2023年7月13日以降の事件は「不同意わいせつ罪」に問われます。
「告訴とは?」
「わいせつ事件の時効を知りたい」
わいせつ事件における告訴や時効について知りたい方へ。告訴とは、犯罪の被害者などが、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。
わいせつ事件に強い弁護士に相談して、事件をスムーズに解決しましょう。
親告罪とその告訴
親告罪とは
親告罪とは、被害者やその他告訴権者などの有効な告訴がなければ、検察官は起訴することができない犯罪をいいます。
親告罪の趣旨は、犯罪の性質上、訴追することによって被害者の名誉等が害される場合がありうるため、被害者保護の見地から犯人の処罰を被害者の意思によらせるという点にあります。
現在、わいせつ事件は親告罪ではない
わいせつ事件の中では、旧法の強制わいせつ罪と強姦罪が親告罪でした。
しかしその後、2017年の刑法改正により強姦罪が強制性交等罪になった際、強制わいせつ罪も強制性交等罪も親告罪ではなくなりました。
そして現在、ふたたび刑法の改正があり、2023年7月13日以後に適用されることとなった、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪も、親告罪ではありません。
罪名 | 時期 | 親告罪 |
---|---|---|
強制わいせつ罪 強姦罪 | ~2017.7.12まで | 〇 |
強制わいせつ罪 強制性交等罪 | 2017.7.13~2023.7.12 | ✕ |
不同意わいせつ罪 不同意性交等罪 | 2023.7.13から | ✕ |
上記の表からも分かるとおり、2017年7月13日以降におこした性犯罪については、親告罪ではありません。親告罪ではない犯罪は、被害者の刑事告訴がなくても起訴されて、刑事裁判にかけられて刑罰が科される可能性があります。
ただし、実務上は、刑事告訴の取り下げ等の事情があることで、不起訴になるケースも多いものです。
不同意わいせつ致死傷の場合の告訴
不同意わいせつ致傷罪とは
不同意わいせつ致死傷罪(旧 強制わいせつ致死傷罪)とは、不同意わいせつをした結果、人を死傷させた場合に成立する犯罪です。
不同意わいせつ致傷罪は親告罪ではない
不同意わいせつ致傷罪も、親告罪ではありません。そのため、被害者の刑事告訴がなくても、検察官によって起訴される可能性がある犯罪です。
なお、不同意わいせつ致傷罪の前身である「強制わいせつ致死傷罪」についても、2017年の法改正以前から親告罪ではなくなっています。
死傷結果をともなう「わいせつ事件」が非親告罪とされる理由
死傷結果をともなう「わいせつ事件」というのは、加害行為の悪質性が高く、被害結果も重大であることから、処罰の必要性、犯罪予防の必要性が高いと考えられています。したがって、被害者の刑事告訴がなくても、検察官が性犯罪を起訴することができるようになったのです。
性被害の場合、被害者の方にとっては公開の法廷での審理が精神的な負担になることも多いので、刑事告訴の有無は、起訴/不起訴の判断において重視される要素です。
ですが、死傷結果をともなう「わいせつ事件」では、犯罪の防圧のため、被害者の刑事告訴の意思が表明されなくても「起訴される」という意識を浸透させる必要性が高いという価値判断があるのでしょう。
告訴の取消し
告訴人は、公訴の提起(起訴)があるまで、自分のした告訴を取り消すことができます。
また、刑事訴訟法は、告訴の取消しをした者はさらに告訴をすることができないと定めています。
わいせつ事件の示談においては、弁護士が示談と同時に、相手方から告訴の取り消しを取り付けるのが通常です。
公訴時効
公訴時効とは、犯罪後一定期間が経過することにより、起訴することができなくなる制度です。
告訴期間の制限がない「わいせつ事件」も、公訴時効の期間内に告訴されない場合は、検察官は起訴できなくなるため、加害者は刑事法上罰せられないこととなります。
公訴時効の期間は、刑事訴訟法250条で定められていますが、各犯罪の法定刑によって長さが異なります。下表は、わいせつの罪の法定刑をまとめたものです。
令和5年7月13日以後のわいせつ事件
2023年7月13日以後のわいせつ事件については、以下のような公訴時効となっています。
罪名(刑法) | 懲役刑の上限 | 公訴時効期間 |
---|---|---|
公然わいせつ (174条) | 6月 | 3年 |
わいせつ物頒布等 (175条) | 2年 | 3年 |
不同意わいせつ (176条) | 10年 | 12年 |
不同意わいせつ致傷 (181条) | 無期懲役 | 20年 |
不同意わいせつ致死 (181条) | 無期懲役 | 30年 |
令和5年7月12日以前のわいせつ事件
2023年7月12日以前のわいせつ事件については、以下のような公訴時効となっています。
罪名(刑法) | 懲役刑の上限 | 公訴時効期間 |
---|---|---|
公然わいせつ (174条) | 6月 | 3年 |
わいせつ物頒布等 (175条) | 2年 | 3年 |
強制わいせつ (旧176条) | 10年 | 7年 |
準強制わいせつ (旧178条) | 10年 | 7年 |
強制わいせつ致傷 (旧181条) | 無期懲役 | 15年 |
強制わいせつ致死 (旧181条) | 無期懲役 | 30年※ |
※平成22年の刑事訴訟法改正により、「人を死亡させた罪」は、死亡させていない罪と区別され、より長期化した公訴時効期間が設けられました(刑事訴訟法250条1項)。
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