動画の内容書き起こし
岡野「裏社会ジャーニーの丸山ゴンザレスさんから質問来てた!」
『取材時に危険に巻き込まれたら正当防衛はどこまで認められますか?』
岡野「結論! 「防衛のため」の「やむを得ずにした行為」にだけ許される。
丸山ゴンザレスさんって薬中が集まるスラム街とかを取材したりする。取材中に薬物で頭がおかしくなった人から攻撃を受けた時とかはちゃんと自分の身を守りたい。
でも自分の身を守るためであってもすべてが正当防衛になるわけではない。
正当防衛が成立するためのポイントは次の2つ。
まず1つ目、防衛の意思。正当防衛は防衛のためにした行為にだけ成立する。
言い換えると、相手からの攻撃に逆上して積極的に反撃する意思で行った行為には正当防衛は成立しない。
次に2つ目、防衛の程度。正当防衛は「やむを得ずにした行為」にだけ成立する。
防衛の程度を超えた行為は過剰防衛になって違法アウト。
特に丸山ゴンザレスさんの場合は見てこの胸板! 格闘技経験者やから自分の身を守るときは過剰防衛になってしまわないように特に注意をしないといけない。
か弱い美少女の薬中に襲われたときは指先でポンっと軽く押すくらいにしといてあげて!」
動画の補足
正当防衛の条文を確認してみましょう。
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
刑法36条(正当防衛)
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
正当防衛が成立するための要件はいくつかりますが、特に重要なのは「防衛の意思」と「防衛の程度」です。
防衛の意思とは?
条文では「自己又は他人の権利を防衛するため」の行為について、これを罰しないとされています。
「防衛に名を借りて積極的に攻撃を加える行為」については防衛の意思を欠いたものとして正当防衛が認められません。
つまり「前からムカついていた相手だからこの機会に乗じてボコボコにしてやろう!」等と思っていたり「なんやこいつムカつくわ! ボコしてわからせたるわ!」等と思っていたりした上での行為は、正当防衛として認められないわけです。
とはいえ、例えば相手方からいきなり殴りかかってこられたようなとき、人間の生理的な反応として怒りを感じるのは当然のこととも言えます。
判例上、「怒りを感じていたから」「逆上していたから」といった理由で、直ちに正当防衛が認められなくなるというわけではありません。
怒りを感じて「積極的に攻撃してやる!」という意思が多少芽生えていたのだとしても、あくまで防衛の意思がメインである場合には正当防衛として認められます。
「攻撃の意思と防衛の意思が併存している場合はセーフ」「もっぱら攻撃の意思のみで反撃している場合にはアウト」というのが、判例上の解釈になります。
防衛の程度とは?
条文では「やむを得ずにした行為」について罰しないとされています。
やむを得ずした行為であるのかどうかの具体的な判断基準は細かく規定されているのですが、ざっくり言えば以下の4つに該当するような行為は、やむを得ずした行為であると認められます。
- あくまで防御に徹していた場合
- 他に取り得る手段がないので仕方なく反撃した場合
- 他に取り得る手段はあったものの、そちらは危険性が大きかったという場合
- 他に取り得る手段はあったものの、状況に鑑みてその手段を取るのが難しかった場合
つまり、もっと穏便な手段を取ることができたのにわざわざ攻撃的な手段に出たような場合には、防衛の程度を超えていると判断されてしまいます。
過剰防衛とは?
他の正当防衛の要件を満たしているものの、防衛の程度のみが超えているものについては、過剰防衛として認められます。
過剰防衛は罪自体には問われますが、裁判官の判断によって罪が減軽されたり、免除されたりする可能性があります。
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正当防衛についてさらに詳しく知りたい方は、当サイトの『正当防衛が成立する要件や過剰防衛との違いを解説!どこまで正当防衛?』の記事をご覧ください。
正当防衛のさらにくわしい要件や過剰防衛との違いなどについて解説しています。
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