動画の内容書き起こし
岡野「質問来てた!」
『アニメとかでよくある人の家の屋根を走るのは犯罪ですか?』
岡野「結論、犯罪! 住居侵入罪になる。
実際に日本の裁判で問題になったことがある。
事件が起きたのは今から数十年前。ある男が警察官の職務質問を逃れるためにビルのブロック塀に上がり、そこからまた別のビルのブロック塀に乗り移り、さらに庭に生えてた梅の木によじ登って住宅やビルの屋根の上を逃げ回った。
この裁判では弁護士は「住居侵入罪の侵入っていうのはあくまでも建物の内部に入ることであって屋根の上を走るのは侵入でも何でもないです!」と主張したものの、それを聞いた裁判官は「屋根の上を走り回るのもダメ!」として被告人に対してその他の多数の余罪や前科を考慮した上で懲役4年6か月の刑を言い渡した。
法律的には人の家の屋根を走り回るのも住居侵入罪。
もし周りにアニメの真似をして屋根の上を走り回ろうとしてる人がいたら右下の共有欄から教えてあげて!」
動画の補足
メディアでよく聞く「住居侵入罪」という罪ですが、その意味や内容について詳細に知っている方というのは少ないのではないでしょうか。
この補足記事では動画の補足として「そもそも住居侵入罪というのは何なのか」「どのような場合に適用されるのか」といったことを解説していきます。
住居侵入罪の条文と刑罰
住居侵入罪は刑法130条に定められています。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
刑法130条
一般的に不法侵入と言われ、人が寝泊まりする建物に侵入する「住居侵入罪」と、それ以外の管理されている建物に侵入する「建造物侵入罪」に分けられます。
また、要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しない場合には「不退去罪」が成立します。
いずれにせよ、どの類型にも刑罰として「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が定められています。
住居侵入罪が適用される場所は?
住居侵入罪における「住居」は現に人が生活している場所を指します。
動画で解説した通り、屋根も住居の一部です。さらに自宅の室内だけでなく、ベランダ、庭、マンションの敷地、エントランス、宿泊中のホテルの部屋も「住居」に含まれます。
住居侵入罪における「侵入」とは?
住居侵入罪で問題になる「侵入」とは、居住者や看守者の意思に反する、不法な立ち入り行為をいいます。
住居侵入について「鍵をこじ開けるなどしてこっそり侵入する」といったイメージをお持ちの方は多いかと思いますが、実務上はそれ以外の場合にも「侵入」となる場合があります。
例えば「万引き目的でコンビニに入店する」「盗撮目的で温泉施設に入る」といった行為は、たとえ外見上、一般の客と見分けがつかないのだとしても住居・建造物侵入罪が成立します。
過去の判例では強盗目的を隠して他人の住居を訪問した事案につき、被害者が「お入り」と言って部屋の中に招いたという事実がありながらも住居侵入罪の成立を認めたものがあります。(最大判昭和24年7月22日)
居住者の意思に反した立ち入りには住居侵入罪が適用されるのです。
さらに詳しく知りたい方はコチラの記事を参照!
住居侵入についていまお悩みになっている方は、当サイトの「不法侵入(住居侵入罪)で逮捕されたら弁護士にご相談ください」をご覧ください。
また、当サイトではアトム法律事務所が過去にとり扱った住居侵入犯罪について統計データを公開しています。住居侵入の逮捕率や起訴率のほか個別具体的な事例についてもご覧いただけるので、「住居侵入の統計を見る」からぜひご利用ください。
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