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ストーカーは逮捕される?犯罪になる基準は?刑罰を防ぐための対処法を解説

ストーカーで逮捕?

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

ストーカー行為は、れっきとした犯罪行為です。行為の内容や状況によっては逮捕される可能性もあります。

恋愛感情のもつれや恨みに基づいて、つきまといや待ち伏せ、無言電話などを繰り返す行為は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」によって厳しく規制されています。

この記事では、ストーカー行為によって逮捕されるケースやその後の手続き、さらには逮捕された場合に弁護士へ相談・依頼することの重要性について、詳しく解説します。

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ストーカー行為とは?犯罪となる基準

ストーカー行為とは

ストーカー行為とは、ストーカー規制法で禁止される「つきまとい」をはじめとする行為を繰り返し行うことです。

ストーカー規制法では、以下のような行為を繰り返し行うことが禁止されています。

ストーカー規制法で禁止されている行為

  • つきまとい、待ち伏せ、立ちふさがり、住居等の付近での見張り、押し掛け、はいかい
  • 行動を監視していると思わせる事項の告知
  • 面会・交際等の要求
  • 著しく粗野又は乱暴な言動
  • 無言電話・連続した電話・文書送付・ファックス・電子メールの送信
  • 汚物や動物の死体等、不快・嫌悪の情を催させる物の送付
  • 名誉を害する事項の告知
  • 性的羞恥心を害する事項の告知、文書・図画の送付

直接的な接触以外にも、SNS等のネット上での執拗な嫌がらせも、ストーカー行為に該当します。

ストーカー規制法で処罰される基準

ストーカー行為は、以下2つの基準を満たした場合に、ストーカー規制法違反として処罰の対象となります。

ストーカー規制法で処罰される基準

  • つきまとい等を繰り返し行うこと
  • 恋愛感情のもつれや恨みに基づく行為であること

つきまとい等を繰り返し行っても、単なる恨みや嫌がらせなど、恋愛・好意の感情に起因しない動機の場合は、ストーカー規制法の規制対象にはなりません

これは、ストーカー規制法が「恋愛感情等に起因するつきまとい行為」を対象としているためです。動機が単なる恨みや職場トラブル、近隣トラブルなどの場合は、たとえストーカー行為をしていても別の法的枠組みで判断されることになります。

一方、恋愛感情のもつれや恨みから、つきまとい、待ち伏せ、無言電話を繰り返すなどの行為をすれば、ストーカー規制法で処罰される可能性があるでしょう。したがって、ストーカー行為は性犯罪の一部として扱われることもあります。

ストーカー行為で科される刑罰

ストーカー行為は、ストーカー規制法に基づいて以下のような刑罰が定められています。

まず、ストーカー行為そのものに対しては、「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科されます。

また、警察から出される禁止命令に違反してストーカー行為を続けた場合は、罪が重くなり、「2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金」が科される可能性があります。

なお、禁止命令に違反しただけで、再度ストーカー行為をしていない場合でも、「6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科されることがあります。

このように、ストーカー行為は初期段階であっても刑罰の対象となり、命令違反があればさらに厳しい処罰を受けることになるため、早期の対応が重要です。

ストーカー行為は逮捕される?

悪質性によっては逮捕される

ストーカー行為は、その内容や悪質性によっては逮捕される可能性が十分にあります

一般的には、まず警察から「警告」が出され、それでも行為が続けば、都道府県公安員会の「禁止命令」へと進みます。そして、この禁止命令に違反した場合、多くのケースで逮捕されることになります。実際、ストーカー事案における逮捕の多くは、こうした命令違反がきっかけとなっています。

ただし、行為が極めて執拗であったり、被害者に対する危険性が高いと警察が判断した場合には、警告や命令を経ることなく、初期段階であっても逮捕に踏み切られることもあります。被害者の安全確保が最優先とされているため、事案の深刻さに応じて迅速な対応が取られるのです。

