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軽犯罪法違反は逮捕されない?軽犯罪法違反になる行為や刑罰、時効は?

軽犯罪法違反

軽犯罪法違反は、逮捕されないことが多いです。

しかし、逮捕されなくても、起訴されることはあり、裁判で有罪になれば拘留・科料といった罰則が科され、軽犯罪法違反の前科がつきます。

また、軽犯罪法違反よりも重い罪(銃刀法違反・ストーカー規制法違反・迷惑防止条例違反・撮影罪など)との区別も問題になります。

「実は重い罪だった」「本来なら軽犯罪法違反で済むのに」といった事態に対処するためにも、弁護士への早期相談は必須です。

この記事では、軽犯罪法違反になる行為(他罪との区別を含む)、刑罰、時効、逮捕の可能性、軽犯罪法違反事件の流れなど解説します。

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軽犯罪法違反とは

軽犯罪法とは?

軽犯罪法とは、日常生活をおくる上で最低限必要とされるであろう道徳律について、比較的軽い犯罪として規定し、その刑罰を定めた法律です(東京高判S24.7.29高裁刑集2‐1‐53参照)。

軽犯罪法違反の刑罰は?

軽犯罪法違反の刑罰は「拘留」または「科料」です(軽犯罪法1条柱書)。

軽犯罪法の罰則

  • 拘留
    1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束される刑罰(刑法16条)
  • 科料
    1000円以上1万円未満
    の金銭を強制的に徴収される刑罰(刑法17条)

軽犯罪法違反が未遂にとどまる場合は、処罰されません(刑法44条、8条)。

軽犯罪法違反の罪は、情状により、刑が免除されたり、拘留及び科料が併科されたりします(軽犯罪法2条)。

拘留・科料は軽い罪と考えがちですが、どちらも前科になります。前科がつくと就職など様々な面で不利益が生じます。軽犯罪法違反行為をしてしまい前科がつくことを避けたい場合には弁護士に相談することをおすすめします。

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軽犯罪法違反になる行為は33種類ある!

軽犯罪法違反になる行為は、軽犯罪法1条に規定されており、33個の類型があります。

軽犯罪法違反になる行為には、凶器携帯、犯罪の虚偽申告、身体露出、のぞき、つきまとい等があります。

軽犯罪法違反が疑われる例

  • ツールナイフの所持
  • 催涙スプレーの所持
  • 警察に嘘の被害申告をした
  • 道路で立ちションした
  • 公園でお尻を出した
  • 他人の家をのぞき見
  • 女性に声をかけ、つきまとう

軽犯罪法違反になる行為の類型は、合計33個です。「軽犯罪法違反の一覧(ここをタップ)」からご確認ください。

軽犯罪法違反の一覧(ここをタップ)

軽犯罪法違反に該当する行為
潜伏(肝試しで廃屋に入るetc.)
凶器携帯(十徳ナイフなどを持ち運ぶetc.)
←刃体6㎝以上の刃物は銃刀法違反
侵入具携帯(ドライバー、懐中電灯などを持ち運ぶetc.)
浮浪
粗野・乱暴(パチンコ店で人にからむetc.)
消灯
水路交通妨害
変事非協力
火気乱用
爆発物使用等
危険投注等
危険動物解放等
行列割込み等
静穏妨害(自動車の警笛を異常に鳴らすetc.)
←騒音で他人に慢性頭痛症を生じさせた場合は傷害罪
称号詐称・標章等窃用(無資格なのに、リアルな警察官の制服・記章を着用してコスプレするetc.)
虚偽申告
←人に刑事処分を科す目的なら虚偽告訴罪(刑法172条)
氏名等不実申告
要扶助者・死体等不申告
変死現場等変更
身体露出(公園でお尻を露出etc.)
←男性器の露出は公然わいせつ罪(刑法174条)
(削除)*¹
こじき
のぞき見(隣人の住居内をのぞくetc.)
←盗撮も「のぞき見」の一種。性的姿態等の盗撮は撮影罪
儀式妨害(献花行事の妨害etc.)
水路流通妨害
排せつ等(つばを吐く・小便をするetc.)
汚廃物投棄
つきまとい等(たちふさがる・つきまとう等して困らせるetc.)
←恋愛感情があるならストーカー規制法違反
暴行等共謀
動物けしかけ・驚奔
業務妨害(面白半分のいたずら電話・いたずらで非常ベルを鳴らすetc.)
←悪質な場合は業務妨害罪(刑法234条)
田畑等侵入(駐車場に無断で立ち入るetc.)
←住居の庭なら住居侵入罪(刑法130条前段)
はり札、標示物除去等(人の家に張り紙etc.)
虚偽広告

