判決文抜粋
「(麻薬購入資金)の授受は不法原因に基ずく給付であるがため(被害者)がその返還を請求することができないとしても、前示の如くいやしくも被告人らが該金員を領得するため(被害者)を殺害し、同人らから事実上その返還請求を受けることのない結果を生ぜしめて返還を免れた以上は、刑法二四〇条後段、二三六条二項の不法利得罪を構成するものと解すべきである」
強盗には強盗利得罪、事後強盗罪、強盗傷人・殺人・致死傷罪など様々な類型があります。
ここでは、麻薬購入資金の返還を免れることも強盗利得罪の利得にあたるとされた判例と、自動車によるひったくり事件において強盗致傷罪の成立が認められた判例をご紹介します。
「(麻薬購入資金)の授受は不法原因に基ずく給付であるがため(被害者)がその返還を請求することができないとしても、前示の如くいやしくも被告人らが該金員を領得するため(被害者)を殺害し、同人らから事実上その返還請求を受けることのない結果を生ぜしめて返還を免れた以上は、刑法二四〇条後段、二三六条二項の不法利得罪を構成するものと解すべきである」
被害者のために保管していた麻薬購入資金について、その返還を免れるため被害者を殺害した事案で、強盗利得罪の成立を認めた判例です。
民法上、麻薬購入資金の預り金などの不法原因給付物は委託者に返還請求権が認められていません。
民法上返還に応じる必要がなくとも、事実上返還をしなければ強盗利得罪における利得にあたるとされたのです。
「(被告人の各行為は)いずれも強盗致傷罪にあたる旨の原判断は正当である」
被害者のカバンのひもを手につかんで引っ張ったまま自動車を発進させるも、被害者らが奪われまいとしてひもをつかんだままであるにもかかわらず、自動車を加速させ、被害者らを引きずって転倒させた事案、いわゆるひったくりにおいて、強盗致傷罪の成立を認めた判例です。
ひったくりといえば窃盗のイメージがありますが、その態様が被害者の反抗を抑圧するに足りる暴行または脅迫である場合は強盗にあたります。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。