動画の内容書き起こし
岡野「質問来てた!」
『盗んだバイクで走り出すのは犯罪ですか?』
岡野「結論、犯罪!
行き先も解らぬまま盗んだバイクで走り出す行為は刑法235条の窃盗罪になる。
仮にバイクで走り出さなくても駐輪場でバイクを物色してキーを外そうと鍵をいじり始めた時点で窃盗未遂罪が成立する。
ほかにも、夜の校舎の窓ガラスを壊して回る行為は器物損壊罪。
15の夜に覚えたてのタバコをふかして星空を見つめながら自由を求め続ける行為は未成年者喫煙禁止法違反になる。
誰にも縛られてたくないと夜の帳に逃げ込んだとしてもアウト!
とにかくもう学校や家には帰りたくないかもしらんけど、悪いことしたんなら、被害者の方に謝らないと。一緒に警察署に自首しに行こ」
動画の補足
窃盗罪について、詳しい知識をお持ちの方は少ないのではないでしょうか。
動画でも取り上げられた通り、バイクを盗んで走り去る行為は窃盗罪にあたります。
しかし具体的にどんな行為をしたら窃盗にあたるのかといった定義や、科される可能性のある刑罰の内容まで、細かく知っている方はあまりいません。
そこでこの補足記事では、動画でも触れた窃盗罪についてさらに深掘りしていきます。
窃盗罪とは? どんな行為が罰せられる?
窃盗罪の条文を見てみましょう。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法235条
法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
10年以下の懲役刑が規定されているという点で、他の日常的な犯罪と比較しても非常に重たいものとなっています。
窃盗罪は「他人の財物を窃取した者」について処罰すると規定されています。
「他人の財物」「窃取」の具体的な基準は下記の通りです。
ポイント①「他人の財物」
他人の財物とは、他人が管理している物のことを指します。
お金、財布などはもちろんのこと、例えばお店に並んでいる商品も「他人(店長など)が管理している物」なので財物として扱われます。
また電気やガスなど具体的に形がない物についても、他人の財物として扱われ得ます。
たとえば人の家の電気を無断で使ってスマホを充電するなどの行為をすれば窃盗罪が成立し得ます。
ポイント②「窃取」
法律的には、「財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己又は第三者の占有に移すこと」とされています。
かみ砕いて言えば、他人の財物を許可や同意なしに自分のものにしてしまったり、第三者のものにしてしまったりする行為を指します。
いわゆる「盗み」と呼ばれるような行為全般は窃盗罪に該当するでしょうし、試着した服を着たまま帰る、磁石を使ってパチンコ玉を誘導し当たり穴に落として取得する、不正に取得したキャッシュカードでATMを操作して現金を引きだすといった行為も窃取にあたります。
盗んだバイクで走り出すのは窃盗罪?
盗んだバイクで走り出すのは当然、窃盗罪に当たります。
まずバイクは他人の管理している財物にあたります。これを盗んで走り出した時点で、バイクを自分のものにしてしまっていることは客観的に明らかです。
よって窃盗罪によって処罰されることになります。
窃盗は未遂でも処罰される?
窃盗は未遂の場合であっても処罰されます。
窃盗の既遂と未遂の分水嶺は、「自分の物にしてしまったかどうか」です。
「バイクを盗もうとしたものの、自分のものにしたとまでは言えない」という状況で犯行を中止したときには、窃盗の未遂罪が適用されます。
動画でも説明されている通り、「バイクのロックを外そうとして途中でやめた場合」などでは窃盗の未遂罪です。
どの段階までが未遂でどこまで行くと既遂になるのかは、判例の蓄積が少ないため一概には言えません。
客観的に「自分のものにした」と言えるかどうかが判断の分かれ目になります。
例えば「バイクのロックを外してハンドルに手をかけたものの、その場から動かさずに犯行を中止した」といった状況で捕まった場合には、未遂か既遂かが争点になることが予想されます。
さらに詳しく知りたい方はコチラの記事を参照!
窃盗罪についていまお悩みになっている方は、当サイトの「窃盗罪の刑罰は懲役何年?|前科の不安は弁護士に相談しよう」をご覧ください。
また、当サイトではアトム法律事務所が過去にとり扱った窃盗事件について統計データを公開しています。窃盗の逮捕率や起訴率のほか個別具体的な事例についてもご覧いただけるので、「窃盗の統計を見る」からぜひご利用ください。
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