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強制性交(強姦)の有名裁判例

強制性交等罪は施行されてまだ間がありませんが、基本的には旧強姦罪の裁判例が準用されるとみられます。
旧強姦罪につき、その構成要件などが判示された裁判例、犯罪に着手時期や未遂既遂の分かれ目について判示された裁判例をここで確認してみましょう。

「暴行又は脅迫」の程度が判示された裁判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和23年(れ)第1903号 判決年月日: 昭和24年5月10日

判決文抜粋

「刑法第一七七條にいわゆる暴行又は脅迫は相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであることを以て足りる。」

弁護士の解説

暴行又は脅迫について、「相手方の抵抗が著しく困難になる程度」で足りると判示された裁判例です。
抵抗が困難であったかどうかは、時間的・場所的状況、被害者の年齢、精神状態など諸般の事情を考慮して客観的に判断されます。
「部屋が施錠されていた」「体格差があった」「周囲に人影がなかった」など、抵抗が困難だったと認められるような理由があれば、殴る蹴る、弱みにつけこむといった行為がなくても強制性交等罪が成立し得ます。

着手の時期について判示された裁判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和26年(れ)第1590号 判決年月日: 昭和28年3月13日

判決文抜粋

「たとい被告人に所論の如くいまだ猥褻行為に出でんとした直接の姿態がなかつたとしても、これを以て強姦の実行に着手したものというに妨げない。原判決が被告人の右の如き所為に対し強姦未遂罪を以つて問擬したのは正当である。」

弁護士の解説

どの段階から強制性交等罪として罰せられる行為となるか、判示された裁判例です。
具体的にわいせつ行為をしていない場合であっても、性交等を遂げる目的で「暴行又は脅迫」を開始したら強制性交等罪に当たる行為に着手したとみなされます。
この裁判例においても具体的にわいせつ行為を行っていませんが、旧強姦罪の未遂罪の成立が認められました。

未遂と既遂の分かれ目について判示された裁判例

裁判所名: 大審院 事件番号: 大正2年(れ)第1845号 判決年月日: 大正2年11月19日

判決文抜粋

「被告人ノ豫審調書ニ依レハ被告人ハ陰莖ノ半部ヨリ少シ深ク入レタル處被害者カ泣キ出セシ爲メ直チニ摘出セリ云云ノ意味ノ陳述アリ」
「強姦罪ノ既遂ハ交接作用即チ陰莖ノ沒入ヲ以テ標準ト爲スヘキモノニシテ生殖作用ヲ遂ケタルヲ必要トセス(略)既遂ノ事實ヲ認定シタルハ相當」

弁護士の解説

未遂と既遂の分かれ目について「陰茎の没入で既遂に達し射精を要しない」と判示された裁判例です。
昭和30年にも、性器の一部没入で既遂に達するという高裁の判決がでています。
また、改正後の強制性交等罪についてもこの基準が準用されるとみられ、肛門、口腔性交においても性器の一部没入で既遂になると思われます。

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