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軽犯罪法違反の刑罰・捜査の流れ・裁判例

軽犯罪法違反で適用される刑罰

軽犯罪法は軽微な秩序違反を取り締まる法律です。
定められた刑罰はすべて科料もしくは拘留で、情状によりこれら2つが併科され得ます。
ここでは、軽犯罪法の中でもとくに問題となりやすい条項について抜粋して紹介します。

軽犯罪法1条1号

拘留または科料

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
一 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者

※態様により併科もあり得る

いわゆる廃屋などにたむろした場合には、この条項によって処罰される可能性があります。
現に人が住んでいる住居や管理者のいる建造物に侵入した場合は住居侵入等罪によって処罰され得ます。

軽犯罪法1条20号

拘留または科料

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者

※態様により併科もあり得る

性交や性交類似行為、陰部をことさら露出する行為は公然わいせつ罪に問われ得ます。
公然わいせつ罪が適用できないような露出行為については、その態様が公衆に嫌悪感等を抱かせるようなものであった場合、軽犯罪法1条20号が適用され得ます。

軽犯罪法1条23号

拘留または科料

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

※態様により併科もあり得る

条文中の「のぞき見」には盗撮行為も該当します。
実務上、迷惑防止条例違反や住居侵入等罪に問えない態様の盗撮犯罪などについて、この軽犯罪法1条23号を適用し検挙するケースがあります。

軽犯罪法違反の捜査の流れ

軽犯罪法違反の典型は、のぞきや刃物の所持です。
被害者や目撃者に取り押さえられたり、通報されたりして、臨場した警察官に警察署へ連行されるケースがあります。
また、職務質問を受けて犯行が発覚し現行犯逮捕されるケースもあります。

現場で拘束・通報された場合

1 現場で拘束・通報
2 警察官が臨場
3 警察署へ連行

のぞきなどにおいては、被害者等に現場で拘束・通報されるケースが考えられます。
臨場した警察官に警察署へ連行され、取調べを受けることになるでしょう。

職務質問された場合

1 職務質問・所持品検査
2 犯行発覚
3 取調べ

正当な理由のない刃物の所持などにおいては、職務質問・所持品検査を受けて犯行が発覚するケースが多いです。
その場合、警察署へ連行されて取調べを受けることになるでしょう。
態様によっては現行犯逮捕される可能性も否定できません。

軽犯罪法違反の有名裁判例

軽犯罪法は、他の法律で処罰されていない軽微な行為を33の類型にわたって処罰しています。
ここでは、軽犯罪法1条2号(銃刀法で処罰されない刃物等の携帯)の「正当な理由」意義・判断方法を示した判例をご紹介します。

軽犯罪法1条2号にいう「正当な理由」の意義及びその存否の判断方法について判示した判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 平成20年(あ)第1518号 判決年月日: 平成21年3月26日

判決文抜粋

「「正当な理由」があるというのは,本号所定の器具を隠匿携帯することが,職務上又は日常生活上の必要性から,社会通念上,相当と認められる場合をいい,(略)当該器具の用途や形状・性能,隠匿携帯した者の職業や日常生活との関係,隠匿携帯の日時・場所,態様及び周囲の状況等の客観的要素と,隠匿携帯の動機,目的,認識等の主観的要素とを総合的に勘案して判断すべき(である)」

弁護士の解説

催涙スプレーの携帯につき「正当な理由」があるとして無罪を言い渡した判例です。
職務上の必要から、専門メーカーにより護身用に製造された比較的小型の催涙スプレー1本を入手し、健康上の理由で行う深夜路上でのサイクリングに際し、専ら防御用としてズボンのポケット内に入れていたという事案で「正当な理由」があるとされました。
催涙スプレーの携帯が無条件に無罪であると判示されたわけではない点には注意が必要です。

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