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覚せい剤大阪3

大阪高等裁判所判決/平成21年(う)第728号

主文

 原判決を破棄する。
 被告人を懲役5年及び罰金100万円に処する。
 原審における未決勾留日数中180日を上記懲役刑に算入する。
 上記罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 原審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

 本件控訴の趣意は,大阪地方検察庁検察官玉井英章作成の控訴趣意書(検察官において,17頁1行目の「被告人」を「目上の者」に訂正すると釈明した)に,これに対する答弁は,主任弁護人渡辺□修,弁護人下村忠利共同作成の答弁書に,各記載のとおりであるから,これらを引用する。
第1 原判決及びその説示の概要並びに控訴趣意の論旨及びその所論の概要等
1 原判決の概要
 原判決は,「被告人が,A(以下「A」という)及びB(以下「B」という)と共謀の上,営利の目的で,みだりに,平成19年12月14日,大阪市西成区内の路上において,覚せい剤結晶約9.105グラム(以下「本件覚せい剤」という)を所持した」旨の本件公訴事実について,Bが営利の目的で前記日時場所において本件覚せい剤を所持していたこと及び本件覚せい剤の営利目的所持につきAとBとの間に共謀が成立していたことについては認められるが,本件覚せい剤の営利目的所持につき被告人とA及びBとの間に共謀が成立していたことについては,検察官がこれを推認させる間接事実として主張した,①被告人が△△組組長としてA,Bら同組組員を支配していたこと,②△△組は組ぐるみで覚せい剤の密売をしており,被告人は組長として覚せい剤の密売利益を受領していたこと,③被告人は,A及びBが覚せい剤の密売をしていることを認識,認容し,組長として,AからBの覚せい剤の密売利益を受領していたこと,④被告人は,Bが本件覚せい剤を所持していることを認識,認容していたことについて,①についてはこれが認められ(ただし,BはAの舎弟ではあるが,正式な組員ではない),②については,平成17年当時のこととしては推認できるものの,平成18年12月ころ以降の状況としては認めるに足る証拠はなく,③④についてもこれを認めるに足る証拠はないから,結局,本件覚せい剤の営利目的所持につき被告人とA及びBとの間に共謀があったと認めることができないとして,被告人に無罪を言い渡した。
2 控訴趣意の論旨の概要
 論旨は,要するに,原判決は証拠の取捨選択及びその評価を誤っており,被告人がA及びBとの間で少なくとも黙示的には意思連絡を遂げていて,本件覚せい剤の営利目的所持につき被告人とA及びBとの間に共謀があったことが認められるのであるから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある,というのである。
3 原判決の説示とこれに対する所論の各概要
(1) まず,原判決の説示のうち,「平成17年当時,被告人が△△組の組ぐるみの覚せい剤密売に関与していたことは認められるものの,その覚せい剤密売は同年11月に中断してしまい,本件覚せい剤の営利目的所持に連なるA及びBによる覚せい剤密売が始まるのは,平成18年12月ころ以降であるし,関わる人物も,Aが共通であるほかは異なっている。その上,平成19年3月ころ以降,△△組は組事務所もなくなり,組員としても,本件当時はAとCのみになっていたことからすれば,平成17年当時の覚せい剤密売への関与によって,A及びBによる平成18年12月ころ以降の覚せい剤密売についての被告人の認識,関与,ひいては,本件覚せい剤の営利目的所持の共謀を直ちに推認することはできない」との部分に対し,所論は,確かに,平成17年当時の△△組の組ぐるみの覚せい剤の密売のうち,A,D及びEによる覚せい剤の密売は,同年11月,関係者の検挙等により消滅したと認められるが,当時の覚せい剤密売の中心人物であったAを始め,ほかの組員による密売が行われなくなったという事情もなく,特にAを中心とした覚せい剤の密売は,同年11月以降も継続し,それがBの申出により,平成18年12月以降,A及びBによる覚せい剤密売が行われていたことは明らかであり,原判決はこうした実態を無視したものである旨主張する。
