動画の内容書き起こし
岡野「質問きてた!」
『自分でネットを使って判例や法律を調べることができれば、弁護士は必要ないですか?』
岡野「結論、必要ない!
弁護士ってあくまで代理人。事件の当事者である本人を代理して、法律的な作業を行うのが仕事。
だから、本人が自分でネットを使って、法律や判例を調べて、調べた結果に基づいて正しく手続きを遂行したら、弁護士はもはや必要ない。
唯一例外があるとすれば、それは刑事裁判。
刑事裁判では、刑事訴訟法っていう法律によって、一定の重大事件では、たとえ本人が弁護士を付けることを拒否したとしても、強制的に弁護士が付けられるルールになってる。
その場合は、いくらネットで調べて法律や判例に詳しくなっていたとしても、裁判長から無理やり弁護士を付けられることになる。
事件の当事者は、あくまでも本人。弁護士はその代理人にすぎない。
裁判で負けても自己責任になるけど、自分でネットを使って法律や判例を調べて、自分のトラブル解決に取り組んでみるのもアリやと思う。
まあ、ネットを使って法律や判例を調べるのもいいけど、わざわざそんなことしなくても、このタケシチャンネルをフォローしとくだけで、法律に関しては楽勝やで!」
動画の補足
動画でも解説されている通り、刑事事件においては必ず弁護士を付けなくてはいけない場面というのがあります。
この補足記事では、どのような場合に弁護士が強制的に付けられることになるのかについて詳しく解説していきます。
強制的に弁護士が付けられる「必要的弁護事件」とは?
強制的に弁護士が付けられるような事件を「必要的弁護事件」といいます。
必要的弁護事件は刑事訴訟法289条に定められています。
第二百八十九条 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。
② 弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないとき若しくは在廷しなくなつたとき、又は弁護人がないときは、裁判長は、職権で弁護人を付さなければならない。
③ 弁護人がなければ開廷することができない場合において、弁護人が出頭しないおそれがあるときは、裁判所は、職権で弁護人を付することができる。
刑事訴訟法289条
つまり、「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件」について裁判で審理する場合には弁護士が絶対に必要であり、被告人に弁護士がいない場合には裁判長が弁護士を強制的に付けてしまうわけです。
ちなみにこの「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件」というのは、具体的には殺人罪や強盗罪、詐欺罪、強制性交等罪などです。
また、このとき裁判所から付けられる弁護士は、法テラスが派遣する「国選弁護人」となります。国選弁護人の報酬は法テラスが支払うため、被告人が弁護士報酬を支払うことは基本的にはありません。
必要的弁護事件ではなくても裁判所が弁護士を付ける場合もある
必要的弁護事件ではない軽微な事件であっても、裁判所が弁護士を付ける場合もあります。
刑事訴訟法の37条では、裁判所は必要と認める場合には被告人に弁護士を付けることができるとされています。
第三十七条 左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。
一 被告人が未成年者であるとき。
二 被告人が年齢七十年以上の者であるとき。
三 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。
四 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。
五 その他必要と認めるとき。
刑事訴訟法37条
実務上、刑事事件の正式裁判において被告人に弁護士がついていなかった場合、裁判所はたとえ必要的弁護事件でなかったとしても「その他必要と認めるとき」という規定を根拠に、職権で強制的に弁護士を付けてしまうことが多いです。
仮に弁護士がついていなかった場合、裁判長は被告人本人にいちいち法的な専門用語などを解説しつつ手続きを進めていくことになります。
これでは円滑に裁判を進められないため、裁判長の手間の軽減といった側面から職権で国選弁護人が選任されることが多いのです。
さらに詳しく知りたい方はコチラの記事を参照!
国選弁護人についてお悩みになっていたり疑問をお持ちの方は、当サイトの「国選弁護人の意味|私選弁護人との違いや弁護士選任の流れを解説 」をご覧ください。
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