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占有離脱物横領の刑罰・捜査の流れ・裁判例

占有離脱物横領で適用される刑罰

誰の占有にも属さない他人の所有物を、自己の事実上の支配下においた場合、占有離脱物横領罪として処罰されます。
警察に届けるために落し物を拾った等の態様であれば本罪は成立しませんが、その後思い直して警察に届け出ず、自分の物にした場合などでも本罪が成立し得ます。

刑法254条 占有離脱物横領

1年以下の拘禁刑
または10万円以下の罰金
もしくは科料

第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「占有を離れた」といえるためには、持ち主に限らず、誰も占有していないことが必要です。
たとえば旅館内に置き忘れられていた財布を自分の物にした場合、その財布は旅館主の占有になるため、本罪ではなく窃盗罪となります。

占有離脱物横領の捜査の流れ

占有離脱物横領の事案では、目撃者による通報などで現行犯逮捕される場合があります。
また、所有者による被害届提出を受けて捜査される場合もあります。

現場で捕まった場合

1 犯行が露見
2 現場で拘束・通報
3 警察に引渡し

被害者や目撃者に犯行が露見し、取り押さえられるケースがあります。
その後は警察署に引き渡されて取調べを受けることとなるでしょう。

被害届が提出された場合

1 被害届提出
2 捜査・被疑者特定
3 取調べを受ける

被害者が被害届を提出し捜査が行われるケースもあります。
警察は防犯カメラの解析などを行い、被疑者の特定に努めます。
被疑者として特定されると、任意での取調べを受けたり、家宅捜索されたりすることになるでしょう。

占有離脱物横領の有名裁判例

占有離脱物横領罪と窃盗罪のどちらが成立するのかは、被害者等の占有の有無によります。
ここでは、被害品に被害者の占有が及んでいるか争われた裁判例をご紹介します。

放置禁止区域内の自転車につき占有離脱物横領罪の成立を認めた裁判例

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 平成24年(う)第5号 判決年月日: 平成24年4月11日

判決文抜粋

「一般に駐輪場に置いた自転車について通常被害者の占有が認められるのは,(略)被害者の当該自転車に対する支配意思が客観的に明確にされ,それが社会秩序の中に受入れられているといえるからであって,放置自転車として撤去されるような場所に駐輪した場合を,これと同視し,又はこれに準ずるものとみることはできない」

弁護士の解説

自転車の放置禁止区域内である歩道上の植え込み部分に置かれた自転車を盗んだ行為について、占有離脱物横領罪の成立を認めた裁判例です。
放置禁止区域内は駐輪場のように被害者の占有の意思が明確化されているとはいえないこと、被害者は遠方に行き、長時間戻らないつもりであったこと、無施錠であったことから、被害者の自転車に対する占有は失われており、占有離脱物横領罪が成立するとされました。

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