(2) 次に,原判決の説示のうち,「検察官がB証言(Bの原審公判供述を意味する)に基づき,被告人がBに対し,Aの下で覚せい剤の密売をしていることを前提とした言動をしているとか,Aが覚せい剤の売上げについて電話で話していたのは,被告人に対する報告以外に考えられないと主張する点については,被告人の供述も踏まえると,検察官主張の事実を認定することができなかったり,認定することができたとしても多義的であったりして,検察官の主張をそのまま受け容れることはできない」との部分に対し,所論は,①B証言のうち,平成18年12月にAの下で覚せい剤密売を始めるに当たり,Aから被告人に紹介されたなどという点については,Bがそれ以前に被告人と会ったときのことと記憶を混同させているような可能性はないのであるから,原判決がB証言の上記部分を採用しなかったのは誤りである,②B証言のうち,被告人から職務質問に遭わないように注意されたり,被告人から気をつけて頑張るように激励されたりしたという点については,それらの際に覚せい剤の配達や密売という言葉が出ていなかったとしても,BがAの下で覚せい剤密売を始めるに当たりAから被告人に紹介されるなどしていたことを併せ考えれば,上記の注意や激励がB証言がいうように覚せい剤密売に関するものであることは明らかであるから,これらをBの覚せい剤使用に対する注意であるという被告人の供述も直ちに排斥し難いとか,被告人がBに対してほかの仕事を含めて一般的な激励の趣旨を述べたに過ぎないとみる余地があるなどと,原判決が判断したのは誤りである旨主張する。
(3) また,原判決の説示のうち,「検察官は,被告人が,本件当時,無職であり,△△組における覚せい剤密売以外にさしたる就労収入がなかったことを,本件共謀の間接事実の1つとして主張する。確かに,被告人が以前から行っていた探偵業務による収入にめぼしいものがなかったことは事実である。しかし,被告人は,公判廷において,平成19年当時,無許可,無登録で総額約700万円を暴力団幹部10人くらいに高金利で貸し,月額50万円くらいの利益を上げていた旨供述しており,この供述が虚偽であると断定することはできない」との部分に対し,所論は,その貸付け形態からすると必ず存在すると認められる帳簿等が存在しないこと,被告人に多額の負債があり自己資金で貸金業を営んでいたとする被告人の供述は,到底信用できないものであることが明らかであるのに,原判決は,被告人の供述の内容を慎重に検討することなく,裏付けに乏しい被告人供述をうのみにしたものであり,証拠の評価,事実認定の手法として到底容認できるものではない旨主張する。
第2 当裁判所の判断
 そこで,記録を検討し,当審における事実取調べの結果を併せて検討すると,本件覚せい剤の営利目的所持について被告人とA及びBとの共謀を認めなかった原判決の認定や説示には賛同し難く,被告人に上記の共謀の事実を認めるのが相当であるから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある。
 以下,その理由について,上記所論に対する検討を中心に述べることとする。
1 第1の3(1)の点について
 原判決は,平成17年11月以後,Aが平成18年12月ころにBと覚せい剤の密売を始めるまでの間に,被告人が何らかの形で関わる覚せい剤の密売が△△組において行われていたことを示す証拠は見当たらず,また,Fが同年4月に実妹のGと共謀の上で及んだ営利目的覚せい剤所持についてもその犯行に被告人が関わっていたことを示す証拠は見当たらず,さらに,AからBに対する密売について,被告人がA,D及びEという流れによる覚せい剤密売と同様に関わっていたという証跡はなく,Dの逮捕以降,△△組において組員から場代,上納金等として金員を徴収し,被告人がこれを受領していたことを示す証拠も同様に見当たらない旨説示しているが,この点については,原判決が指摘する事情があったことを直接かつ明確に示す証拠が見当たらないという限度においてはそのとおりというべきである。また,原判決が,(被告人の)平成17年当時の覚せい剤密売への関与によって,A及びBによる平成18年12月ころ以降の覚せい剤密売についての被告人の認識,関与,ひいては本件覚せい剤の営利目的所持の共謀を直ちに推認することはできない旨説示している点についても,それ自体が誤りであるとまではいえない。
