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恐喝の刑罰・捜査の流れ・裁判例

恐喝で適用される刑罰

恐喝は、刑法249条の恐喝罪によって処罰されます。
恐喝とは、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度の暴行、または、脅迫を加えて金銭を要求したりするなどの行為を言います。
なお、相手の犯行を抑圧するレベルの暴行、または脅迫を行った場合は、強盗罪として処罰されるでしょう。

刑法249条 恐喝

10年以下の拘禁刑

第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝における「脅迫」とは、相手の生命や身体に危害を加えると告知する行為のほか、犯罪の事実を警察に通報すると告知したり、秘密等を記事にして掲載するなどと告知したりする行為も含まれます。
なお、恐喝罪は未遂も罰せられるため、恐喝後、実際に金銭等が得られなかった場合でも、罪に問われます。

恐喝の捜査の流れ

恐喝事件では、まず、被害者が被害届を提出したり告訴したりして、警察が捜査を開始するケースが考えられます。
また、被害者や目撃者に通報され、駆けつけた警察官に警察署まで連行されるケースもあります。

被害届が提出された場合

1 被害届提出・告訴
2 捜査開始
3 取調べを受ける

被害者による被害届の提出や告訴によって、警察が事件を認知し、捜査が開始される場合があります。
その後は、警察署への出頭を要請されるなどして取調べを受けることになるでしょう。
態様が悪質な場合、逮捕される可能性もあります。

通報された場合

1 通報
2 警察官が臨場
3 警察署へ連行

被害者等の通報により、警察官が駆けつけるケースもあります。
その後は、任意同行などにより警察署へ連行され、取調べを受けることになるでしょう。
態様が悪質な場合には、現行犯逮捕される可能性もあります。

恐喝の有名裁判例

恐喝罪は、相手の反抗を抑圧しない程度の暴行、または、脅迫により財物を交付させることを処罰しています。
ここでは、債権者による取立てでも恐喝罪を構成しうるとした判例と、告知した害悪の内容が違法でない場合でも、恐喝罪が成立するとした判例をご紹介します。

債権の取り立てにつき恐喝罪の成立を認めた判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和27年(あ)第6596号 判決年月日: 昭和30年10月14日

判決文抜粋

「他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であり且つその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り、何等違法の問題を生じないけれども、右の範囲程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪の成立することがあるものと解するを相当とする」

弁護士の解説

返済に応じなければ身体に危害を加えるような態度を示した事案で、恐喝罪が成立するとした判例です。
債権取立のためにとった手段が、権利行使の方法として社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、交付を受けた全額について恐喝罪が成立するとされました。
借金を返済するよう説得するような態様であったとしても、説得方法によっては恐喝罪が成立し得るということです。

害悪通知の方法に制限はないと判示した判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和27年(あ)第6260号 判決年月日: 昭和29年4月6日

判決文抜粋

「恐喝罪において、脅迫の内容をなす害悪の実現は、必ずしもそれ自体違法であることを要するものではないのであるから、他人の犯罪事実を知る者が、これを捜査官憲に申告すること自体は、もとより違法でなくても、これをたねにして、犯罪事実を捜査官憲に申告するもののように申し向けて他人を畏怖させ、口止料として金品を提供させることが、恐喝罪となることはいうまでもない」

弁護士の解説

「恐喝」とは、相手の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫または暴行を加え、財物交付を要求することをいい、脅迫とは相手方を畏怖させるような害悪の告知をすることをいいます。
本件は、葉タバコを盗んだという弱みにつけ込み、その犯罪事実に対する口止め料を提供させた事案ですが、恐喝にあたるとされました。
脅迫の内容それ自体が合法的なものであったとしても、脅迫にあたり得るのです。

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