公務執行妨害東京2

東京地方裁判所立川支部判決/平成21年(わ)第1192号

主文

 被告人を懲役1年に処する。
 未決勾留日数中その刑期に満つるまでの分をその刑に算入する。

理由

(罪となるべき事実)
 被告人は,平成21年8月22日午前2時10分ころ,東京都小平市(以下略)先路上において,警視庁小平警察署地域課花小金井駅前交番勤務の巡査部長Aから,挙動不審者として職務質問を受けた際,同人の胸倉を両手で締め上げ,その顔面に唾を吐きかける暴行を加え,もって同巡査部長の職務の執行を妨害したものである。
(証拠の標目)
括弧内の番号は証拠等関係カード記載の検察官請求番号を示す。
A,Bの各公判供述
実況見分調書(甲2)
 なお,弁護人は,暴行を受けたとする前記A及びそれを目撃したとする前記Bの供述はいずれも信用できないとして,被告人は無罪であると主張するが,判示のとおりの事実があったと述べる前記A及び前記Bの公判廷での供述に,何ら不自然な点はなく,その他に供述の信用性を疑わせるような事情もうかがえないから,信用できる。よって,判示のとおりの事実を認定した。
(法令の適用)
 被告人の判示所為は刑法95条1項に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役1年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中その刑期に満つるまでの分をその刑に算入し,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 本件は,路上生活を送っていたとみられる被告人が,深夜,警察官による職務質問を受けた際,その警察官に対し暴行を加えた公務執行妨害の事案である。
 本件全証拠によっても,前記A(以下「A警察官」という。)の職務執行の妥当性を疑わせる事情は認められない。被告人の暴行態様もよくない。しかも,被告人が平成19年6月に職務質問をする警察官に対し暴行を加えた公務執行妨害で執行猶予付きの懲役刑(懲役1年6月,執行猶予3年)に処せられ,本件当時その執行猶予期間中であったことは証拠上明らかである(乙2)。これらに,被告人に適切な監督者がいないことも考慮すると,再犯の可能性も否定できない。
 そうすると,被告人の刑事責任は決して軽微ではなく,懲役刑の実刑に処すのが相当である。
2 もっとも,懲役刑の長さを決めるに当たっては,次の被告人のために酌むべき事情も考慮すべきである。
(1) 鑑定結果に加え,①本件での現行犯人逮捕後,被告人に妄想等によるとみられる異常行動が認められないこと,②被告人は,少なくとも本件犯行前の2年近くの間,路上生活者として,それなりに,問題なく生活を送っていたと推認されることに照らすと,本件当時,被告人が完全責任能力を有することは明らかである。
(2) しかしながら,鑑定結果によれば,被告人は,本件当時,破瓜型又は寡症状型の統合失調症に罹患し,慢性期にあった可能性が高い。このことは,被告人が,本件犯行時及び捜査段階だけでなく,当公判廷や鑑定のために入院した病院でも,一切言葉を発しないことその他の被告人の態度とも整合する。
 そして,本件犯行は,被告人が,A警察官の職務質問に対し,何も答えずに立ち去ろうとしたので,同人らがこれを制止しようとした際に行われたものであるが,このことに被告人の前記症状が影響していることは明らかである。このような事情は,A警察官が被告人の前記症状を知っていれば違った対応をとることが十分予想されることを考えると,被告人にとり同情すべき事情といえる。
 加えて,被告人は,少なくとも本件犯行前の2年近くの間,前記のような症状を抱えつつも,それなりに,問題なく路上生活を送っていたものと認められる。そうすると,被告人に強い犯罪傾向があるとはいえず,再犯の可能性が高いとはいえない。
3 そこで,懲役刑の長さは主文のとおり懲役1年とするのが相当であるので,主文のとおり判決する。
(検察官伊東義修,国選弁護人高野太一朗各公判出席)
(求刑・懲役1年6月)
平成22年12月20日
東京地方裁判所立川支部刑事第3部2係
裁判官  岡村英郎

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