「家族が痴漢の容疑で逮捕されてしまったが、このまま刑務所行きなの?」
「釈放してもらうには何ができるの?」
痴漢事件の保釈・釈放についてお悩みの方へ。
このページでは、痴漢事件で逮捕されてしまった場合に、保釈・釈放されるにはどうしたらいいいかについて解説しています。
痴漢事件に強い弁護士に相談して、早期釈放や事件の早期解決を目指しましょう。
1 痴漢の容疑で逮捕された!このまま刑務所に入れられるのか。
痴漢の容疑で逮捕されても、適切な活動により留置場から釈放されることができます。そのためには、かけられている痴漢の容疑の内容を把握したうえで対応することが必要です。
①まずは、不起訴で釈放される。
逮捕され、留置場に勾留された場合でも、法律で決められた勾留期間の間に、痴漢容疑で起訴されなければ留置場から釈放されます。検察官は勾留期間の間に、事件を起訴するかどうかを決めなければならず、この期間内に事件を起訴できない場合、身柄が釈放され、ほとんどの場合、事件は不起訴処分で終了することになります。
②不起訴処分が獲得できなくとも、略式罰金で釈放される。
勾留期間の間に、検察官が事件を起訴すると決めた場合でも、法廷で行われる正式な公判請求ではなく、簡易な書類上の裁判である略式請求により事件が起訴された場合は、罰金の言い渡しにより留置場から釈放されます(略式罰金)。
③刑事裁判になっても、保釈で釈放される。
事件が起訴されて、刑事裁判が開かれることになっても、保釈請求が認められれば、保釈金の納付と引き換えに留置場から釈放されます。保釈は、事件が起訴された後にだけ請求することができ、逮捕や勾留の段階では行うことはできません。保釈金は、150万円前後の場合が一般的で、保釈期間中、逃亡などせずに無事に過ごした場合は、裁判所から全額還付されます。
④保釈が認められなくても、無罪判決で釈放される。
事件が起訴されて保釈が認められなくても、裁判で無罪判決が獲得できれば、留置場から釈放されます。
⑤無罪判決が得られなくとも、執行猶予判決で釈放される。
事件が起訴されて保釈が認められず、刑事裁判で有罪となってしまった場合でも、執行猶予つきの判決を得ることができれば、留置場から釈放されます。執行猶予とは、判決で言い渡された刑罰の執行を一定期間猶予する制度のことで、何も悪いことをせず無事に執行猶予期間を満了すれば、判決で言い渡された刑罰を受ける必要がなくなります。
2 痴漢事件で釈放されるための具体的方法
痴漢の容疑で逮捕されても、弁護活動によっては早期に釈放されたり、刑務所に入らなくてもよい場合があります。
第1に、逮捕された後の勾留を防ぐことで、留置場から釈放されることができます。
具体的には、痴漢の容疑で逮捕された場合には、弁護士を通じて関係当局に意見書を提出することで、勾留阻止を目指します。例えば、「被疑者は初犯で家族が身元引受けを誓約するなど身分が安定していること」「被疑者は会社の中で重要な地位にあり勾留が長引けば第三者に被害が及ぶ可能性があること」などの有利な事情を伝え、留置場からの早期の釈放を求めます。
条例違反の痴漢事件の場合は、容疑を素直に認め、身元が安定していれば、執行猶予期間中の犯行であるといった特別の事情がない限り、比較的容易に釈放が認められる傾向にあります。もし実際に痴漢を行ったのであれば、罪を認めて早く釈放される方が、社会的な名誉も傷つかずに済む場合が多いのが実情です。
第2に、事件が起訴され、刑事裁判を受けることになった場合でも、保釈によって留置場から釈放される場合があります。保釈は、起訴された後にのみ認められ、起訴前の勾留の時点では認められません。弁護士が保釈請求を行い、裁判所がこれを認めると、保釈保証金の納付を条件に、勾留されている被告人を釈放するという手続きをいいます。
保釈されると、被告人は留置場や拘置所から釈放され、自宅などの裁判所によって定められた住居に帰ることができます。
第3に、事件が刑事裁判で争われ、検察官から懲役刑を求刑されている場合でも、裁判官から執行猶予つきの判決を得ることによって、刑務所に入らなくてもよい場合があります。
執行猶予付きの判決を獲得するためには、弁護士を通じて有利な証拠を提出し、裁判官の心証を良くすることが大切です。
他方、真実は痴漢をしていないにもかかわらず痴漢の容疑で逮捕され、起訴されてしまった場合は、弁護士を通じて無罪を主張し、検察側の証拠の証明力を争うことで、無罪判決を獲得していくことになります。無罪判決が獲得できれば、仮にそれまで留置場に入れられていたとしても、直ちに釈放されることができます。
3 弁護士に刑事弁護を依頼することの重要性
以上のように、痴漢事件で逮捕されても、刑務所に入ることを防ぎ、できるだけ早く釈放されるためには、事案や状況に応じた対応をすることが非常に重要です。また、痴漢事件は、真実痴漢をしたかどうかに関わらず、相手方がいる類型の事件であるため、当事者間で解決しようとすると、かえって事態を複雑化させる恐れもあります。
従って、痴漢の容疑で逮捕され、早期の釈放を目指す場合は、容疑をかけられた被疑者本人やご家族の方が、早急に信頼できる弁護士に連絡をとり、適切な対応をとることが大切です。