 しかし,平成17年当時,△△組の組ぐるみによる覚せい剤密売の実務を取り仕切っていたのは△△組代貸のAであったことが明らかであるが,Dらが捜査官に対して覚せい剤の入手先がAであることを明らかにしなかったことなどから,Aは逮捕を免れていたと考えられるところ,Bの原審及び当審証言によれば,Bは平成16年の終わりころから本件覚せい剤の営利目的所持で逮捕される平成19年12月までずっとAから覚せい剤を譲り受けていて,Aが覚せい剤の密売をしていることを知っていたから,平成18年12月ころに自分にも密売をさせてくれるようAに頼んだというのであって,そのいうところは十分信用できるし,また,平成18年4月には,△△組若頭であるFが上記のとおり覚せい剤の営利目的所持の犯行に及んでいるのであるから,平成17年11月以降の△△組組員による覚せい剤の密売は,A,D及びEという流れによるものはDらの逮捕によって中断してしまったとはいい得ても,A自身の直売やAが他の△△組組員を用いてしたものまで行われなくなっていたとは到底いい得ない(Aの原審公判供述のうち,これに反する部分は信用できない)のであって,平成18年12月ころに始まったA及びBの流れによる覚せい剤の密売もまたAによって平成17年11月以降も続けられていた覚せい剤の密売の延長線上にあるとみるのが自然である。そして,平成18年12月ころに始まったA及びBの流れによる覚せい剤の密売が被告人の関与とは無関係に行われていたことをうかがわせるような事情はなく,むしろ,後述するとおり,平成18年12月ころ以降のA及びBによる覚せい剤の密売にも被告人が関与していたことを推認させる事情が認められるのであるから,被告人が平成17年当時に△△組による組ぐるみの覚せい剤密売に関与していた事実は,平成18年12月ころ以降の上記のような事情とを総合することによって,被告人が本件覚せい剤の営利目的所持の共謀を遂げていたことをうかがわせるべき事情とみることができる。原判決の説示にはそのような総合評価の観点がやや欠けているといわざるを得ない。
2 第1の3(2)の点について
(1) 原判決は,B証言のうち,平成18年12月ころにAの下で覚せい剤密売を始めるに当たり,Aから被告人を紹介されたなどという点について,Aの下で覚せい剤の密売をするようになる平成18年12月ころより相当以前に被告人と会い,Aから紹介された際の出来事と混同して証言した疑いが払拭できない旨説示している。確かに,B証言は,弁護人の反対尋問に対し,まだ覚せい剤の密売をAの下でしておらずデリバリーヘルスの運転手をしていたころ,Aから頼まれてGの裁判を傍聴しに行ったことがあり,その内容を□□組事務所でAに報告した際に,被告人から「御苦労さん」などと言われた旨述べており,そのことは,少なくともBがその時点で被告人の顔を知っていたことをうかがわせるとはいえるが,そのようなやり取りと覚せい剤の密売を始めるに当たって上位の者に紹介されるなどしたときのこととを混同して記憶するなどということは通常考え難いし,仮に原判決のいうように上記裁判傍聴の報告の時点で既に被告人からねぎらいの言葉をかけられる程度に被告人と面識があったとみることができるとしても,そのことは,BがAの下で覚せい剤の密売を始めるに当たって,Aが改めてBのことを被告人に「これからわしの下で働く多生ですわ」などと言って紹介したということと矛盾するわけではなく,むしろ,その覚せい剤密売が△△組による組ぐるみのものであれば,それこそ自然なことといい得るのであるから,この点に関するB証言は十分信用することができるというべきである。
(2) 次に,原判決は,B証言のうち,被告人から職務質問に遭わないように注意をされたり,被告人から気をつけて頑張るように激励されたりした旨いう点について,その際,覚せい剤の配達や密売という言葉は出ていなかったというのであり,Bがそれを覚せい剤の配達に際しての注意等と理解したのはB自身が推測した結果にすぎず,そのような被告人の発言は多義的であって,Bの覚せい剤使用に対する注意であるという被告人の供述を直ちに排斥し難いし,またほかの仕事を含めて一般的な激励の趣旨を述べたに過ぎないとみる余地があるから,被告人が,平成18年12月ころ以降に始められたA及びBによる覚せい剤密売を認識し,これに関与していたことを直ちに推認させるものではない旨説示している。確かに,上記の被告人の発言内容それ自体には覚せい剤の配達や密売という言葉は出ておらず,その意味では多義的なものということもできるが,上記(1)の事情に加え,職務質問に遭わないように注意をされたというのと覚せい剤を使用しないよう注意されたというのとでは話の重点が明らかに異なるし,Bが当時していた「気をつけて頑張る」べき仕事は覚せい剤の密売以外にはなかったことをも総合して考慮すれば,上記のような被告人の発言は覚せい剤の配達に際しての注意や密売に関しての激励であったとみるのが自然かつ合理的なのであって,原判決の説示は,この点においても総合評価の観点をやや欠いているといわざるを得ず,是認することができない。
