刑事事件解説<裁判員可視化>

今回は、ニュースなどで巷を賑わせた刑事事件について解説します。

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大分県別府市で昨年、温泉旅行中だった神戸市の看護師横手宏美さん(当時28歳)が殺害された事件で、大分地検が、強盗殺人罪などで起訴した安藤健治被告(33)の取り調べの全過程を録音・録画していたことがわかりました。全面可視化は、安藤被告が強盗殺人容疑で追送検された後、被告の了承を得て始めたもので、安藤被告 は起訴事実を認めているということです。
裁判員裁判の対象事件で全面可視化が明らかになったのは、全国で初めてです。
(2011年11月17日03時01分読売オンライン配信)

Q1. 取り調べの可視化って、具体的にはどういうことをするんですか?逮捕されて取調べを受けることになったら、どんな事件でも可視化されるんですか?

A. 取り調べの可視化とは、捜査機関による取り調べを、録音・録画することをいいます。
法務省の最終報告では、可視化の制度化の必要性を認めつつも、録音・録画のコスト、現実性の問題から、「全事件で一律に可視化を義務付ける制度は適当でない」と意見がまとめられていますが、日弁連の会長は「全過程の可視化が原則」として、これに反対しています。

可視化の対象となる事件の範囲について、法務省では、「取調べの録音・録画の必要性と現実性」とのバランスを図るために、(1) 重大事件を対象とする裁判員裁判事件は、可視化の必要性が特に高い(2)知的能力を原因とするような一定の事情がある事件や、検察官が独自捜査を行っているような事件については、現在検察が行っている可視化の取り組みの検証結果を見て検討する、としています。

また、録画・録音の範囲については、逮捕直後や供述調書作成前の取り調べも含むよう求めており、今後は1年間の試行結果を検証して、再度議論が行われる予定です。

Q2. 取り調べの可視化が認められる時期、また認められたケースを教えてください。

A. 取り調べの可視化は、まだ法律で認められた制度ではありません。
2011年8月、法務省が「取調べの可視化に関する省内勉強会の取りまとめ結果等の公表について」という資料を公表し、法務大臣が検察や警察による取り調べについて、「えん罪を防ぐためにも可視化はぜひ必要」とし、法制化を実現していく方針を示したところです。

検察では、4月から、特捜部が扱う事件で、取り調べの一部の場面(作成した供述調書の読み聞かせなど)で可視化を実施しています。
取り調べの全過程を録画・録音するという全面可視化としては、2011年5月に特別背任容疑で逮捕・起訴された事件が初めてのケースとなっています。

Q3. 取り調べの可視化には、どのようなメリットがありますか?

A. 取り調べの可視化により、えん罪を防ぐという効果が期待されています。
また、取り調べの状況を客観的に記録することで、刑事裁判で自白の任意性、つまり「脅されたりしてした自白ではないか」という点が問題となった時に、有効な証拠になる、というメリットが挙げられています。

記憶に新しい事件としては、2003年の鹿児島県議選をめぐる選挙違反事件で、公職選挙法違反の容疑をかけられた住民が、家族からメッセージとして書かれた紙を踏ませる「踏み字」を強要するなどの取り調べが問題となりましたが、こうした事件も可視化の要請を高めるきっかけになりました。

一方で、可視化の録音・録画にはコストがかかること、前述の全面可視化の事件では、取り調べを録画は計60時間以上におよび、チェックする弁護士にも負担となるという問題も指摘されています。

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