こちらは2024年10月21日現在の「e-Gov法令検索・軽犯罪法」、警視庁「刃物の話」などをもとに整理した表です。最新の情報についてはご自身でご確認ください。

*¹ 動物愛護法の制定にともない削除。



軽犯罪法の条文は、以下にある「軽犯罪法1条(ここをタップ)」からご確認ください。

軽犯罪法1条(ここをタップ)

一 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
三 正当な理由がなくて合かぎ、のみ、ガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
四 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
五 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
六 正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた灯火を消した者
七 みだりに船又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者
八 風水害、地震、火事、交通事故、犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかつた者
九 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
十 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
十二 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者
十三 (略)
十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
十五 官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者
十六 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
十七 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名、住居、職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
十八 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかつた者
十九 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
二十一 削除
二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
二十四 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
二十五 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
二十八 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
二十九 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者
三十 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者
三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者
三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
三十四 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

軽犯罪法1条1号から34号(「e-Gov法令検索・軽犯罪法」より)


さて、次の項目からは軽犯罪法違反で逮捕される可能性や処罰までの流れを確認していきましょう。

軽犯罪法違反の逮捕の可能性

軽犯罪法違反で逮捕される可能性は低い

一般的に見て、軽犯罪法違反で逮捕される可能性は低いといえます。

令和5年度、警視庁管内の軽犯罪法違反で、(逮捕後に)身柄付送致された人数は1869人中わずか7人で、割合にして約0.4%です(警察庁の統計(令和5年)第84表 軽犯罪法違反の態様別検挙状況(措置別)」より)。

刑事事件全体から見ると、軽犯罪法違反での検挙件数は少なく、さらに逮捕される可能性も低いといえます。

それゆえ、捜査された場合・逮捕されてしまった場合は一大事なので、早急に刑事事件に強い弁護士の弁護活動を受ける必要性があります。

軽犯罪法違反の逮捕でお悩みの方、取り調べを受けた方は、アトムの無料相談もご検討ください。

軽犯罪法違反の逮捕手続き・要件

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

軽犯罪法違反が逮捕される場合、通常逮捕(後日逮捕)か、または現行犯逮捕になります。

軽犯罪法違反の通常逮捕

通常逮捕とは、裁判官が発行した逮捕状にもとづき、警察や検察が被疑者を逮捕する手続きです。

逮捕は「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」がある場合に可能です。

軽犯罪法違反の「逮捕の理由」とは、被疑者が軽犯罪法違反の罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(嫌疑の相当性)をいいます。

軽犯罪法違反の「逮捕の必要性」とは、(1)被疑者が定まった住所を有しない場合(住居不定)、または(2)被疑者が正当な理由なく出頭の求めに応じない場合をいいます。

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(略)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

刑事訴訟法199条1項

軽犯罪法違反の現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、犯行の最中や直後に、逮捕状なしで被疑者を逮捕する手続きです。

軽犯罪法違反の現行犯逮捕は(1)犯人の住居・氏名が明らかでない場合、または(2)犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、可能です。

