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児童ポルノ大阪

大阪高等裁判所/平成15年(う)第1号

主文

原判決を破棄する。
被告人を懲役2年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。

理由

1 本件控訴の趣意
本件控訴の趣意は,主任弁護人奥村徹,弁護人岡田崇及び同壇俊光共同作成の控訴趣意書1並びに主任弁護人奥村徹作成の控訴趣意書2,控訴趣意書補充書1,同2,控訴補充書3及び控訴理由補充書4ないし9にそれぞれ記載されたとおりであり,これに対する答弁は,検察官篠﨑和人作成の答弁書に記載されたとおりであるから,これらを引用する。
2 当裁判所の判断
以下,記録を調査し,検討する(なお,控訴趣意について,「控訴理由第1」などとあるのは,弁護人作成の上記各書面中の見出しに付けられた番号である。)。
(1) 不法に管轄を認めた違法の主張(控訴理由第20)について
所論は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下,「児童買春児童ポルノ禁止法)」という。)は,児童福祉法の特別法であり,児童買春児童ポルノ禁止法の罪は児童の福祉を害する行為であるから,少年法37条1項の適用を受け,家庭裁判所の専属管轄とされる事件であるのに,地方裁判所に起訴された本件各罪についてこれを看過してなされた原判決には不法に管轄を認めた違法がある,というものである。
しかしながら,少年法37条1項は限定列挙であり,また,児童買春児童ポルノ禁止法違反の罪を家庭裁判所の権限に属させるとする法律の規定も存しないから,児童買春児童ポルノ禁止法違反の罪についての第一審の管轄裁判所は地方裁判所又は簡易裁判所であることは明らかである(裁判所法31条の3第1項3号,2項,24条2号,33条1項2号)。
論旨は理由がない。
(2) 原判示第1の事実についての法令適用の誤りの主張(控訴理由第15)及び訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第19)について
所論は,原判示第1の事実について,①原判決は,対償の供与を約束したことを認定しているが,証拠によれば,被告人にはAに対して携帯電話機を買い与える意思はなく,詐言による約束であって,双方の真意に基づく約束とはいえず,また,携帯電話機本体の価格は通常無料であって,反対給付としての経済的利益には当たらないから,児童買春罪の成立を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり(控訴理由第15),②平成14年6月26日付け起訴状記載の公訴事実には対償の供与の約束の成立時期,場所が特定されておらず,訴因が不特定であるから,公訴棄却をすべきであったのに,実体判決をした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある(控訴理由第19),というものである。
しかしながら,①については,被告人は,捜査段階において,携帯電話機を買ってやる約束をしたが,被告人名義で契約するわけにもいかないし,時間もないので,携帯電話機の代わりに現金を交付するつもりであったとの供述をしており,その内心の意思いかんにかかわらず,被告人がAに対して携帯電話機を買い与える約束をして性交に応じさせたことは関係各証拠に照らして明らかであるから,対償の供与の約束があったというべきであり,また,仮に携帯電話機の本体価格が無料であったとしても,取得するには契約手数料等が必要である上,携帯電話機にはその通信回線利用の権利が伴っているから,経済的価値が認められることもいうまでもないところであって,原判決が対償の供与の約束があったと認定したことに誤りはない。さらに,②については,児童買春罪の訴因としては,対償の供与の約束があったことが記載されていれば足り,その約束が成立した日時,場所を記載するまでの必要はないから,対償供与の約束とともに,被告人が児童であるAと性交をした日時,場所が具体的に記載されている本件公訴事実に訴因の特定に欠けるところはないというべきである。
論旨はいずれも理由がない。
(3) 原判示第2の事実についての不法に公訴を受理した違法ないしは訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第3,第8),審判の請求を受けない事件について判決をした違法ないしは訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第5)及び理由不備の主張(控訴理由第9)について
