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危険ドラッグの刑罰・捜査の流れ・裁判例

危険ドラッグで適用される刑罰

危険ドラッグを輸入・所持等した場合、「医薬品医療機器等法」「関税法」「薬物の濫用防止に関する条例」によって処罰される可能性があります。

医薬品医療機器等法84条28号

3年以下の拘禁刑
もしくは300万円以下の罰金
または併科

第七十六条の四 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(略)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
第八十四条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
二十八 第七十六条の四の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)

「指定薬物」とは、「麻薬的な作用をする可能性が高くかつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」で、厚生労働大臣が指定するものを言います。
具体的には、いわゆる「ラッシュ」や「合法ハーブ」等と称して売られている薬物などが当てはまります。

関税法109条1項

10年以下の拘禁刑もしくは
3000万円以下の罰金
または併科

第百九条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の拘禁刑若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一の二 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項(定義)に規定する指定薬物(同法第七十六条の四(製造等の禁止)に規定する医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)

医薬品医療機器等法で定められている指定薬物を輸入した場合、この条文によって処罰されます。
実務的には、インターネットの海外通販闇サイトで指定薬物を購入し、輸入する態様が多いようです。

東京都薬物の濫用防止に関する条例22条1号

1年以下の拘禁刑
または50万円以下の罰金

第十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。(略)
一 知事指定薬物(知事指定薬物を含有する物又は植物を含む。以下同じ。)を製造し、又は栽培すること。
二 知事指定薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で所持すること(都の区域外における販売又は授与の目的で所持する場合を含む。)。
三 知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告すること。
四 知事指定薬物を所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は使用すること(販売又は授与の目的で所持する場合を除く。)。
五 多数の人が集まって知事指定薬物をみだりに使用することを知って、その場所を提供し、又はあっせんすること。
第二十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条第一号又は第二号の規定に違反した者

指定薬物として法律で規制されていない薬物であっても、同等の危険性を有するものとして知事が指定した薬物(知事指定薬物)を販売等すれば、条例によって処罰される可能性があります。

東京都薬物の濫用防止に関する条例22条の2

6か月以下の拘禁刑
または30万円以下の罰金

第十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。(略)
三 知事指定薬物を販売又は授与の目的で広告すること。
四 知事指定薬物を所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は使用すること(販売又は授与の目的で所持する場合を除く。)。
第二十二条の二 第十四条又は第四号第三号の規定に違反した者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。

知事指定薬物を販売、または、相手に渡すなどの目的以外で所持等した場合、この条例によって処罰される可能性があります。

危険ドラッグの捜査の流れ

薬物事件は、証拠の隠滅が容易であることから、何の前触れもなく家宅捜索が行われたり、逮捕されたりするケースも多いです。

職務質問される場合

1 職務質問を受ける
2 ドラッグが見つかる
3 検挙

パトロール中の警察官に職務質問や所持品検査を受け、ドラッグの所持等が露見するケースがあります。
ドラッグの所持が判明した場合、多くは現行犯逮捕され、尿検査を受けることになるでしょう。
使用していた場合、所持容疑で逮捕後、使用容疑で再逮捕されることも考えられます。

家宅捜索を受ける場合

1 警察が疑いを持つ
2 家宅捜索
3 薬物を発見

ドラッグの所持者や売人が検挙された際、警察は入手経路や販売先の情報などについても収集します。
場合によっては、店舗が摘発されるなどしてドラッグに関与したであろう人物が芋づる式にピックアップされるケースもあります。
ドラッグ所持等の疑いを持った警察は、対象者の家などを捜索し、ドラッグの発見に努めます。

税関が薬物を発見した場合

1 税関が薬物を発見
2 家宅捜索
3 証拠を発見

海外の闇サイトでドラッグを購入し、輸入しているという態様の場合、税関で発見される場合も考えられます。
その後は、届け先の住所で家宅捜索が行われ、購入の履歴や以前購入したドラッグ等、証拠が収集されるでしょう。

危険ドラッグの有名裁判例

いわゆる危険ドラッグは様々な種類があり、一般人が法律で規制されている薬物か確かめることは困難を伴います。
ここでは、所持していた薬物が、合法な薬物であると誤信した場合でも、未必の故意が認められると判示した裁判例をご紹介します。

指定薬物であることについて未必の故意が肯定されるとした裁判例

裁判所名: 福岡高等裁判所 事件番号: 平成28年(う)第181号 判決年月日: 平成28年6月24日

判決文抜粋

「指定薬物として指定されている薬物と同様に規制され得る同種の物であることを認識していれば,(略)故意の存在を認めるに足りる事実の認識に欠けるところはない」
「当該薬物には指定薬物として指定されていない薬物しか含有されていないと信じたことに十分合理的な理由があるなど,特異な状況が肯定できる場合でなければ,故意が否定されることはない」

弁護士の解説

指定薬物を所持していた事案で、合法なものと誤信していたとしても、指定薬物と同種のものと認識していれば故意があると認定された裁判例です。
所持している薬物が指定薬物と同種のものと認識していた以上は、その薬物が合法なものであると誤信したことについて十分合理的な理由がない限り、故意に違法薬物を所持したと認められるとされました。

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