三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。

刑事訴訟法217条

軽犯罪法違反は時効で逮捕されなくなる

軽犯罪法違反の罪は、犯罪が終わった時から1年経つと時効(公訴時効)をむかえるので、逮捕の可能性もなくなります。

公訴時効とは、起訴(刑事裁判の提起)ができなくなる期限のことです。

公訴時効をむかえた刑事事件は、裁判で刑罰を言い渡されることはなくなります。起訴や裁判の前段階である捜査も打ち切られ、基本的に、逮捕される可能性もなくなります。

公訴時効をむかえた後に、何かの手違いで逮捕された場合には釈放を求められます。

軽犯罪法違反の逮捕された場合の流れ

逮捕の流れ

逮捕後は警察で取り調べ

逮捕された場合、その後、警察の留置場で拘束され、軽犯罪法違反の取り調べを受けることになります。

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送致

逮捕後は、48時間以内に、警察から検察へ事件が引き継がれます(送致)。

検察は、被疑者を「勾留」したい場合、被疑者を受け取ってから24時間以内に、勾留を請求します。

「勾留」とは、逮捕に続く比較的長い身体拘束手続きのことです。

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勾留(=逮捕に続く身体拘束最大20日)

被疑者勾留の流れ

検察官の勾留請求に対して、裁判官は審査をおこない、勾留が必要だと判断した場合、勾留を決定します。

裁判官が勾留を決定したら、その後は原則10日間勾留が続きます。

勾留延長された場合は、さらに10日以内の間、身体拘束されます。

合計すると最大で20日間身体拘束が続く可能性があります。

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起訴・裁判(略式起訴・略式裁判)

勾留満期までに、検察官は起訴するかどうかを決めます。

起訴された場合、その後は刑事裁判になります。

軽犯罪法違反が起訴される場合、多くは略式起訴されて、略式裁判になるでしょう。

軽犯罪法違反でよくある略式裁判とは

略式手続きにできる要件

略式裁判は、検察官が「100万円以下の罰金や科料(1円~9999円)を支払う刑罰を科したい」と考えた場合に、被疑者の同意のもとでおこなわれる裁判です。

略式裁判は書面審理で(公開の法廷での審理がなく)、スピーディーに結論が出る点では、被疑者にとっても有利です。

しかし、略式裁判の場合は必ず有罪になる(前科がつく)という点は留意しておくべきでしょう。

略式起訴後の流れなど詳しく知りたい方は『略式起訴とは?前科はつく?要件と罰金相場、起訴・不起訴との違いを解説』の記事も、あわせてお読みください。

軽犯罪法違反で逮捕されない場合の流れ

逮捕の代わりに任意同行・任意出頭

職務質問などをきっかけに軽犯罪法違反で検挙されると、最寄りの警察署に任意同行を求められます。電話で警察から呼び出しを受けることもあります。

警察署では、取り調べ(事情聴取)が行われ供述調書が作成されます。「やったことを反省し、今後はもう同様の行為は行わない」という旨の上申書の記入が求められることもあるようです。写真指紋DNA検査用の唾液などをとられ、携帯していた凶器などは没収(所有権の放棄)されることが一般的です。

これらは任意での捜査ですので、拒否することもできますが、不必要に警察に食ってかかるような態度をとってしまうと問題が拡大し、追及が厳しくなったり取り調べが長時間化することもあるので注意が必要です。

取り調べ等がスムーズに終われば、たいていはそのまま帰宅が許されます。パトカーで自宅まで送られたり、家族などの身元引受人に迎えに来てもらう必要がある場合もあります。

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逮捕されずに警察の捜査を受ける

在宅事件の流れ

逮捕されない事件は「在宅事件」として、警察官の捜査を受けます。

呼び出しに応じて警察署に出頭し、軽犯罪法違反の取り調べを受けることになります。

書類送検

警察官が捜査を終えたら、その後は、警察官から検察官に事件が引き継がれます(送致)。

在宅事件の場合、「書類送検」(捜査書類だけが検察官に届けられる。身柄送致はない)となります。

書類送検の場合、自宅で生活しながら、検察官の呼び出し連絡に応じて出頭し取調べを受ける等して過ごし、起訴されるかどうかの判断を待ちます。

書類送検された後、早ければ1か月ほどで、起訴・不起訴の最終処分の連絡が検察から来ます。

在宅起訴・裁判(略式起訴・略式裁判)

起訴された場合、刑事裁判になります。

逮捕事件と同様に、軽犯罪法違反の場合、略式起訴・略式裁判になることが多いです。

逮捕されなくても起訴はある?