(3) なお,弁護人は,Bは受刑中の処遇等との関係で検察官に迎合して供述した疑いがあること,Bは△△組にも□□組にも所属したことはなく,被告人の面前で被告人に不利益な供述をすることにはばかられることは何もないこと,その証言には変遷があり,その内容自体も不自然,不合理であることなどからすると,B証言は(当審証言も含めて)信用できない旨主張する。しかし,B証言が検察官に迎合してなされたなどをいう点については,具体的な根拠を欠く一般論の域を出ない主張であり,また,Bが△△組にも□□組にも所属したことがないという点については,そうであるとしても,やはり暴力団組長である被告人の面前でBが殊更被告人に不利益な虚偽の供述をするとは考え難く,また,B証言に変遷があるという点については,なるほど変遷している部分があるものの,それは記憶の混同や変容の生じ易い事柄に関するものであって,基本的で重要な要素についてのものではないし,さらにその内容自体不自然,不合理であるという点についても,必ずしもそのようにはいえないものであるから,弁護人の上記主張は採用できない。
3 第1の3(3)の点について
 原判決は,平成19年当時,無許可,無登録で総額約700万円を暴力団幹部10人くらいに高金利で貸し,月額50万円くらいの利益を上げていた旨いう被告人の供述が虚偽であると断定することはできない旨説示している。しかし,関係証拠により認められ,あるいはうかがえる被告人の経済状況や,貸付帳簿等の客観的証拠が何ら被告人側から提出されていないことなどに照らせば,上記のような被告人の供述の信用性は乏しく,これをもって,被告人が覚せい剤の密売に関与していたことについて合理的疑いを抱かせるものといえないことは明らかである。
4 その他の事情について
(1) 本件時の被告人らの行動について
 本件当日,Bは,Aから指示されて,Aが被告人と同席している居酒屋「××」の前まで覚せい剤10グラムを持っていく途中,警察官から職務質問を受けたこと,被告人は,Bから電話で職務質問を受けている旨聞いたAらとすぐさまその職務質問の現場に行ったこと,被告人らが,警察官に対し,(Bが)どうしたのか,何を持っていたのか,何もないんなら早く帰してほしいなどと言ったこと,そこで,警察官がBの所持していた本件覚せい剤を被告人らに示したところ,被告人らはそれなら仕方がないなどと言っていたことが明らかであるが,先に1,2でみてきた事情とも併せ考えると,被告人らのこのような行動は,被告人らがBの本件覚せい剤所持の事実を知っていたことから,本件覚せい剤が発見されるのを防いでBが逮捕などされないようにし,Bが逮捕などされた場合には,被告人やAの関与について捜査官に話させないようにする意図に出たものとみるのが最も自然かつ合理的である。
(2) 本件後の状況について
 被告人は,BがAの舎弟に過ぎないのにもかかわらず,勾留されていたBの面会に自ら出向き,「自分らそんなことやっていたのか」などと言ったことが明らかであるが,先に1,2でみてきた事情とも併せ考えると,被告人のこのような行動は,Bをして被告人の覚せい剤密売への関与について捜査官に供述させないようにする意図に出たものとみるのが最も自然かつ合理的である。
5 被告人の供述について
 被告人は,本件覚せい剤の営利目的所持への共謀を否認するほか,そもそも平成17年11月以前も含めて△△組組員らが行っていた覚せい剤の密売自体に関与していない旨供述するが,平成17年11月以前の覚せい剤密売に関与していない旨いうところが信用できないことは明らかであるし,本件以前のBとのやり取りや,本件覚せい剤所持当日のBの職務質問の現場での警察官とのやり取りなどについて述べるところにも説得力が乏しいことは明らかであって,到底信用することができない。
