動画の内容書き起こし
岡野「質問来てた!」
『東京の公園に壁のガラスが透明の公衆トイレがあります。このトイレ、中に入って鍵を閉めたらガラスが不透明になるのですが、中に入って鍵を閉めずにガラスが透明なままでトイレをしたら犯罪ですか?』
岡野「結論、犯罪です!
まずガラスが透明なままで下半身を露出してトイレをしたら、公然わいせつ罪になる。実際、街中の立ち小便でも公然わいせつ罪で検挙されるケースがある。
仮に下半身が露出しないように注意をしながらトイレをしても、わざわざドアを開けてガラスが透明になるようにしてトイレをしている点で迷惑防止条例や軽犯罪法に違反する可能性がある。
このトイレを使うときはちゃんと扉を閉めてガラスを不透明にしてからトイレをすること!」
動画の補足
動画でも取り上げられた公然わいせつ罪について、詳しい知識をお持ちの方は少ないのではないでしょうか。
「路上で下半身を露出すると公然わいせつ罪になる」といった漠然としたイメージがあっても、では具体的にどんな場所でどんな露出をするとアウト/セーフなのかといった線引きを知っている方はあまりいません。
そこでこの補足記事では、動画でも触れた公然わいせつ罪や、それに関連する法律についてさらに深堀りしていきます。
公然わいせつ罪とは? どんな行為が罰せられる?
公然わいせつ罪の条文を見てみましょう。
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法174条(公然わいせつ)
公然わいせつ罪は、「公然と」「わいせつな行為」をした場合に成立する犯罪です。
まず公然については「不特定または多人数が認識しうる状態」とされています。
実際に人が見たかどうかや、見せるつもりがあったかどうかといった事情は関係なく、見られる可能性があれば成立するとされています。
例えば人が通るおそれのある海岸においてわいせつな行為をした事案について、現実には人が目撃することはなかったにも関わらず有罪となった事例があります。
動画のトイレについて言えば、透明なままの状態でトイレをしたら、その様子を第三者に見られる可能性は否定できません。たとえ現実にはトイレの様子を見る人がいなかったのだとしても、壁を透明にしたまま用を足すと公然わいせつ罪が成立するわけです。
「わいせつな行為」については、判例では以下の要素すべてを満たすものと定義されています。
- いたずらに性欲を興奮または刺激させ
- 普通人の正常な性的羞恥心を害し
- 善良な性的道義観念に反するもの
要するに、一般社会の基準で性道徳から外れた性的な行為をさします。野外での性行為、野外での性器の露出などはこの典型例です。
公然わいせつ罪以外の露出行為への規制
たとえ公然わいせつに定義されているわいせつ行為にあたらない行為であっても、動画で触れられた通り迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反にあたる可能性があります。
迷惑防止条例違反は各都道府県ごとに制定されている条例です。
東京都では、「人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること」に対して、6月以下の懲役または50万円以下の罰金を科すと定められています。
また軽犯罪法違反では「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留または科料にするとされています。
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