ストーカー規制法の「警告」「禁止命令」とは

つきまとい等の行為をしている者に対し、警察は「警告」を出すことができます(4条)。「警告」に違反したとしても罰則はありません。

悪質なストーカー犯罪に対しては、都道府県公安員会が「禁止命令」を出すことができます(5条)。「禁止命令」に違反した場合は罰則があります。

警告と禁止命令の違い

警告禁止命令
どこが出すのか警察公安委員会
何に出すのかつきまとい行為悪質なストーカー行為
違反への罰則なしあり
有効期間なし1年間(1年単位で延長可能)

ストーカー事案では、加害者にとって「悪いことをしている」という認識がないこともしばしばあるため、まずは自覚と注意を促すものが警告の目的です。

禁止命令は、ストーカー被害者の申出や職権によって出されます。禁止命令の有効期間は1年間ですが、必要に応じて1年単位での延長が可能です。

なお、ストーカー行為は非親告罪となっており、被害者の告訴がなくても警察が捜査・逮捕を行うことができます。

ストーカー行為で逮捕される事例

ストーカー行為で逮捕される事例には、以下のようなケースがあります。

ストーカー行為で逮捕される事例

  • 被害者の住居付近で見張りをしたり、待ち伏せや押しかけを繰り返す行為
  • 面会や交際を繰り返し要求したり、電話やメールを何度も送信する行為
  • GPS機器を無断で取り付けて位置情報を取得し、監視する行為。

ストーカーの逮捕・検挙の状況

警察庁の資料によれば、2023年のストーカーの相談件数と、加害者に対する行政の対応は次のような数字になっています。

ストーカー相談件数と行政対応

ストーカー事案の相談件数19,843件
指導警告※12,184件
警告1,534件
禁止命令等1,963件

※指導警告とは、ストーカー規制法の「警告」に含まれない事実上の指導警告

また、同年のストーカー行為の検挙件数は以下の通りです。

ストーカー行為の検挙件数

ストーカー行為罪961件
禁止命令等違反120件
その他の犯罪1,708件
合計2,789件

ストーカー事案では、ストーカー規制法だけでなく、暴行・傷害・脅迫・住居侵入・器物損壊といった他の犯罪で検挙されるケースも多いです。状況によっては複数の罪に問われる可能性もあります。

ストーカーで逮捕された後の流れは?

逮捕後の流れ

取り調べ・勾留

ストーカーで逮捕されると、まずは警察の取り調べを受けることになります。

取り調べでは、被害者との関係性や犯行動機、家庭環境などについて聞かれることが多いでしょう。

また、ストーカーの場合、逮捕の前に接近禁止命令が出されているケースがほとんどです。そのため、なぜ命令に従わなかったのか問い詰められることも考えられます

被疑者の身柄は逮捕後48時間以内に検察に送致され、それから24時間以内に取り調べが行われます。

検察の取り調べを受けた結果、逃亡や証拠隠滅のリスクがあると判断されると、最長10日間の勾留に移ります。勾留は捜査の必要性に応じて、再度10日間にわたり延長される場合があります。

起訴・不起訴の決定

逮捕後の身体拘束は、起訴されるまで最長で23日間と定められています。

被疑者の勾留が期日を迎えると、起訴か不起訴が決定されるケースがほとんどです。不起訴となれば、その時点で事件は終了となり前科がつくこともありません

起訴には略式起訴と正式起訴の二種類があります。略式起訴の場合には、書類の手続きと罰金の納付だけで事件終了となりますが、正式起訴された場合には刑事裁判を受けなければなりません

なお、勾留満期となるまでに捜査が終わらず、起訴か不起訴か判断されない場合には、一時釈放されてから在宅事件に切り替わり、捜査が継続されます。

刑事裁判

ストーカーの場合、つきまとい行為を反復して行っており、突発的な犯罪に比べて悪質性が高い犯行であるといえます。「警告」や「禁止命令」を受けても止められなかったということであればなおさらでしょう。

また、ストーカーはエスカレートすれば重大犯罪に繋がるおそれもあり、検察官も安易に不起訴や罰金で終わらせることには慎重になります。

そのため、通常の起訴によって、拘禁刑を求刑されて公開裁判となることが多い犯罪類型です。

もっとも、ストーカー犯罪の法定刑の上限は、禁止命令に違反したストーカー行為の場合でも「2年以下の拘禁刑」です。3年以下の拘禁刑であれば、法律上執行猶予が付く可能性が十分あるため、実刑を避けるためにも弁護士へご相談ください。