 なお,弁護人は,被告人が上記職務質問の現場に赴いたのは,被告人が本件覚せい剤の営利目的所持の共謀を遂げていないことの証左である旨主張するが,本件覚せい剤営利目的所持の共犯であることが明らかなAも被告人と一緒に同所に赴いて警察官に抗議をするなどしているのであるから,弁護人の上記主張が採り得ないことは多言を要しないし,むしろ,職務質問の現場に赴くことにより,上記のように,Bが逮捕などされないようにし,Bが逮捕などされた場合には,自己らの関与を捜査官に話させないようにするとの意図があったものと考えるのが合理的であって,弁護人の主張は採用できない。
6 結論
 以上のとおりであって,△△組においては平成17年11月まで組ぐるみで覚せい剤の密売が行われていたことが明らかな上,その後もAら△△組組員による覚せい剤密売は継続し,A及びBによる覚せい剤密売もその延長線上にあったとみられるところ,それが同組組長である被告人とは無関係に行われていたことをうかがわせる事情はなく,むしろ,上記1,2のとおり,A及びBによる覚せい剤密売に被告人が関与していたことを推認させる事情が認められ,上記4のとおり,本件覚せい剤の営利目的所持自体についても,被告人がこれに関与していたことを推認させる事情が認められることなどを総合すれば,被告人が本件覚せい剤の営利目的所持についてA及びBとの間で共謀を遂げていたことは優に認められるというべきである。
 原判決は,証拠の評価を誤り,事実を誤認したものといわざるを得ず,破棄を免れない。
 論旨は理由がある。
第3 破棄自判
 よって,刑訴法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書により更に判決することとする。
(罪となるべき事実)
 被告人は,A及びBと共謀の上,営利の目的で,みだりに,平成19年12月14日,大阪市西成区(以下略)先路上において,覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩の結晶約9.105グラムを所持したものである。
(証拠)
・証人Bの原審及び当審各公判供述
・証人H,同A及び同Eの各原審公判供述
・Eの検察官調書謄本(原審甲26)
・写真撮影報告書(原審甲3-謄本,同13-謄本,同14,同38から同41まで-各抄本,原審弁11)
・鑑定嘱託書謄本(原審甲1)及び鑑定書謄本(同2)
・被告人の原審及び当審各公判供述
(法令の適用)
判示所為       刑法60条,覚せい剤取締法41条の2第2項(1項)
刑種の選択      情状により懲役刑及び罰金刑を選択
未決勾留日数の算入  刑法21条(180日を懲役刑に算入)
労役場留置      刑法18条(金5000円を1日に換算した期間)
原審訴訟費用の負担  刑訴法181条1項本文
(量刑の理由)
 本件は,暴力団組長である被告人が,同組代貸及びその舎弟である共犯者と共謀の上,営利の目的で,覚せい剤約9.105グラムを所持した,という事案である。
 被告人が犯行を否認していることから,犯行の動機,経緯等の詳細は不明であるが,いずれにしても,本件は,被告人が配下の組員らとともに覚せい剤の密売を繰り返すうちに犯したものであることが明らかであって,その利欲的な動機に酌むべきものはないこと,本件は,職業的・常習的犯行であって,その所持に係る覚せい剤の量も多量であること,被告人は,組長として,主導的立場で犯行に関与したことが明らかであるのにもかかわらず,事実を否認して自らの責任を免れようとしており,反省の態度が認められないこと,被告人は,これまでに覚せい剤取締法違反の罪により服役した前科3犯(うち1犯は執行猶予取消しによるもの)を含め,服役した前科6犯を有するなど,その規範意識に欠けるところが認められること,暴力団組長であって,その生活状況も芳しくないことなどを併せ考えると,被告人の刑事責任は相当に重いといわざるを得ない。
 そうすると,実行犯である共犯者が現行犯逮捕されたことにより,本件覚せい剤自体については,その害毒が社会に拡散するには至らなかったことなどの,被告人のために酌むべき事情を考慮しても,主文の刑はやむを得ないところである。
 よって,主文のとおり判決する。
平成21年12月21日
大阪高等裁判所第6刑事部
裁判長裁判官    森岡安廣
裁判官    松尾昭彦
裁判官    西田時弘

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