所論は,原判示第2の事実についての平成14年7月17日付け起訴状記載の公訴事実は,児童ポルノの販売の態様を,購入者であるB,C及びDのそれぞれの自宅に設置された「パーソナルコンピューター内のハードディスクないしはフロッピーディスクにダウンロードさせる方法」としているが,そもそも,ダウンロードとは,サーバーコンピューターからクライアントのパーソナルコンピューターにデータが送信されることをいうのであり,ダウンロードした後のハードディスクないしはフロッピーディスクへの保存とは異なる行為であるから,Bら3名の各パーソナルコンピューター内のハードディスクないしはフロッピーディスクへの保存行為をダウンロードとして販売にあたるとしている上記公訴事実は児童買春児童ポルノ禁止法7条の児童ポルノ販売罪の訴因として特定されていないにもかかわらず,公訴棄却の判決をせず,実体判決をした原判決には不法に公訴を受理した違法ないしは判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があり(控訴理由第3),また,上記公訴事実には,児童ポルノ陳列罪と区別できるだけの児童ポルノ販売罪にあたる具体的事実が掲げられておらず,何らの罪となるべき事実を包含していないにもかかわらず,原判示第2の事実を認定して児童ポルノ販売罪の成立を認めた原判決には審判の請求を受けない事件について判決をした違法ないしは判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があり(控訴理由第5),さらに,上記公訴事実には,サーバーコンピューターの管理者及び設置場所並びにこれらと被告人との関係が特定されておらず,訴因不特定として公訴を棄却すべきであったのにもかかわらず,実体判決をした原判決には不法に公訴を受理した違法ないしは判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があり(控訴理由第8),これらを罪となるべき事実に摘示していない原判決には理由不備の違法がある(控訴理由第9),というものである。
しかしながら,平成14年7月17日付け起訴状記載の公訴事実については,所論が指摘するとおり,ダウンロードの概念についての誤解があると考えられる部分があるが,公訴事実からは所論指摘の趣旨でダウンロードしたものをハードディスクないしはフロッピーディスクに保存させる方法で児童ポルノを販売したものであると読み取ることができる。また,公訴事実及び原判決が画像データそのものを児童ポルノにあたるとしているのは後記(6)で判断を示すとおり弁護人及び当裁判所と法令の解釈適用について見解を異にし誤りといわなければならないが,これをもって公訴事実が何らの罪となるべき事実を包含しないときとはいえない。そして,更に犯罪場所の特定として画像データの送信場所であるサーバーコンピューターの設置場所及びその管理者等を記載するのが望ましいとはいえるものの,上記公訴事実中には,その販売の日及び相手方,販売の相手方が児童ポルノとされる画像データを受信して交付を受けた場所はそれぞれ特定されており,さらに,それぞれ5000円ないし1万円の代金を振り込んできた販売の相手方であるBら3名に対して,児童ポルノである画像データをBらの自宅に設置されたパーソナルコンピューター内のハードディスクないしはフロッピーディスクにダウンロードさせる方法(ダウンロードの言葉の使い方が誤りであることは上記のとおりであるが,公訴事実及び原判示事実を引用する場合はそのまま記載する。)で販売した旨など児童ポルノ販売罪の構成要件に該当する事実が具体的に摘示されている。したがって,訴因として特定に欠けるところはなく,原判決の認定した原判示第2の事実についても,上記と同様に児童ポルノ販売罪の構成要件に該当する事実が摘示され,その罰条を適用する根拠は示されており,罪となるべき事実としての明示に欠けるところはないというべきである。
論旨はいずれも理由がない。
(4) 原判示第2の事実についての審判の請求を受けない事件について判決をした違法ないしは訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第11)及び不法に公訴を受理した違法ないしは訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第12,第13)について
所論は,原判示第2の事実についての上記公訴事実には,A以外の被害児童の氏名,生年月日等が具体的に主張されておらず,実在性についても立証がされていないにもかかわらず,その実在性を認定した原判決には審判の請求を受けない事件について判決をした違法ないしは判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があり(控訴理由第11),また,個々の画像データごとに被撮影者が特定されておらず,児童買春児童ポルノ禁止法2条3項の各号のいずれに該当するのかも具体的に特定されていないから,訴因が不特定であり,公訴棄却されるべきであったにもかかわらず,実体判決をした原判決には不法に公訴を受理した違法ないしは判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある(控訴理由第12,第13),というものである。
