが有効です。関連記事でもくわしく解説しているので併せてお読みください。

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傷害事件|弁護士に無料相談で聞く「示談」「逮捕の流れ」「費用」

公務執行妨害で警察に逮捕されたら

公務執行妨害で警察に逮捕された後の流れは?

逮捕の流れ

公務執行妨害で警察に逮捕されると、48時間以内に警察から検察官に引継ぎが行われます。これが「送致」です。

送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を勾留すべきかどうかを検討し、勾留が必要だと考えれば裁判官に勾留請求をします

勾留請求が行われると、裁判官が被疑者本人と面談をして勾留するかどうかの判断を行います。

裁判官が勾留の必要性があると判断した場合は、10日間の勾留が決定します。

勾留期間は、警察署の留置施設にて生活をしながら警察の取調べを受けなければなりません。10日間で捜査が終わらなかった場合には、「捜査未了」として勾留を延長されることがあります。延長されると、10日を限度として、その範囲内で勾留が継続されます。

つまり、逮捕されると、起訴・不起訴の判断が下るまで最長で23日間の身体拘束を受ける可能性があるのです。

逮捕後の流れについての詳細は関連記事でくわしく解説しているので、参考にしてください。

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逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説

公務執行妨害は勾留される?

公務執行妨害は、逮捕された場合でも勾留されずに、当日や数日間で釈放されることが多いです。

警察官への暴行などは、一時的な感情の高ぶりによって起こしてしまうケースがほとんどです。

そのため本人が反省し、証拠隠滅や逃亡のおそれがないと判断されれば、早期釈放される可能性が高いでしょう。

しかし、公務執行妨害をした理由が複雑な場合や、計画的犯行の場合は勾留されることもあります。

公務執行妨害で前科がつく2つのケース

公務執行妨害で前科が付くケースは大きく2つあります。

前科は、検察官によって事件が起訴され、有罪判決を受けたときにつきます。

(1)略式起訴による罰金処分になる場合

略式起訴とは、検察官が通常の起訴よりも簡易的に被疑者の刑事処分を決める手続きのことです。

書類が検察庁と裁判所を行き来するだけで、書類審査によって即日罰金命令が出されます。簡易的な処分ではありますが、罰金処分を受けるため、前科がついてしまいます。

前科をつけたくないならば、略式起訴がなされる前に弁護士に相談して対応策を検討するべきです。検察庁に呼ばれた段階で、何らかの刑事処分が下されるまであまり猶予がありません。早急に弁護士との法律相談を受けてください。

(2)通常の裁判で有罪判決を言い渡された場合

起訴後に公開の法廷で刑事裁判を受け、判決で有罪を言い渡された場合も前科がつきます。

通常の裁判は略式起訴と異なり、通常の裁判は、たとえ容疑を全面的に認めていても、起訴されてから判決まで1か月以上の月日がかかります。執行猶予付き判決を受けた場合でも前科がつきます。

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公務執行妨害で逮捕後の弁護活動

早期釈放を目指す

公務執行妨害で家族が逮捕されてしまったとき、まず家族がするべきことは弁護士への相談です。刑事事件にくわしい弁護士であれば、身体拘束の必要性がないことを検察官や裁判所に主張します。

たとえば、逮捕の要件には「証拠の隠滅を図る恐れがあること」や「逃亡の恐れがあること」があげられます。いいかえれば、こうした要件を満たさないことを主張し、認められれば身柄拘束はなされません。

家族の監視があること、一家の大黒柱であること、罪に対して素直に認めていることなど、刑事事件にくわしい弁護士が有利な事情を文書にまとめ、身柄拘束が必要ないことを示します。

