強制わいせつに強い弁護士

泥酔・睡眠に乗じたわいせつ行為

2023年7月13日、強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」に改正されました。

「女性が寝ているのをいいことに胸を触ってしまった。」
「泥酔した同級生にキスをしたり、下半身を触ったりしてしまった。」
「準強制わいせつ罪とは?」

わいせつな行為をしてしまいお悩みの方へ。
このページでは、準強制わいせつ罪成立要件特徴法定刑について解説しています。

わいせつ事件に強い弁護士に相談して、事件をスムーズに解決しましょう。

はじめに

「準強制わいせつ罪」は、令和5年7月12日以前のわいせつ事件において、適用される可能性がある犯罪です。

令和5年7月13日以後に同じような行為をした場合は、「不同意わいせつ罪」の一類型として刑事事件になる可能性があります。

まずは、以下の解説を読んでみて、ご自身の行為が犯罪に該当する可能性があるかどうかについて、確認してみてください。刑事事件に発展する可能性がある場合は、早期の弁護士相談をおすすめします。

準強制わいせつ罪

「準強制わいせつ罪」とは、人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させもしくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。

旧刑法178条1項

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

「準強制わいせつ罪」は、旧刑法178条1項に規定されており、「176条の例による」と規定されていることから、旧法の強制わいせつ罪と同じ刑罰が科されることが分かります。
すなわち、「準強制わいせつ罪」の刑は6月以上10年以下の懲役となります。

準強制わいせつ罪[まとめ]

条文旧刑法178条
手段心神喪失・抗拒不能に乗じて
心神喪失精神の障害によって、正常な判断力を喪失している状態のこと
抗拒不能心神喪失以外で、心理的・物理的に抵抗することが不可能またはきわめて困難なこと
故意被害者が心神喪失・抗拒不能状態にあることを、行為者が認識していることが必要
法定刑6月以上10年以下の懲役

準強制わいせつ罪と強制わいせつ罪との関係

旧刑法178条の準強制わいせつ罪が適用される場面としては次の2つの場合です。
①13歳以上の者に対し、その心神喪失又は抗拒不能状態に乗じわいせつな行為をした場合
②13歳以上の者に対し、暴行・脅迫によらずに、心神喪失又は抗拒不能にして、わいせつな行為をした場合

補足1

準強制わいせつは、暴行・脅迫を手段とせず、ある状態に乗じてわいせつ行為をした場合に成立します。
行為者が、暴行・脅迫によって、被害者を心神喪失又は抗拒不能状態にしてわいせつな行為をしたような場合には、旧刑法176条の強制わいせつ罪が成立し、準強制わいせつ罪は成立しません。

補足2

相手が13歳未満の者の場合、手段・状態を問わず、行為者がわいせつな行為をするだけで、強制わいせつ罪(旧刑法176条)の規定が適用されます。
13歳未満の被害者に対しては、準強制わいせつ罪は成立しません。

心神喪失・抗拒不能の意味

準強制わいせつ罪は、被害者が心神喪失・抗拒不能の状態にある場合に、わいせつな行為をしたときに成立します。

心神喪失とは、精神の障害によって、正常な判断力を喪失している状態のことをいいます。

また、抗拒不能とは、心神喪失以外で、心理的・物理的に抵抗することが不可能またはきわめて困難なことをいいます。

心神喪失又は抗拒不能の状態を利用した例

・被害者が高度の精神遅滞の状態にあるのを利用した場合
・睡眠中であるのを利用した場合
・泥酔状態にあるのを利用した場合
・被害者に密かに睡眠剤を飲ませ、あるいは催眠術を使うなどして、心神喪失・抗拒不能状態にさせたような場合
以上は、いずれも、被害者がわいせつ行為の行われることについて認識できない場合です。

準強制わいせつ罪の故意

準強制わいせつ罪が成立するためには、被害者が心神喪失・抗拒不能状態にあることを、行為者が認識していることが必要となります。

よって、行為者が自分の行うわいせつ行為について、被害者の承諾があると誤信していたような場合には、準強制わいせつ行為についての故意を欠くことになります。

もっとも、行為者自らが被害者を心神喪失・抗拒不能にさせた場合は、誤信したと認められるには特別の客観的事情の存在が必要となります。

不同意わいせつ罪の成立要件(令和5年7月13日以後のわいせつ事件)

処罰対象になる行為と刑罰

従前、準強制わいせつ罪として処罰されていた行為については、令和5年7月13日以後、不同意わいせつ罪が適用されることになるでしょう。

不同意わいせつ罪とは、お相手が、おもに8つの事由が原因で「同意しない意思の形成・表明・全う」について困難な状況にある場合に、わいせつな行為をしたとき成立する犯罪です(刑法176条1項)。

また、その行為がわいせつなものではないと思わせて、わいせつな行為をした場合にも、不同意わいせつ罪は成立します(刑法176条2項)。

不同意わいせつ罪の刑罰には、罰金刑はなく、6ヶ月以上10年以下の拘禁刑です。この刑期は、旧法の強制わいせつ罪と同じです。

旧法との違い(性交同意年齢)

不同意わいせつ罪が、旧法の強制わいせつ罪と違う大きな点としては、性交同意年齢や公訴時効があげられるでしょう。

不同意わいせつ罪の性交同意年齢は、16歳です。したがって、同意があっても、16歳未満にわいせつ行為をした場合は、不同意わいせつ罪が成立します。(ただし、13歳以上16歳未満の場合は、被害者より5年以上前の日に生まれていた場合に限る。)

旧法との違い(公訴時効)

不同意わいせつ罪の公訴時効は、12年です。旧法の強制わいせつ罪の公訴時効は7年なので、新法では公訴時効期間が長くなりました。

また、わいせつ事件の被害者が18歳未満の場合、被害者が18歳に達する日までの年数を加算して公訴時効期間とするルールも新たに加わりました(刑事訴訟法250条4項)。このため、法律上は12年でも、個別の事件では、その公訴時効の期間がさらに延びる可能性があります。

公訴時効の注意点

令和5年7月12日までに公訴時効が完成していない「強制わいせつ罪」についても、上記の公訴時効のルールは適用されるという注意点があります。

たとえば、令和5年7月12日に、12歳の児童にわいせつ行為をした場合、公訴時効が経過するのは7年後ではなく、18年(12年+6年)後となります。

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