しかしながら,については,本件において,所論指摘の被害児童が実在し,その氏名等が特定できることは証拠上明らかであるところ,公訴事実において,「児童」とのみ記載し(なお,その記載によって実在している者であること及び児童買春児童ポルノ禁止法2条1項の規定からして18歳に満たない者であることは明確である。),その氏名等を具体的に記載しなかったのは,児童買春児童ポルノ禁止法12条の趣旨に則り,児童が中学生であること等にかんがみてのことと認められるのであって,訴因の特定に欠けるとはいえない。については,本件公訴事実中の所論指摘の画像データの被撮影者が上記児童であることは明らかであり,また,関係各証拠によれば,児童買春児童ポルノ禁止法2条3項の各号に重複して該当する画像データがあることは所論指摘のとおりであるものの,検察官においてそれらの重複するものについてはより法益侵害の程度の強い先順位の号数に該当する児童ポルノとして公訴事実に掲げていることは明らかであって,包括一罪とされる本件において,それぞれの画像データが上記各号の児童ポルノのいずれに該当するかを個々的に特定する必要もないから,訴因の特定に欠けるところはないというべきである。
論旨はいずれも理由がない。
(5) 原判示第2の事実についての不法に公訴を受理した違法ないしは訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第6),理由不備等の主張(控訴理由第7,第10,第16),審判の請求を受けない事件について判決をした違法の主張(控訴理由第18)及び法令適用の誤りの主張(控訴理由第14)について
所論は,①原判示第2の事実について,検察官の掲げる上記公訴事実には何らの罪を構成しない画像データが含まれていることがその記載から明らかであり,原審は,検察官に対して訴因変更を促すか,刑事訴訟法339条1項2号により決定で一部公訴棄却をすべきであったのに,そのような手続をとらずに実体判断を行い,公訴事実どおりに児童ポルノに該当しない画像データについても販売を認定した原判決は不法に公訴を受理した違法ないしは判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があり(控訴理由第6),その公訴事実どおりに原判示第2の事実を認定した原判決には理由不備の違法があるとともに,判決に影響の及ぼすことが明らかな事実誤認及び法令適用の誤りがあり(控訴理由第7),②原判決の量刑の理由は被害法益が摘示されておらず,理由不備の違法があり(控訴理由第16),③原判示第2の2及び3の事実について,原判決は公訴事実に掲げられていないパスワード送信の事実を認定しているもので,審判の請求を受けない事件について判決をした違法があり(控訴理由第18),また,④児童ポルノ販売罪の保護法益は個人法益であるから,原判示第2の1ないし3の所為はこれを併合罪とすべきであり,したがって,包括一罪とした原判決には量刑の理由の項での説示するところと理由齟齬があり,法令の適用の誤りがある(控訴理由第10,第14),というものである。
しかしながら,①については,児童ポルノ販売罪の販売の対象となった児童ポルノに該当する画像データは上記公訴事実の記載から明らかであり,それ以外の画像データ数はそれらの画像データと共にそれぞれの代金額で販売したことを示す事情として公訴事実中に掲げているものであることもその記載から明らかであって,原判決が原判示第2の事実に摘示しているところも同趣旨であることは明らかである。②ないし④については,いずれも独自の見解に基づく主張であって採用できない。
論旨はいずれも理由がない。
(6) 原判示第2の事実についての法令適用の誤りの主張(控訴理由第1,第2)について
所論は,原判示第2の事実について,有体物に化体しない画像データそのものは児童買春児童ポルノ禁止法2条所定の児童ポルノに該当せず(控訴理由第1),また,有償の譲渡行為といえるためには現実の交付を伴うことが必要であるところ,本件ではこれがない(控訴理由第2)にもかかわらず,それぞれ児童ポルノである画像データを販売したと認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というものである。
そこで,検討するに,原判示第2の事実は,被告人が,各購入者に対して,自己がサーバーコンピューター上に開設したホームページのアドレス及びパスワードをメールで送信し,B及びCに対してはそれぞれの自宅に設置されたパーソナルコンピューター内のハードディスクにダウンロードさせる方法で(原判示第2の1及び2の各事実),Dに対してはその自宅に設置されたパーソナルコンピューター内のフロッピーディスクにダウンロードさせる方法で(同3の事実),児童ポルノである画像データを販売した事実を認定していることが明らかである。ところで,【要旨】児童買春児童ポルノ禁止法2条3項は,「『児童ポルノ』とは,写真,ビデオテープその他の物であって,次の各号のいずれかに該当するものをいう。」