刑事手続き概要<性犯罪その4>

(5)迷惑防止条例違反(痴漢)

わいせつ図画、公然わいせつ、強制わいせつ、強姦という性犯罪の事件は、すべて刑法が処罰根拠となる犯罪でした。
これに対し、いわゆる痴漢行為は、地方公共団体(都道府県等)が定める迷惑防止条例が処罰根拠となる犯罪です。

ですから、条例自体の名前は各地方自治体によって異なります。
たとえば、東京都の迷惑防止条例の正式名称は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」です。

痴漢は第5条1項「何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない」という規定に違反します。
これは、痴漢が「卑わいな言動」に該当しているためですが、行為の態様が悪質である場合は、条例違反ではなく刑法犯である強制わいせつ罪となることがあります。

事例

四郎は、通勤中、込み合った電車内で、女子高生がちょうど目の前に立っていたため、体を密着させた上で女子高生のスカートをめくって臀部を触った。

解説

この事例では、四郎は条例違反となります。
条例でどのような罰則が適用されるかは各地方公共団体によりますが、東京都の場合は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(条例8条)となります。

仮に、被害者が恐怖のあまり抵抗できずにいるのをいいことに、ますます犯行をエスカレートさせ、手を下着の中にいれ、陰部を触ったような場合は、強制わいせつの痴漢事件に問われる可能性が高いことになります。

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