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建築士に前科がついたらどうなる?早期に弁護士に相談しよう

建築士の前科

「建築士として働いているが、罪に問われたことで前科がつくかもしれない。免許を剥奪されることはあるのか」「これから建築士を目指して勉強をしているが、過去に前科がある。建築士試験を受験して免許を取得することはできるのか」

この記事では、建築士として働かれている方や、これから建築士を目指している方の前科と免許・資格に関するこのような疑問に詳しくお答えしていきます。また、不起訴処分を得て前科がつくことを回避するためにすべきことなどについても解説します。

建築士は前科がついたら免許剥奪?

刑事事件を起こして禁錮以上の前科がついてしまった場合、建築士免許を剝奪されたり新たに取得できなくなる可能性があります。

建築士は禁錮以上の前科がつくと免許を剥奪される

建築士に関する諸制度を定めた法律である建築士法は、第7条2・3号にて、「絶対的欠格事由」(ぜったいてきけっかくじゆう、その業務に就くのに要求される免許を欠くとされる事柄)として、以下に該当するものには「一級建築士、二級建築士又は木造建築士の免許を与えない」と定めています。

二 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

三 この法律の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

建築士法7条

また同法第8条2・3号は、「相対的欠格事由」(その業務に就くのに要求される免許を欠くとされるが、場合によっては認められる事柄)として、以下に該当するものには「免許を与えないことができる」と定めています。

一 禁錮以上の刑に処せられた者(前条第二号に該当する者を除く。)

二 この法律の規定に違反して、又は建築物の建築に関し罪を犯して罰金の刑に処せられた者(前条第三号に該当する者を除く。)

建築士法8条

このような前科による規定とは別に、同法第10条は、建築士に以下のような行為があった場合、国土交通大臣または都道府県知事によって「戒告し、若しくは一年以内の期間を定めて業務の停止を命じ、又はその免許を取り消すことができる」と定めています。

一 この法律若しくは建築物の建築に関する他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したとき。

二 業務に関して不誠実な行為をしたとき。

建築士法10条

建築士に前科がついた場合、こうした建築士法の規定により免許を失う可能性があります。

逮捕は前科ではないので免許に影響しない

前科とは、過去に有罪判決を受けた事実のことを指します。前出の建築士法の場合、「禁錮以上の刑に処せられた者」に該当します。

一般的には、「逮捕=前科」と思われがちですが、単に逮捕されただけでは前科がつくことはありません。捜査機関から捜査を受けた履歴のことは「前歴」と呼ばれ、捜査機関にのみ残るものです。

したがって、逮捕されたのみでは建築士免許に直接影響することはないといえます。ただし、もし逮捕が長引いたりした場合、風評によって仕事を失ったりするリスクはあります。そのため、早期に弁護士に相談して釈放に向けた対応をすることが重要です。

前科があると5年間は建築士の免許を取得できない

建築士法7条は、禁錮以上の刑の執行を終えてから5年未満の者は「免許を与えない」としており、試験を受験しても免許を取得することはできません。

しかし、その刑の執行を終えてから5年以上が経過していれば、 禁錮以上の前科があっても建築士の免許を取得できる可能性があります(8条に規定)。

前科とは?罰金や執行猶予も前科になる?

前科とは、「刑事裁判で有罪判決が確定すること」であり、裁判になっても無罪判決を獲得できれば前科はつきません。

裁判以外で前科を回避する方法として、不起訴処分を獲得し、刑事裁判を開くことなく事件を解決に導く、という方法があります。

前科とは懲役刑や罰金刑が裁判で確定すること

前科とは、刑事裁判で有罪判決を受け、その判決が確定した際につくものです。

逮捕後は、一定の勾留期間を経て、検察官が起訴か不起訴かの判断を下し、起訴されて裁判で有罪判決が確定した場合、前科がつくことになります。

したがって、検察官が裁判を行わないという「不起訴処分」の判断を下せば、その人が刑罰に問われることはなく、前科はつかないということになります。

執行猶予や略式罰金も前科になる

注意しなければならないのは、裁判において「執行猶予つき判決」や「略式罰金の命令」が出た場合でも前科になるということです。

建築士法7条2号は欠格事由を「禁錮以上の刑」としているため、罰金以下の刑の場合は該当しませんが、建築関連の罪の場合は3号の「罰金の刑」として欠格事由となります。

一度ついた前科は消えないが、法的な効力は一定期間で消失する

罪を犯し前科がついた場合、事件記録が検察庁や裁判所に保管されます。そのため、前科がついたという事実は消えることはありません。

しかし、前科の事実は消えなくても、その法的な効力は失効することがあります。具体的には、禁固以上の刑の場合は10年、罰金以下の刑の場合は5年の間、刑の執行を終えてから新たに罰金以上の刑に処せられなかった場合、前科としての法的な効力が失効するのです。

効力が失効すれば、建築士法の欠格事由には該当しないため、制限も取り払われるでしょう。

建築士が前科で免許を失わないために弁護士へ早期相談

建築士が何らかの罪を犯したことにより前科がついた場合、免許の取り消しなどが行われる可能性があることがわかりました。

前科により免許を失わないためには、早期に弁護士に相談することが重要となります。

不起訴処分を獲得し前科を回避する

検察官により起訴が行われた場合、裁判で無罪になるのは非常に難しくなります。しかし、検察官が不起訴処分の判断を下した場合は、裁判を受けることがなくなるため、前科がつく可能性はゼロになります。

すなわち、前科がつくことを回避するためには、不起訴処分を目指すことが最も現実的な手段となります。

示談で不起訴の可能性を高める

被害者のいる犯罪の場合、早期に被害者対応を行うことが肝要です。真摯に反省して謝罪を行い、示談を締結することで、検察官が再犯の可能性や加害者家族への影響などといった様々な情状を考慮し、最終的に「起訴するほどではない」と判断する「起訴猶予」の可能性が高まります。

被害者と示談するためには弁護士に相談する

被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。

逮捕されてから起訴される前の身柄拘束が続く期間は、最大で23日間となっています。起訴が決定された後で示談が成立しても、後から不起訴とすることはできないため、示談交渉はその間に行う必要があります。そのため、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大切になってきます。

逮捕されている場合、加害者本人は示談交渉はできず、また逮捕されていない場合であっても加害者と被害者が直接示談交渉を行うことは困難です。そのため、示談交渉の際は弁護士を間に立てることが必要となります。

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アトム法律事務所 所属弁護士