と規定しており,「その他の物」については,その例示として掲げられている物が写真,ビデオテープであることからすれば,文理解釈上,これらと同様に同条項各号に掲げられた視覚により認識することができる方法により描写した情報が化体された有体物をいうものと解すべきであるところ,関係各証拠によれば,本件において児童ポルノに該当するとされている画像データは,被告人において,契約を結んだ東京都千代田区a町b丁目c番地d所在の株式会社E管理のサーバーコンピューターにホームページを開設し,同コンピューターの記憶装置であるディスクアレイ内に記憶,蔵置させた電磁的記録であり,このような電磁的記録そのものは有体物に当たらないことは明らかである。そして,児童買春児童ポルノ禁止法7条の児童ポルノ販売,頒布罪における販売ないしは頒布は,不特定又は多数の人に対する有償の所有権の移転を伴う譲渡行為ないしそれ以外の方法による交付行為をいうものであるところ,本件において,上記B,C及びDは,それぞれ,被告人から教示されたホームページアドレス等を自己のパーソナルコンピューターにおいて入力することにより,被告人が開設した上記会社管理のサーバーコンピューター内のホームページにアクセスし,同サーバーコンピューターのディスクアレイに記憶,蔵置された本件の画像データをそれぞれ自己のパーソナルコンピューターにダウンロードし,ハードディスクないしはフロッピーディスクにその画像データを記憶,蔵置させて画像データを入手していることが認められるが,上記サーバーコンピューターのディスクアレイ上に記憶,蔵置された画像データそのものは上記Bらのダウンロードによってもその電磁的記録としては何らの変化は生じていないのであり,画像データの入手者であるBらに上記サーバーコンピューターに記憶,蔵置された電磁的記録そのものの占有支配が移転したと見る余地もなく,この点で原判示第2に認定された事実のもとでは児童ポルノの販売に該当する事実もないというべきである。
そうすると,原判決には児童買春児童ポルノ禁止法7条所定の児童ポルノ販売罪に該当しない事実を同罪に該当するとして有罪とした法令の解釈適用の誤りがあり,この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである。
論旨は理由がある。
3 破棄自判
上記2(6)で検討,判断したとおり,原判示第2の事実を認定して有罪とした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の適用の誤りがあり,破棄を免れないところ,原判決は,原判示第2の事実にかかる罪と原判示第1の事実にかかる罪とを刑法45条前段の併合罪として1個の刑を科しているので,その余の事実誤認(控訴理由第4)及び量刑不当(控訴理由第17)の主張についての判断をするまでもなく,原判決はその全部を破棄すべきである。
なお,当裁判所は,第1回公判期日において,原判示第2の事実についての平成14年7月17日付け起訴状記載の各公訴事実について,児童ポルノを公然と陳列したとの訴因を予備的に追加する旨の検察官からの訴因変更請求を許可する決定をしたが,この予備的訴因の追加を許可した理由は,以下のとおりである。すなわち,関係各証拠にも照らせば,主位的訴因である上記起訴状記載の事実と予備的訴因の事実のいずれにおいても対象とされている児童ポルノの画像データ及びそれが記憶,蔵置されたサーバーコンピューターは同一であり,主位的訴因において販売行為としてとらえられたダウンロードの所為は,予備的訴因に掲げられているBら3名の再生,閲覧の所為と同一事実であるなど,それぞれの訴因を構成する事実は社会的事実としては同一で,基本的事実関係を同じくするものであり,また,主位的訴因と予備的訴因とは同一条項に規定された保護法益も同一の事実であって,公訴事実の同一性が認められるからである。
そこで,刑事訴訟法397条1項,380条により原判決を破棄するが,原審において被告人は事実関係をすべて認めて公訴事実を争っておらず,上記のとおり当審において追加された予備的訴因は主位的訴因である当初の公訴事実と基本的事実を同じくするものであって,その事実調べも尽くされていることが明らかであるから,直ちに判決することができるものと認め,同法400条ただし書により,当審において追加された予備的訴因に従い,更に次のとおり判決する。
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 平成13年6月6日午後5時16分ころから同日午後7時9分ころまでの間,大阪府枚方市ef丁目g番h号所在のホテル「F」306号室において,A(昭和60年3月27日生,当時16歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,同女に対し,携帯電話機を買い与える約束をし,その対償として供与する約束をして,同女と性交を行い,もって,児童買春をした
第2 児童ポルノ画像を不特定多数のインターネット利用者に閲覧させようと企て,神戸市i区jk番lの当時の被告人方において,被告人所有のパーソナルコンピューターを操作し,
