刑事事件解説<矯正施設その3>

矯正施設における差し入れ等をまとめると、以下のようになります。

1. 立場による処遇の違い

矯正施設での被収容者は未決囚と既決囚に分類されます。身柄拘束の根拠が法律に基づいているため、面会等の制約は未決囚か既決囚かにより異なります。起訴後、刑が確定するまでは未決囚、刑が確定した後は既決囚と呼ばれます。

既決囚は刑が確定し受刑者として刑の執行の対象となった者をいい、無罪が推定される未決囚とはその立場が大きく異なります。そのため、既決囚は面会や差し入れの面で厳しい制約を受けます。また、刑が確定し刑務所に移送されたところで、矯正施設から受刑者の家族に通知はされません。
東京拘置所の場合、刑が確定してからすぐに移送されることはまれで、通常はまず同拘置所内の受刑者房に身柄が移され、そこで数日ないし数カ月にわたり分類調査が行われます。これにより、どこの収容先で服役するかが決定されます。

未決囚については、被告人である地位に鑑み、面会や差し入れに緩やかな規制が採用されています。東京拘置所については面会や差し入れの仕方について紹介されたサイトまで存在します。一方で、受刑者となった場合の処遇については公開されている情報が極めて少なく、法務省矯正局や各拘置所に直接問い合わせるか、受刑経験者やその家族から話を聞く以外は情報源が乏しくわからないことがほとんどです。
移送先や処遇の詳細については、受刑者本人にしか知らされないため、基本的には受刑者から発信される情報に頼らざるをえません。

以下、矯正施設における被収容者に科される制限について、特に面会と差し入れに焦点を絞り紹介します。なお、これは東京拘置所での受刑者の取り扱いを念頭に置いており、各矯正施設で若干の違いがあります。

2. 差し入れについて

未決囚の間は、拘置所内にある売店で購入した物を差し入れることができます。売店には菓子や缶詰などの食料品、雑誌等の書籍類、石鹸、歯ブラシ、タオルなどの洗面用品、ペン、消しゴム、ノートなどの筆記用具を取り揃えることができます。反対に、拘置所の売店以外の売店で購入した物は差し入れできません。

既決囚になると、基本的には受刑者本人が所内で購入することになり、差し入れることができるのは下記の品目のみです。葉書や切手も差し入れることができますが、これらは多くの場合、受刑者が自分で購入するため差し入れられることが少ないようです。

衣類は禁止されていますが、下着類は一定の範囲で許されています。
書籍については、刑務官のチェックを受けた後、問題がなければ1~2週間で受刑者の手元に届けられます。写真は少し時間がかかるようで、手紙が最も早く届けられます。

差入れ可のもの(下着関係)
  • 靴下 3足 白、黒、茶、紺
  • シャツ(下着) 2~3枚 白、茶
  • パンツ(下着) 3枚 白、無地
  • ズボン下 2枚 白、茶
(その他)
  • 本 3冊まで
  • 写真 10枚 裏に何も記載のないもの
  • 現金
  • 手紙 郵送のみ可
  • 電報 扱いは手紙と同じ
3. 手紙の送受信について

受刑者の受信については、未決既決に制限の区別はありません。日曜日、祝祭日を除くすべての日に届けられます。

発信については、法律上は「一月につき四通を下回ってはならない」と規定されていますが、実際の運用は月に4回(週に1回)が限度とされており、次に説明する等級に関係して、昇級があれば手紙の発信回数は4回から5回に増やされることが検討されます。手紙の送受信には必ず刑務官のチェックが入ります。ただし、上級者になれば、チェックを受けずに手紙の発受が行えるようになります。

4. 面会について

最初は最も低い等級で扱われ、法律で「一月につき二回を下回ってはならない」とされています。実際は月に2回を限度として、この範囲で面会が許されます。この点、未決囚は1日に1回、1回につき面会者3人までの範囲で面会が許可されています。そのため、他に面会者がいた場合には、その日に面会をすることはできなくなります。東京拘置所の案内によると、未決囚10分、既決囚15分が制限時間として設けられています。

面会が許される者の範囲は受刑者の等級によって異なり、最初は1~2親等の親族のみと面会することができます。昇級するにつれその範囲は広がりますが、犯罪の性質も重視されます。
例えば、組織犯罪など関係者が複数存在する事案で、末端の者まですべての被疑者が逮捕されていない場合には、親族以外の者と面会することは許されません。面会が許可されていない段階で友人など特定の者と面会することを希望するときには、受刑者は刑務官に面会許可の申請をする必要があります。面会を希望する者の名前、住所、受刑者との関係等を所定の用紙に記入して提出します。受刑者の等級や犯罪事実を考慮し、面会を許すか検討されます。
昇級すると、面会ができる回数も2回から3回に増やされる可能性があります。

手紙と面会は、その内容についても規制があり、刑務作業の内容を詳しく話すことができないなど、受刑者から発信できる情報にも制限がかけられています。

5. 等級について

等級はおよそ3段階あり、刑務作業の内容、身元引受人の存在等が判断材料となって昇級が検討されます。小型、中型、大型の順に昇級します。小型から中型に昇級した段階で、手紙の発信回数が月4回から5回に、面会回数が月2回から3回に上がったというケースがあります。また、大型に昇級した際に、面会に刑務官の立会いがなくなり、会話を別室で聞かれるという扱いになることもあります。

手紙に関しては、大型になると刑務官のチェックが緩くなり、場合によってはチェックがなくなることもあります。
昇級は、刑務作業で高度な技術を要するもの、作業結果に高い評価が与えられるものについては大きく影響します。ただし、昇級した後に刑務作業が全うできない場合には降級することもあり、そうなれば制限もまた厳しくなってしまうため受刑者は気をつけなければなりません。

身元引受人がしっかり存在することも昇級のために重要な要素となりますが、これは手紙や面会でアピールすることができます。

  • ①頻繁に身元引受人から手紙が届けられる
  • ②受刑者もその者に制限回数いっぱいまで発信している
  • ③面会の制限回数をすべて身元引受人との面会に使用している

等により、刑務官に対し釈放後の生活に不安をもたせないような印象を与えることができます。

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