逮捕され、勾留されると数日間は自宅に帰ることができません。仕事や学業への影響も大きく、早めに手をうつ必要があります。

警察対応と並行して、勤務先への説明や学校への連絡なども家族が行わなければいけません。

突然の逮捕の知らせに、家族はどう動けばよいのかわからないものです。情報収集のために、まずは弁護士に相談し、警察署に面会へ行ってもらうことが先決です。

そして、早期釈放に向けて、すぐに弁護活動に着手してもらいましょう。早く釈放されれば、失職や退学を回避できる場合もあります

不起訴処分獲得で前科をつけない

公務執行妨害による前科を避けるために不起訴処分を獲得したい方は、弁護士選びが重要です。

公務執行妨害事件の保護法益は「公務の円滑な運営」であるため、公務執行妨害の被害者は、公務を侵害された国です。

そのため、暴行・脅迫を加えた公務員の許しを得れば処罰の必要性がなくなる、というわけにはいきません。

一般的には、公務執行妨害罪は示談による不起訴を獲得することができない犯罪類型です。

ただし、示談ができなくても、被害者へ謝罪を尽くす活動や、再犯防止策の徹底によって不起訴を得られることは十分あります。

2022年の検察統計では、公務執行妨害事件の起訴率は44.7%(798人/ 1,785人)となっています。

数多くの刑事事件を扱った弁護士であれば、公務執行妨害事件の解決に必要なポイントを熟知しており、被疑者に有利な事情を検察官にアピールすることが可能です。

公務執行妨害に問われる典型例

典型例1.警察官への暴行・傷害

警察官へ暴行罪・傷害罪に当たる行為をした場合が公務執行妨害の典型例です。

実際に暴行を加えるだけでなく、職務質問で警察官に呼び止められ、逃げようとして警察官を振り払う行為も公務執行妨害に該当する可能性があります。

また、警察官にツバを吐きかける行為も「暴行」にあたり公務執行妨害で検挙される可能性が否定できません。警察官の「職務」に向けられた暴行であれば足りますので、パトロール中の警察官の車両に対して石を投げる行為もこれに含まれます。

典型例2.警察官への脅迫

警察官への脅迫行為も、公務執行妨害罪を構成します。脅迫は、生命、身体、財産などに対して害を加える旨を告知して人を脅す行為です。

職務質問で呼び止めた警察官に対して、「殺されたくなかったら、このまま行かせろ」という発言は脅迫行為になります。

「家族を危ない目に遭わせたくなかったら逮捕を見逃せ」なども公務執行妨害を構成する可能性があります。警察官ともみ合いになった際、頭に血が上って脅迫行為をしてしまうこともあるでしょう。公務執行妨害は、突発的に起こることが多い傾向にあるといえます。

典型例3.警察署や市役所での公務執行妨害事件

他にも、警察署で騒いで迷惑行為を行ったり、市役所で騒音を出すなどの行為も公務員の職務を妨害する行為として公務執行妨害になる可能性があります。公務執行妨害で検挙されないにしても、建造物侵入罪など別の犯罪を構成することがあります。

その他、仕事中の警察官にレーザーを照射して前を見えなくする行為や、巡回で使われる警察官の自転車のタイヤをパンクさせる行為も公務執行妨害になる可能性が高いです。

実際に警察官がけがをしていなくても、「暴行」と認定され公務執行妨害として逮捕されることがあります。

公務執行妨害で逮捕された!逮捕の可能性がある!どちらも弁護士に相談

「ご家族を公務執行妨害の容疑で逮捕しました」そう連絡がきたら、頭の中が真っ白になるのも無理はありません。この緊急事態に、助けになるのは家族だけです。

冷静に、何をするべきかを整理してから行動することが大切です。まずアトム法律事務所の法律相談の窓口へ、お問い合わせください

あるいは、まだ逮捕はされていないけれど、今後どう対応するべきか不安だという方にも弁護士との法律相談が有効です。

想定される質問はどんなものか、事実についてどのように話せば誤解なく伝わるかなど、取調べ時のアドバイスを受けておくことは重要といえます。

アトム法律事務所では、24時間365日刑事事件加害者の相談予約を受け付けています警察の捜査を受けている事件では無料相談も可能です。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了