起訴するかどうかは検察官によって判断されます。

起訴されるかどうかは、逮捕の有無に関係ありません。逮捕なしでも、犯罪結果・犯行態様、前科の有無などが考慮されて起訴されることはあります。

軽犯罪法違反の起訴は回避できる?

起訴猶予とは

軽犯罪法違反の罪を犯した嫌疑がある場合でも、様々な事情にが考慮され、起訴猶予(不起訴)になるケースはあります。

具体的には、被害者との示談成立、反省を示す事情、更生に協力できるご家族の存在などが、不起訴の理由になります。

刑事事件の示談については『刑事事件で示談をすべき5つの理由|示談金の相場も紹介』の記事で詳しく解説しています。

軽犯罪法違反の典型例・他の犯罪の区別

ここからは、軽犯罪法違反でよく問題になる罪を解説します。他の罪との区別にも触れます。

のぞき見・盗撮

「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」には、軽犯罪法1条23号違反(窃視)の罪が成立します。

たとえば、他人の家の中をのぞき見した場合、軽犯罪法1条23号違反の罪に問われる可能性があります。

庭に侵入して住居内をのぞき見した場合

ただし、他人の住宅敷地内(例:庭)に侵入したうえで、のぞき見をした場合、軽犯罪法違反のほかに住居侵入罪(刑法130条前段)も成立します。

軽犯罪法違反(窃視)と住居侵入罪が成立する場合、刑罰は「1ヶ月以上3年以下の懲役」または「1万円以上10万円以下の罰金」になります。

カメラで盗み撮り(盗撮)した場合

軽犯罪法1条23号の「のぞき見」には、盗撮も含まれます。

人の住居内を正当な理由なく無断で撮影した場合、軽犯罪法違反になります。住居侵入罪を犯して、盗撮をした場合は、住居侵入罪の刑罰で処罰されます。

ただし、盗撮行為が、正当な理由なく、ひそかに「性的姿態等」を撮影するというものだった場合、撮影罪が成立します。

性的姿態等とは?

  • 性的な部位、すなわち、性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部
  • 人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を覆っている部分
  • わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態

法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」を参考に整理しました。最新の情報についてはご自身でご確認ください。

撮影罪の場合、逮捕される可能性は高くなります。

撮影罪の刑罰は、軽犯罪法違反より重たく、「1ヶ月以上3年以下の拘禁(懲役)」または「1万円以上100万円以下」の罰金です。

住居侵入罪を犯したうえで撮影罪をおこなった場合、撮影罪の刑罰が適用されることになります。

つきまとい・ストーカー

「他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えるような仕方で他人につきまとった者」には、軽犯罪法1条28号違反(つきまとい等)が成立します。

「不安若しくは迷惑を覚えるような仕方」でつきまとったといえるかどうかは、時刻、場所、つきまとった時間等の事情を総合的に考慮して判断されます。

たとえば、深夜、人通りの少ない道で、女性を無言で長時間追いかける行為などは、本罪に該当します。

ストーカー規制法との違い

つきまとい行為が反復継続して行われ、かつ、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充たす目的であった場合ストーカー規制法違反が成立します。ストーカー規制法違反が成立すると、軽犯罪法違反(つきまとい等)は吸収されます。

ストーカー行為の法定刑は、禁止命令等に違反していない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(ストーカー規制法18条)。

禁止命令に違反してストーカー行為をした場合の法定刑は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金です(ストーカー規制法19条1項)。

なお、つきまとい行為は迷惑防止条例によって処罰される可能性もあります。東京都の場合、ねたみや恨みなど悪意の感情に基づき反復してつきまとい行為をすると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金で処罰されます。

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身体露出・公然わいせつ

「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」には、軽犯罪法1条20号違反(身体露出)が成立します。

