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公認会計士が逮捕されたら?資格を失わないためにすべきこと

公認会計士が逮捕

こちらの記事では、公認会計士として働かれている方が何らかの罪を犯してしまい、逮捕された後の流れを解説します。また、逮捕によって公認会計士資格を失わないためにはどのようなことをすべきかについても解説します。

公認会計士が逮捕により資格を失わないためには、早期に弁護士に相談することが重要です。

公認会計士が逮捕された後の流れは?いつ釈放される?

公認会計士が逮捕されてしまった場合、その後の流れはどのようなものになるのでしょうか。

公認会計士が通常逮捕・現行犯逮捕された場合の流れ

逮捕にはいくつかの種類があります。ここでは代表的な2つの逮捕の形式における、逮捕された場合の流れをみてみましょう。

まずは通常逮捕があります。後日逮捕とも呼ばれる形式で、刑事訴訟法に基づき、一定階級以上の警察官や検察官などが逮捕状を請求し、裁判官が逮捕の理由と必要性を認めた場合のみ逮捕令状を発行し、それによって逮捕が行われます。

次に現行犯逮捕があります。犯行中や犯行直後の犯人を逮捕することをいい、犯人を間違える可能性は低いため、逮捕状なく一般人でもできる(私人逮捕)ことが特徴ですが、逮捕後はすぐに警察官などに犯人を引き渡す必要があります。その後は最寄りの警察署に連行され、取り調べを受けることになります。

平成31年の警視庁の統計によれば、同年の都内の刑法犯のうち、通常逮捕と現行犯逮捕の割合はおよそ1:1となっています。

逮捕勾留から起訴前の身体拘束は最長23日間

次に、逮捕された後の流れをみてみましょう。逮捕されてから起訴・不起訴の決定が行われるまでは、最長で23日間の身体拘束が続く可能性があります。

逮捕されても、警察は微罪処分として釈放する場合がありますが、それ以外の場合、事件を検察官に引き継ぐ検察官送致(送検)が48時間以内に行われます。検察官の判断により24時間以内に勾留請求が行われ、勾留質問などのあと、原則として10日間身柄が拘束されます。必要に応じ、さらに最長で10日間の勾留延長が行われます。

捜査の結果、検察官は起訴・不起訴を判断します。不起訴となった場合は釈放されますが、起訴されると略式裁判もしくは正式裁判が開かれ、罰金刑や懲役刑などの刑罰が決定されます。

逮捕されると公認会計士の資格や仕事を失う?

公認会計士が逮捕された場合、最も心配になるのは資格や仕事を失うことについてでしょう。

ここでは、逮捕と公認会計士資格の関係や、失職の可能性について解説していきます。

公認会計士は禁錮以上の前科がつくと資格を剥奪されることがある

公認会計士が何らかの罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられて前科がついた場合、資格を取り消される可能性があります。

公認会計士に関する制度を定めた法律である公認会計士法は、第4条「欠格条項」(その業務に就くのに要求されている資格を欠くとみなされる要件)の2・3号において、以下に該当する者は公認会計士となることができないと定めています。

二 この法律若しくは金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第百九十七条から第百九十八条までの規定に違反し、又は投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二百三十三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪、保険業法(平成七年法律第百五号)第三百二十八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪、資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第三百八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪若しくは会社法(平成十七年法律第八十六号)第九百六十七条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから五年を経過しないもの

三 禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの

公認会計士法4条

公認会計士の業務の特性上、金融・株式・保険・会社運営などに関わる分野において法律違反を犯し前科がついた場合、規定がその他の場合での前科より重くなっているのが特徴です。

また公認会計士が業務を行うためには、日本公認会計士協会への登録が必要となります。公認会計士法4条に該当するに至った場合、同法21条1項3号は「公認会計士の登録を抹消しなければならない」と定めています。

また前科による欠格条項とは別に、公認会計士が業務上において不正などを行った場合、内閣総理大臣は戒告・業務停止・登録の抹消などの懲戒処分を行うことができることが公認会計士法30条や31条に定められています。

さらに、日本公認会計士協会は自主規制の取り組みとして「綱紀審査制度」を設けており、場合に応じて懲戒処分が下されることがあります。

逮捕勾留だけでは欠格事由に該当しない

前科とは、起訴され刑事裁判で有罪が確定することをいいます。逮捕されたのみでは前科がつくことはなく、前歴として捜査機関にのみ記録が残ります。

すなわち、逮捕されたのみでは公認会計士法の定める欠格事由には該当しないということになります。

ただし、勾留期間が長期間に及んだ場合、そのぶん逮捕の事実が自分の周囲に露見し、結果的に仕事を失ってしまう可能性は高くなります。そのため、できる限り早期に弁護士に相談することが重要となります。

実名報道によって仕事を失うリスク

公認会計士が逮捕された場合、マスコミによる実名報道がなされるか、という点も気になるところです。実名報道された場合、世間に名前を知られることで重大な不利益が生じることとなります。

実名報道に関する明確な基準はなく、各報道機関の自主判断に任されています。傾向としては、事件の重大性や話題性が高い、被疑者が有名人であったり社会的地位が高い、といった場合には実名報道がなされる傾向があります。

公認会計士が逮捕で仕事を失わないために弁護士へ早期相談

公認会計士が逮捕されたことによって仕事を失わないためには、早期に弁護士に相談をすることが重要です。

逮捕後すぐに面会できるのは弁護士だけ

逮捕された被疑者は警察の取り調べを受け、48時間以内に検察官に送られます。検察官はその結果を踏まえ、24時間以内に勾留請求の決定を行います。

この3日間は、被疑者は外部と連絡を取ることはできず、面会が可能なのは弁護士のみとなります。これは被疑者にとってはきわめて不利であり、弁護士による適切な助言がなければさらに不利な状況に追い込まれることも考えられます。

そのため、逮捕されたあとに最初に弁護士と面会する機会である初回の接見は非常に重要となります。

弁護士の接見で可能になることやその流れ、費用などについては、こちらの記事もご参照ください。

弁護士の接見とは|逮捕中の家族のためにできること・やるべきこと

不起訴処分で早期釈放・前科回避を目指す

日本においては、起訴された場合の有罪率はほぼ99.9%に上ります。いっぽう、不起訴となった場合は刑事裁判自体が開かれなくなるため、前科がつくことはありません。そのため、逮捕によって公認会計士資格を失わないためには、不起訴処分を得て釈放されることを目指すことが重要となります。

不起訴処分を得るためには、検察官が判断を下すまでに、示談を締結するなどの活動を行うことが必要となります。

示談で不起訴の可能性を高める

不起訴による釈放の可能性を高めるためには、被害者のいる犯罪の場合、早期に被害者対応を行うことが肝要です。

真摯に反省して謝罪を行い、示談を締結することで、検察官が再犯の可能性や加害者家族への影響などといった様々な情状を考慮し、不起訴の可能性が高まります。

被害者と示談するためには弁護士に相談する

被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。

起訴が決定された後で示談が成立しても、後から不起訴とすることはできないため、示談交渉はその前に行う必要があります。しかし、逮捕されている場合、加害者本人は示談交渉はできません。

逮捕なしで在宅で捜査が行われる場合などもありますが、いずれの場合であっても加害者と被害者が直接示談交渉を行うことは困難であり、間には弁護士を立てる必要があります。

そのため、示談を締結するには、早期に弁護士に相談することが重要なのです。

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アトム法律事務所 所属弁護士