「万引きをしてしまった店に謝罪をしたい。」
「窃盗の被害者に示談をお願いしたい。」
窃盗事件における示談についてお悩みの方へ。
このページでは、窃盗事件を起こしてしまった時、示談を締結して当事者間で事件を解決する方法があります。示談を締結することで、刑事処分が有利に進む可能性が高まります。
窃盗事件に強い弁護士に相談して、示談交渉をスムーズに進めて事件を解決していきましょう。
1 窃盗をしてしまった…被害者に謝って許してもらいたい。
窃盗をしてしまった場合、第一に被害者の方に被害を弁償し、謝罪を尽くすことが大切です。
窃盗事件では、盗んだお金や物がわずかで被害が少なく、過去に同様の前科・前歴がないような場合は、弁護士を通じて被害者に盗んだ物を返還弁償し、示談を締結することで、不起訴処分を獲得できることがあります。魔がさして万引きや置き引き、住居侵入を伴わない下着泥棒をしてしまった場合などには、きちんと罪を認めて反省し、被害を弁償した上で被害者に示談を締結してもらうことができれば、多くの場合、前科がつくことを防ぐことができます。
また、酔っ払って駅前に止めてある自転車を盗んでしまったような自転車盗事件の場合は、犯行後の対応をきちんととることができれば、警察官限りの段階で微罪処分として事件を終了してもらえる可能性もあります。この場合、検察官によって事件を起訴されることはないので、刑事裁判が開かれない以上、前科がつくことはありません。
ただし、窃盗事件でも、職業的に反復継続して行っているようなスリや車上荒らし、犯行態様が悪質な住居侵入を伴う下着泥棒や空き巣などの窃盗事件の場合は、仮に被害者と示談が成立しても事件が起訴される可能性があるため、慎重な対応が必要です。
いずれにしても、もし本当に窃盗事件を起こしてしまったのであれば、まずは被害弁償と謝罪を尽くし、被害者と示談を締結することを第一に考えることが大切と言えるでしょう。
2 示談とは
示談とは、被害者に対して相応の弁償金を支払った上で、「これで事件を解決する。」と当事者間で約束することをいいます。刑事事件の早期解決のために、被害者との示談はとても有効です。しかし、一言で示談といっても、刑事事件に与える影響はさまざまです。また、示談の締結は、一回限りの行為です。被害者の方に示談をしてもらうチャンスは一回しかありません。ですから、示談を締結する際は、示談の持つ意味を十分に理解した上で行うことが大切です。
効果小 ↑ | 被害弁償 | 加害者が被害者に被害を金銭的に弁償すること。 効果:真面目に反省し謝罪を尽くしたことを表現することができます。また将来の民事裁判の可能性を低くすることができます。 作成する書面:「受領証」 |
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単なる示談成立 | 加害者と被害者が事件を解決すると約束すること。 効果:事件が当事者間で解決したことを表現することができます。また将来の民事裁判を完全に予防することができます。 作成する書面:「示談書」 | |
宥恕付き示談成立 | 示談書の中で被害者の許しの意思が表示されること。 効果:事件が当事者間で完全に解決し、被害者が処罰を望んでいないことを表現することができます。 作成する書面:「宥恕条項付きの示談書」 | |
嘆願書作成 | 被害者が加害者を許す書面を作成すること。 効果:被害者が処罰を望んでいないこと、又は軽い処罰を望んでいることを表現することができます。 作成する書面:「嘆願書」 | |
被害届取下げ | 被害者が事件の被害届を取下げること。 効果:事件が刑事事件として立件されることを被害者自身が望んでいないことを表現することができます。 作成する書面:「被害届取下書」 | |
↓ 効果大 | 告訴の取消し | 被害者が事件に対する告訴を取消すこと。 効果:被害者が処罰を望んでいないことを表現することができます。 作成する書面:「告訴取消書」 |
3 窃盗事件で示談してもらうためには
示談をしないと必ず起訴されたり、示談をしなかったからと言って確実に起訴されるというものではありませんが、起訴を避けたい場合は、可能な限り示談を締結した方がよいといえます。
窃盗事件の場合、まず、盗んでしまった物の返品や被害賠償を行います。加えて被害者の大切なものを盗んで精神的ショックを与えてしまったような場合には、金銭で謝罪の意思を示すこともあります。その場合の示談金の相場は、被害額にもよりますが、一般的に数万円から数十万円と言えるでしょう。
窃盗事件で被害者の方と示談を締結できた場合は、具体的には下記のような利点があります。
①不起訴の獲得に役立つ。
刑事事件において示談が締結されれば、被害者側は、通常、刑事処罰を望んでいないことを示す書面(嘆願書や被害届取下書)にサインをすることになります。窃盗事件のように被害者がいる犯罪であれば、被害者の方が許しているかどうかは、検察官が起訴するかどうかを決める上で大変重要な決め手になります。
②執行猶予の獲得に役立つ。
示談の成立は、刑事裁判において、被告人側に有利な事情として考慮されます。執行猶予は、被告人側に有利な事情がある場合に限り認められるため、示談の成立は、自分の過ちを反省して被害弁償したということで、裁判官の心証を良くすることができ、執行猶予付きの判決が得られる可能性が高まります。
③留置場からの釈放に役立つ。
示談が成立すると、不起訴処分が見込まれ、これ以上の捜査の必要性がないと判断されやすいことから、早期の釈放につながる場合があります。
④事件を一挙に解決することができる。
示談の締結は、当事者間で今回の事件に関する被害弁償の問題が解決したことを示す効果があるため、刑事事件での処罰を避けることができると同時に、将来的に民事裁判で損害賠償請求をされることを防ぐ効果もあります。