「公衆にけん悪の情を催させるような仕方」は、行為主体、露出部位・程度、行為の場所等を総合的に考慮し、一般人が不快感を覚えるかどうかを基準に判断されます。

公然わいせつ罪で処罰されることも

本罪に該当する行為でも、それが一般人の羞恥心を害する程度に至ると公然わいせつ罪(刑法174条)が成立します。例えば、陰部を露出する行為は公然わいせつ罪に当たります。

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虚偽申告・業務妨害

虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者」には、軽犯罪法1条16号違反(虚偽申告)が成立します。

また、「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」には、軽犯罪法1条31条違反(業務妨害)が成立します。

軽犯罪法の虚偽申告や業務妨害に該当する犯罪の典型例は、「警察鬼ごっこ」、俗に「ポリ鬼」と呼ばれる行為です。「ポリ鬼」は、虚偽の110番通報をした後、警察に捕まらないよう逃げるといういたずらです。未成年者が面白半分で行うケースがありますが、これは歴とした犯罪です。

虚偽通報が多数回にわたるなど悪質性の高いケースでは、刑法233条の偽計業務妨害罪が適用される可能性もあります。偽計業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

また、刑法172条の虚偽告訴罪とも異なります。虚偽告訴罪は「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした」場合に成立する犯罪です。虚偽告訴罪の刑罰は、3月以上10年以下の懲役です。

業務妨害については、以下の関連記事を読むと理解が深まります。

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凶器携帯・侵入具携帯

「正当な理由がなくて刃物鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」には、軽犯罪法1条2号違反(凶器携帯)が成立します。

また、「正当な理由がなくて合かぎのみガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」には、軽犯罪法1条3号違反(侵入具携帯)が成立します。

職務質問で警棒、スタンガン、金属バット、などが見つかるケースが凶器携帯の典型例です。護身用であっても「正当な理由」と警察は判断してくれません。カバンに入れて持ち歩くだけでなく、乗っている車の中から見つかって検挙されるケースも少なくありません。趣味のアウトドアで使うナイフなども、車に常備してあれば軽犯罪法で検挙される可能性があります。

裁判では、催涙スプレーについて凶器携帯にあたらないとして無罪認定された例もありますが、最高裁まで争ってやっと勝ち取った無罪ということからすると、非常に険しい道のりになることが想定されます。

なお、刃体の長さが6㎝を超える刃物の場合、銃刀法違反が問題になります。

【解決実績】軽犯罪法違反の弁護活動

アトム法律事務所の弁護士は、軽犯罪法違反の事案を数多く解決してきました。以下は解決実績の一部です。

逮捕あり・不起訴の事例

不起訴を獲得したケース

同僚と旅館に宿泊した際、女性用露天風呂にビデオカメラを差し向けて同僚女性を撮影しようとしたケース。迷惑防止条例違反(盗撮)で逮捕され、のちに軽犯罪法違反に変更された事案。


弁護活動の成果

弁護活動を尽くし不起訴処分を獲得した。

後日、事情聴取あり・不起訴の事例

不起訴を獲得したケース

コンビニエンスストアのトイレに盗撮目的で侵入し、携帯電話機を上からかざして被害者女性を盗撮して、後日警察から呼び出され事情聴取を受けたケース。建造物侵入罪、軽犯罪法違反の事案。


弁護活動の成果

被害店舗から嘆願書を取得し、被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。

逮捕前に刑事事件化を回避した事例

事件化を防いだケース

経営する事務所の更衣室とトイレに小型カメラを仕掛け、従業員女性の着替えや用便の様子を盗撮した事案。被害者に気付かれ弁護士を介して連絡がきたケース。刑事事件化前に受任。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。刑事事件化せず事件終了となった。

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軽犯罪法違反の弁護はアトムにお任せください!

