1. »
  2. »
  3. 公認会計士に前科がついたらどうなる?早期に弁護士に相談しよう

公認会計士に前科がついたらどうなる?早期に弁護士に相談しよう

公認会計士の前科

「公認会計士として仕事をしていたが、罪に問われてしまい、前科がつくかもしれない。公認会計士の資格を剥奪されることはあるのだろうか」「今から公認会計士を目指したいが、過去に罪に問われて前科がついたことがある。公認会計士試験を受験して資格を得ることはできるのか」

この記事では、公認会計士資格と前科の関係について詳しく解説し、そのような疑問にお答えします。前科がつくと様々な不利益がありますので、早期に弁護士に相談することが重要です。

公認会計士は前科がついたら資格を剥奪される?

刑事事件を起こして禁錮以上の前科がついた場合、公認会計士資格を剝奪されたり新たに取得できなくなる可能性があります。禁錮以上の前科とは、禁錮刑、懲役刑、死刑のことです。

公認会計士は禁錮以上の前科がつくと資格を有しないとされる

公認会計士に関する制度を定めた法律である公認会計士法は、4条「欠格条項」(その業務に就くのに要求されている資格を欠くとみなされる要件)の2・3号において、以下に該当する者は公認会計士となることができないと定めています。

二 この法律若しくは金融商品取引法(略)第百九十七条から第百九十八条までの規定に違反し、又は投資信託及び投資法人に関する法律(略)第二百三十三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪、保険業法(略)第三百二十八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪、資産の流動化に関する法律(略)第三百八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪若しくは会社法(略)第九百六十七条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから五年を経過しないもの

三 禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの

公認会計士法4条

公認会計士が業務を行うためには、日本公認会計士協会への登録が必要です。公認会計士法4条に該当するに至った場合、同法21条1項3号は「公認会計士の登録を抹消しなければならない」と定めています。つまり、公認会計士である人に禁錮以上の前科がつくと、登録を抹消され公認会計士としての職を失うことになります。

公認会計士の業務の特性上、金融・株式・保険・会社運営などに関わる分野において法律違反を犯し前科がついた場合、規定がその他の場合での前科より重くなっているのが特徴です。

禁錮以上の前科がつかなくても職を失う可能性がある

また禁錮以上の前科による欠格条項とは別に、公認会計士が業務上において不正などを行った場合、内閣総理大臣は戒告・業務停止・登録の抹消などの懲戒処分を行うことができることが公認会計士法30条や31条に定められています。

さらに、日本公認会計士協会は自主規制の取り組みとして「綱紀審査制度」を設けており、場合に応じて懲戒処分が下されることがあります。

そのため、禁錮以上の前科でなくても、前科がつくことで懲戒処分がなされ、公認会計士としての職を失う可能性があります。

逮捕は前科ではないので資格に影響しない

前科とは、過去に有罪判決を受けた事実のことを指します。前出の公認会計士法第4条の2・3号の場合、「禁錮以上の刑に処せられた者」に該当します。

一般的には、「逮捕=前科」と思われがちですが、単に逮捕されただけでは前科がつくことはありません。捜査機関から捜査を受けた履歴のことは「前歴」と呼ばれ、捜査機関にのみ残るものです。

したがって、逮捕されたのみでは公認会計士資格に直接影響することはないといえます。ただし、もし逮捕が長引いたりした場合、風評によって仕事を失ったりするリスクはあります。そのため、早期に弁護士に相談するなどの対応が重要です。

(関連記事)

前科と前歴は違う|逮捕と前科の関係と前科のデメリット

前科があると3年もしくは5年間は公認会計士の資格を取得できない

公認会計士法第4条2・3号では、欠格条項に該当する者は「公認会計士となることができない」としているため、該当する者は公認会計士の資格を取得することができません。

したがって、刑が執行されて禁錮以上の前科がついてから5年(業務に関する事件)もしくは3年(通常の刑事事件)を経過していない場合、公認会計士の資格を取得することはできないということになります。

前科とは?罰金や執行猶予も前科になる?