SNSでのストーカーと不法侵入(執行猶予つき判決)

警察から被害者との接触禁止の警告を受けていた状況で、SNSを使い被害者にメッセージを送ったりマンションの敷地に侵入したとされる、ストーカー規制法違反と邸宅侵入の事案。


弁護活動の成果

保釈が認容され早期釈放が叶った。被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。執行猶予付き判決となった。

示談の有無

あり

最終処分

懲役1年執行猶予3年

ストーカーで逮捕された場合は被害者対応が重要

被害者対応(示談)は不起訴獲得につながる

示談とは

不起訴処分となるには、被害者対応を行うことが必要です。被害者と示談をし、加害者を「許す」という意思を得ることで、不起訴処分の可能性を高めることができます。

被害者に対して謝罪を行い、示談金を支払うことで、被害届の取下げを目指します。示談金は、単に迷惑料だけにとどまらず、被害者の状況に合わせて柔軟に対応することが重要です。

たとえば被害者が引っ越しを希望するのであれば転居費用を負担する、防犯カメラを設置するなどの防犯対策に投じた費用があればその負担も支払う、などの対応が考えられます。

示談交渉を弁護士に依頼する理由とは

弁護士が示談交渉を行うメリット

弁護士本人・家族
示談交渉交渉しやすいほぼ不可能
示談成立早期成立時間がかかる
示談金相場が分かる相場が分からない
内容不備のない示談が可能不完全になる恐れあり

ストーカー事案での示談交渉は、自分やその家族が行うことはほぼ不可能です。必ず弁護士に相談し、弁護士に対応してもらうことが大切です

ストーカー事案は性犯罪としての側面もあるため、被害者が加害者との接触を避けたいと考えるでしょう。加害者に住まいを知られていたり、加害者が同じ生活圏にいることは大きな恐怖となります。そのため、示談はすべて弁護士にまかせることが望ましいです。

通常、ストーカー事案での示談交渉の内容には、被害者と今後一切接触を図らないことも盛り込まれます。

加害者は、被害者が使用する可能性がある路線を使用しないことや、被害者の引越し費用を負担するなどの条件を示し、被害者の心的・経済的負担の軽減に務めることが大切です。

弁護士は、被害者と加害者の意見を調整しながら、互いの合意を得る形で示談を締結します。

示談は執行猶予の獲得にも意味がある

ストーカー被害者と示談を締結することで、不起訴獲得の可能性を高めることができます。もし、示談がうまく整わず、起訴されてしまった場合でも、示談交渉を継続することには意味があります。

被害者に謝罪をした事実や示談交渉の経緯を証拠化することは、執行猶予判決を獲得することにつながるからです。

仮に、審理が終了してしまってから示談が成立したとすれば、弁護士は弁論再開を求め裁判所に示談書などの証拠を提出します。真摯に被害者対応(示談交渉)に取り組んだことを示し、執行猶予付き判決が相当である意見を述べます。

ストーカーでの逮捕はすぐに弁護士に相談を

ストーカーで逮捕されたら弁護士面会を要請する

ストーカーで逮捕されたら、まずは弁護士面会(接見)を要請しましょう。家族が逮捕されたときには、家族が弁護士を探し、派遣を要請してください

自分でも警察をとおして当番弁護士を呼ぶことができます。逮捕されると、その直後から警察の取調べがはじまります。

後に不利益を被らないよう、取調べでの受け答えはとても重要です。専門家の助言をもとに、慎重に対応していくことが必要です。

弁護士面会(接見)では、警察職員の立会いをはずして、完全に一対一で法律相談を受けることができます。他人には聞かれたくないプライベートなことであっても、安心して相談することができます。

また、勾留と同時に接見禁止処分が付されると、家族であっても面会ができません。そのときでも、弁護士は必要に応じて面会することができますので、家族の様子を弁護士を通じて確認することも可能です。