  • 逮捕回避・早期釈放
  • 不起訴による前科回避
  • 示談による早期解決

弁護士への相談が早いほど軽犯罪法事件がスピーディーに解決し、平穏な生活に戻れるのも早くなります。
アトム法律事務所は刑事事件に注力する事務所としてこれまでに数多くの軽犯罪法違反事件を解決してきた経験と実績があります。

軽犯罪法の統計|アトム法律事務所
アトム法律事務所が取り扱った軽犯罪法の統計

軽犯罪法違反の逮捕の不安を弁護士相談するメリット

ここでは、弁護士に軽犯罪法違反の弁護を依頼するメリットをご紹介します。

早期の示談で不起訴獲得

軽犯罪法違反のうち、盗撮・つきまといなど被害者のいるケースでは、不起訴となるため早期の示談成立が非常に重要です。

示談交渉は、刑事弁護の経験豊富な弁護士への依頼が必須です。

弁護士であれば、被害者の精神的苦痛をやわらげつつ、加害者の刑事処分を軽くするバランスのとれた示談を締結することが可能です。

例えば、盗撮のケースであれば、被害者に今後一切近寄らないと誓約する条項を盛り込むなどの配慮を行います。

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軽犯罪法違反にとどまる旨の主張で逮捕・起訴を回避

軽犯罪法違反にとどまる行為が、より重い犯罪として検挙されてしまうケースは少なくありません。

例えば、電車内での痴漢行為は迷惑防止条例違反や不同意わいせつとして検挙される場合が多いです。しかし、より詳しく状況を分析すれば、軽犯罪法1条5号違反(粗野・乱暴)にとどまるケースもあります。

また、暴言は、名誉毀損罪や恐喝罪など刑法犯として検挙されるケースが多いです。しかし、実質は軽犯罪法1条5号違反(粗野・乱暴)に過ぎないケースも存在します。

その他にも、建造物損壊罪や器物損壊罪として検挙された行為が、軽犯罪法1条33条違反(はり札・標示物除去等)に過ぎない事案、詐欺罪として検挙されたが軽犯罪法1条34条違反(虚偽広告)にとどまる事案など様々なケースが考えられます。

弁護人は、これらの事案で被害状況や具体的な行為態様を分析し、軽犯罪法違反にとどまる旨を説得的に主張します。その結果、逮捕・起訴を回避できる可能性が高まります。

少年事件にも対応

軽犯罪法違反事件は未成年者が当事者となるケースも少なくありません。未成年者の刑事事件は、少年事件として扱われます。

少年事件は原則としてすべて家庭裁判所に送られます。少年事件では、再犯のおそれをいかに低下させるかが最終処分を軽くするポイントです。

アトム法律事務所の弁護士は少年事件にも対応しております。少年が自分自身で犯行原因や再犯防止策について考えを深められるよう弁護士がしっかりサポートします。

また、少年の交友関係などの改善にも努めます。被害者のいる事件では、示談にも尽力します。

お子さんが軽犯罪法違反で検挙され刑事事件弁護士をお探しの方は、ぜひアトム法律事務所の弁護士にご相談ください。

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軽犯罪法違反の逮捕・処罰の不安はアトム法律事務所まで

警察介入事件は初回30分無料:24時間相談ご予約受付中

アトム法律事務所は、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士事務所です。

過去、アトム法律事務所があつかった軽犯罪法違反事件では、逮捕なしが約94%前後、逮捕ありが約6%前後でした(アトムの「軽犯罪法違反の逮捕率」の統計より)。

軽犯罪法違反は、たしかに逮捕や勾留の可能性も低い犯罪です。ですが、逮捕後に、起訴され裁判で有罪になれば、軽犯罪法違反でも前科は残ります。

また、ご自身では軽微な犯罪だから軽犯罪法違反になるだろうと思っていても、実際はもっと刑罰の重い犯罪で逮捕・起訴される可能性も残ります。

ですが、弁護士の適切な弁護活動をうけることができれば、不起訴になる可能性や刑事事件化を回避できるケースもよくあります。

軽犯罪法違反のおそれがある方は、現在の不安定な状況から抜け出して、アトム法律事務所弁護士と一緒に早期解決を目指してみませんか。

アトム法律事務所では24時間365日、深夜や早朝もつながる相談予約受付窓口を開設しています。

警察から呼び出しを受けた、現行犯逮捕されたというようなケースでは、弁護士の相談料は初回30分無料です。

早期の弁護士相談が、早期のお悩み解決の鍵となります。

お電話お待ちしています。

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※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。

岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了