前科とは、「刑事裁判で有罪判決が確定すること」であり、裁判になっても無罪判決を獲得できれば前科はつきません。

裁判以外で前科を回避する方法として、不起訴処分を獲得し、刑事裁判を開くことなく事件を解決に導く、という方法があります。

前科とは懲役刑や罰金刑が裁判で確定すること

前科とは、刑事裁判で有罪判決を受け、その判決が確定した際につくものです。

逮捕後は、一定の勾留期間を経て、検察官が起訴か不起訴かの判断を下し、起訴されて裁判で有罪判決が確定した場合、前科がつくことになります。

したがって、検察官が裁判を行わないという「不起訴処分」の判断を下せば、その人が刑罰に問われることはなく、前科はつかないということになります。

執行猶予や略式罰金も前科になる

注意しなければならないのは、裁判において「執行猶予つき判決」や「略式罰金」の判決が出た場合でも前科になるということです。

公認会計士法4条は、公認会計士となる資格を有しない基準を「禁錮以上の刑に処せられた者」としています。そのため、執行猶予つき判決を受けた場合は猶予期間を問題なく満了すれば資格が回復するということになります。

また、罰金以下の前科については「禁錮以上の刑」にはあたらないため、欠格条項には該当しません。

一度ついた前科は消えない

罪を犯し前科がついた場合、事件記録が検察庁や裁判所に保管されます。そのため、前科がついたという事実は消えることはありません。

しかし、前科の事実は消えなくても、その法的な効力は失効することがあります。具体的には、禁固以上の刑の場合は10年、罰金以下の刑の場合は5年の間、刑の執行を終えてから新たに罰金以上の刑に処せられなかった場合、前科としての法的な効力が失効するのです。

試験に合格した公認会計士が業務を行うためには、日本公認会計士協会への登録が必要となりますが、その際に提出する書類の中には履歴書があります。

前科の法的効力が失効すれば、公認会計士法の欠格条項には該当しなくなり、賞罰欄に記載する必要もなくなります。

公認会計士が前科で資格を失わないために弁護士へ早期相談

公認会計士が何らかの罪を犯したことにより前科がついた場合、資格の取り消しなどが行われる可能性があることがわかりました。

前科により資格を失わないためには、早期に弁護士に相談することが重要となります。

不起訴処分を獲得し前科を回避する

検察官により起訴が行われた場合、裁判で無罪になるのは非常に難しくなります。しかし、検察官が不起訴処分の判断を下した場合は、裁判を受けることがなくなるため、前科がつく可能性はゼロになります。

すなわち、前科がつくことを回避するためには、不起訴処分を目指すことが最も現実的な手段となります

(関連記事)

逮捕されても不起訴になる?前科をつけない4つのポイント

示談で不起訴の可能性を高める

被害者のいる犯罪の場合、早期に被害者対応を行うことが肝要です。真摯に反省して謝罪を行い、示談を締結することで、検察官が再犯の可能性や加害者家族への影響などといった様々な情状を考慮し、最終的に「起訴するほどではない」と判断する「起訴猶予」の可能性が高まります。

(関連記事)

逮捕と示談の関係を解説|示談をして事件の早期解決を図ろう

被害者と示談するためには弁護士に相談する

被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。

逮捕されてから起訴される前の身柄拘束が続く期間は、最大で23日間となっています。起訴が決定された後で示談が成立しても、後から不起訴とすることはできないため、示談交渉はその間に行う必要があります。そのため、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大切になってきます。

逮捕されている場合、加害者本人は示談交渉はできず、また逮捕されていない場合であっても加害者と被害者が直接示談交渉を行うことは困難です。そのため、示談交渉の際は弁護士を間に立てることが必要となります。

刑事事件でお困りの方へ
無料相談予約をご希望される方はこちら
24時間365日いつでも相談予約受付中 0120-204-911

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。

弁護士アイコン

監修者情報

アトム法律事務所 所属弁護士