警察対応と会社対応はプロフェッショナルにまかせる

ストーカーで逮捕された後は、警察や検察官の取調べが続きます。どう回答してよいかわからない質問に対しては、弁護士の意見を確認しながら対応することが望ましいです。

警察での供述や検察官とのやりとりは、のちに裁判で証拠としてつかわれることもあります。少しでも早く釈放されたいという思いから、認識と異なる供述をすると、あとで取り返しのつかないことになる危険もあります。

また、逮捕されると完全に身動きがとれなくなるため、仕事や学業に重大な支障が生じるでしょう。会社への説明や仕事の引き継ぎなど、誰かにサポートを受けなくてはどうすることもできません。

その点についても、弁護士に相談し、会社の誰にどのような連絡をすべきかを検討することができます。

逮捕後釈放されても、事件は終わっていない!

ストーカーで逮捕されて、すぐに釈放されることもあります。また、勾留されても満期を迎えたときに、処分保留で釈放となることがあります。

釈放されると、精神的な解放感から、安心してしまい「事件が終わった」と勘違いをしてしまう方もいらっしゃるようです。

しかし、処分保留での釈放は、あくまで処分が先延ばしにされているだけで、決して事件は終わっていません。

在宅捜査に切り替わっただけの状態ですので、すぐに弁護士に相談にいき、今後の動きを確認してください

まだ被害者対応をしていない場合は、検察官が処分を決めるまでに示談を進める必要があります。弁護士のサポートを受けながら、不起訴獲得に向けて準備を進めていきましょう。

アトムのストーカー事件解決事例

こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った事件のうち、ストーカー行為が問題になった事案について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。

ストーカー逮捕なし・事件化回避

夫の不倫相手へのストーカーで事情聴取を受けたが、事件化しなかった事例

夫の不倫相手の女性に対し、不倫行為をやめてほしい旨のメールを度々送信した行為が、ストーカー規制法違反等の違法行為にあたるか心配になり、委任を希望されたケース。


弁護活動の成果

依頼者の意向に沿い顧問としてアドバイスを行った他、意見書や添付資料等の作成に協力した。

ストーカー行為で逮捕・罰金刑

元交際相手へのストーカーと名誉毀損で、実刑を回避した事例

被害者女性に関するビラを住居近隣に投函したり、無料通話アプリで数日おきに何度もメッセージを送信したりした。名誉棄損およびストーカー規制法違反の事案。


弁護活動の成果

保釈が認容され、早期釈放が叶った。また、被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。裁判の場で情状弁護を尽くし、罰金刑50万円となった。

ストーカー行為で逮捕・不起訴

つきまといなどのストーカー行為で逮捕されたが、不起訴となった事例

長期間交際していた被害者との別れ話がこじれ、無料通話アプリにて100回以上メッセージを執拗に送るなどのストーカー行為を行ったとされるケース。ストーカー規制法違反の事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。

弁護士の口コミ・アトムを選んだお客様の声

刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のお客様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。

的確なアドバイスと迅速な対応で依頼して本当に良かったです。

ご依頼者様からのお手紙(的確なアドバイスと迅速な対応で依頼して本当に良かったです。)

(抜粋)相手方との交渉にもスムーズにご対応頂き、示談が成立して無事不起訴にして頂きました。アトム法律事務所さんに依頼して本当に良かったと思います。

丁寧に対応してくれ分からないことにはすぐに答えてくれました。

ご依頼者様からのお手紙(丁寧に対応してくれ分からないことにはすぐに答えてくれました。)

(抜粋)先生にはいつも一生懸命に迅速に行動して下さいました。そして丁寧に接して頂き、分からない事もすぐに質問して分かりやすく説明して下さいました。ありがとうございます。

刑事事件はスピーディーな対応が非常に重要です。

早期の段階でご相談いただければ、あらゆる対策に時間を費やすことができます。

ストーカー規制法違反で逮捕されたらアトム法律事務所へ

恋愛感情をもったストーカー行為は、性犯罪の一種です。ストーカー規制法違反で逮捕される可能性があります。

刑罰や前科を回避を目指したい場合、できるだけ早く弁護士までご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了