1 同年11月20日ころ,東京都千代田区a町b丁目c番地d所在の株式会社E管理のサーバーコンピューターに対し,ホームページを開設し,児童を相手方とする性交に係る児童の姿態を露骨に撮影した9画像,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態を露骨に撮影した4画像及び衣服の全部又は一部を着けないで性器等を露出した児童の姿態を露骨に撮影した22画像の各画像データを送信し,同サーバーコンピューターの記憶装置であるディスクアレイ内に記憶,蔵置させた上,被告人が別に開設したホームページにアクセスした不特定多数のインターネット利用者に対し,電話回線等を使用し,上記各画像データを受信して再生閲覧することが可能な状況を設定し,同月21日ころ,上記ホームページにアクセスしてきた京都市m区n町o番地所在のBら不特定多数の者に対して,上記画像データ35画像が蔵置されたホームページのアドレス及びパスワードを教示するなどし,そのころ,Bをして,上記児童ポルノの画像を同人方に設置されたパーソナルコンピューターに受信させて再生閲覧させるなどし,
2 同月27日ころ,上記株式会社E管理のサーバーコンピューターに対し,上記ホームページとは別のホームページを開設して,上記1の画像データ35画像並びに18歳未満の児童である第1記載のAを相手方とする性交又は性交類似行為に係る同児童の姿態を露骨に撮影した13画像及び衣服の全部又は一部を着けないで性器等を露出した同児童の姿態を露骨に撮影した12画像の各画像データを順次送信し,同サーバーコンピューターの記憶装置であるディスクアレイ内に記憶,蔵置させた上,前同様の不特定多数のインターネット利用者に対し,前同様に再生閲覧することが可能な状況を設定し,同日ころ,前同様にアクセスしてきた名古屋市p区q町r丁目s番t号所在のC及び静岡県湖西市uv番地w所在のDら不特定多数の者に対して,上記各画像データが蔵置されたホームページのアドレスを教示するなどし,そのころ,C及びDをして,Cには上記1と同様の児童ポルノの画像(ただし,衣服の全部又は一部を着けないで性器等を露出した児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノについては21画像)を,Dには上記児童2名のすべての画像をそれぞれの自宅に設置されたパーソナルコンピューターに受信させて再生閲覧させるなどし,
 もって,児童ポルノを公然と陳列した
ものである。
(証拠の標目)省 略
(法令の適用)
罰条
第1の所為    児童買春児童ポルノ禁止法4条
第2の所為    包括して同法7条1項
刑種の選択    いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理   刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い第2の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予   刑法25条1項
(量刑の理由)
 本件は,携帯電話機を対償として供与する約束をして児童と性交を行った児童買春の事案(判示第1の事実),インターネットを利用してその児童のほか1名の児童を相手方とする性交に係る姿態を露骨に撮影するなどした画像データを被告人が契約した会社のサーバーコンピューターのディスクアレイに記憶,蔵置させて児童ポルノを陳列した事案(判示第2の事実)である。児童買春の犯行については,被告人は,自己の性欲を充たすため,高校生とはいえ,未だ十分な社会的経験のない被害児童が携帯電話機を欲しがっていることに乗じ,これを対償として供与することを約束して性交に応じさせ犯行に及んでいるもので,その動機,経緯に酌量すべき点は全くなく,悪質で強い非難を免れない犯行であり,犯行後に何度も誘いの連絡を入れるなど犯行後の情状も悪い。さらに,児童ポルノ陳列の犯行は,第1の児童買春の犯行の際に撮影したものを含む児童との性交に係る姿態等を撮影した児童ポルノ画像をインターネットを利用して公然と陳列したものであり,代金送金を得てホームページアドレスを教示するなどの方法で相当数の者に閲覧させ,相当額の利得も得ており,また,画像の陳列に際しては学校名等被害児童の特定につながる事項も公表するなど,やはり悪質というべき犯行であり,それぞれの犯行によって被害児童の心身に与えた影響にも軽視できないものがあることからすると,被告人の刑事責任は軽くないというべきである。
 しかし,他方で,被告人は,本件各犯行を認めて,被害児童に対する謝罪の意思を表すなど,反省の情を示しており,その反省の証として,第2の犯行による利得額に相当する15万円を法律扶助協会に贖罪寄附していること,本件によって勤務先を懲戒解雇され,相応の社会的制裁を受けていること,さらには,被告人の更生に向けての妻の協力にも期待できること,被告人には前科がないことなど被告人のために酌むべき事情もあるので,これら諸般の事情を総合考慮して,被告人を主文掲記の刑に処し,その刑の執行を猶予することとする。
 よって,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 瀧川義道 裁判官 竹田 隆 裁判官 奥田哲也)

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