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逮捕後は弁護士選任を|国選弁護人・私選弁護人・当番弁護士は違う?

逮捕後の弁護士選任

「家族が突然逮捕された…」そんなとき、いつ・どうやって・どんな弁護士を選任すべきか、わからないものです。自分が逮捕されたときも同じです。国選弁護人と私選弁護人、当番弁護士、それぞれ名前は聞いたことはあるけれど、どんな違いがあるかよくわからない。そんな方のために、ここではそれぞれの違いをまとめています。

また、何を基準に弁護士を選ぶべきかも明示しています。逮捕という緊急の際には、まずこの記事を読んで、落ち着いて対応していきましょう。

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逮捕の前後で違う|国選弁護人と私選弁護人、どちらにすべき?

逮捕・勾留中の被疑者段階で弁護士選任をするとき

逮捕・勾留されている間、起訴されるまでは、「被疑者」という立場にあります。被疑者は弁護士をつける権利をもっています。これを「弁護人選任権」といいます。逮捕された後では、この権利を行使して弁護人をつけ、様々な法的アドバイスを受けたり釈放に向けた活動をしてもらいます。勾留された後、資力要件を満たせば国選弁護人をつけることができます(「被疑者国選」といいます)。また、自分で弁護士を選ぶ私選弁護人をつけることもできます。

逮捕されると、その後、勾留という段階に入る可能性があります。逮捕・勾留中は警察署で生活をしなければならず、社会生活に大きな支障が生じます。そのため、すぐに弁護人選任をして釈放の可能性を高めることが大切です。国選弁護人をつける場合には、必ずしも刑事事件に慣れた弁護士にあたるわけではありません。国選弁護人は自分で弁護士を選ぶことができない制度であるということを覚えておきましょう。

逮捕前や被告人段階でも弁護人選任は可能?

逮捕される前であれば、私選弁護人を選択することになります。逮捕されないと弁護士をつけることができない、というわけではありません。ただ、国選弁護人を選任するには、勾留されていることが前提となりますので、逮捕前には国選弁護人制度を利用することはできません。逮捕前に私選で弁護士をつけるときには、逮捕回避に向けた活動をしてもらいます。身体拘束せずとも捜査の目的が達成されることを捜査機関に訴えてもらいます。

起訴されると「被告人」という立場になります。被告人になると、資力要件として、資力が50万円未満であれば国選弁護人をつけることができます。私選弁護人もついていない場合、国選弁護人をつけて刑事裁判にのぞむことになります。ここでも、私選弁護人と異なり、弁護士を選んでつけられるわけではありません。被告人の弁護人は、一審の判決が確定するまでが弁護人の権限で活動することができます。控訴をする場合、その申立てまでとなります。

警察署に接見に来てくれるのは当番弁護士のみ?

警察に接見(面会)に来てくれる弁護士には、当番弁護士もいます。当番弁護士とは、逮捕された後、一度だけ接見に来て警察署内で法律相談をしてくれる弁護士のことです。弁護士会が派遣してくれる当番弁護士は、自分で選ぶことはできません。私選弁護士であれば、逮捕直後、勾留後でも接見にきて回数に制限なく法律相談を受けることができます。当番弁護士の場合は1回きり、国選弁護士の場合は勾留後という条件があります。

当番弁護士に弁護活動を依頼し、私選弁護人としてついてもらうこともできます。また、家族に弁護士をつけてもらい、私選弁護士に接見に来てもらうという方法もあります。私選弁護人の強みは、逮捕直後でも接見に来てもらうことができ、すぐに釈放に向けた活動に動いてもらうことができる点です。特に、勾留がつかないように活動をしてもらうには、逮捕後72時間以内に動いてもらう必要があります。

逮捕されたら警察署の中から弁護士接見(面会)を依頼する

国選弁護人選任制度はいつ使える?

被疑者段階で国選弁護士制度を使うには、勾留状が発せられた後でなければいけません。そのため、弁護士接見を要請するにも勾留後となります。勾留がつかないように活動をしてもらうには、私選弁護士に依頼する必要があります。勾留中、国選弁護士に釈放に向けた活動をしてもらうときは、勾留に対する準抗告申立、勾留取消請求、執行停止の申立のいずれかが考えられます。

国選弁護人の活動に力を入れている弁護士もいますので、誰が担当になるかわからないからといって落ち込むことはありません。制度上、勾留後の弁護活動となるため、逮捕直後に動くことができる私選弁護士のほうが「釈放に向けた活動に選択の幅がある」という点は頭に入れておきたいところです。逮捕前から弁護士を選任していれば、逮捕回避の動きをとったり、逮捕後でも検察官が勾留請求する前に意見を申し入れて在宅捜査を求める動きをとることもできます。

私選弁護人は刑事事件に強い?当番弁護士との違いは?

私選弁護人は、本人や家族が弁護士を自分で選んでつけることができます。そのため、刑事事件に詳しい弁護士、実績豊富な弁護士を選任することで、納得のいく弁護活動を期待することができます。その点、当番弁護士は自分で弁護士を選ぶことはできません。ただ、その当番弁護士に依頼したいと思えば、その当番弁護士を私選弁護士として選任することが可能です。

何をもって「刑事事件に強い」と判断するか、その判断基準は一概にはいえません。弁護士であれば刑事事件について専門知識を持ち合わせていることは間違いありません。であれば、誰を選任しても問題ないと考えることができます。しかし、実際には、弁護士によって得られる結果や満足感で差が出るものです。同じ手続き、同じ活動をするにしても、その動きの早さや具体的な見通しが立てられているかで違いを実感することがあります。実践経験が豊富にあればあるほど、先回りした対応が期待でき、それが釈放の早さや不起訴処分につながっていくのです。

逮捕後の弁護士選任のポイント3つ

逮捕後、弁護士を選任するにあたってのポイントとして、次の3つを押さえておきましょう。①動きのスピードが早い、②依頼者への報告が適宜ある、③弁護士費用が明瞭、この3点です。特に動きの早さは、刑事事件においては必須条件といえます。逮捕されると厳格な時間制限の中で手続きが展開されていきます。逮捕後は1分1秒を争うこととなりますので、スピード感はとても大切です。

また、依頼者への報告も重要です。刑事手続きは、逮捕された本人ですら、今どの段階にあるか、これからどんな流れになるのかがわからないものです。ましてや、家族に刑事手続きが逐一知らされるわけでもありませんので、大切な家族がどうなっているのかわからないままです。その不安をよく理解し、どの状態にあるかを報告し、わかりやすく解説してくれる弁護士は信頼できるといえます。

家族の逮捕相談するなら、弁護士会?弁護士事務所?

1.弁護士会の弁護士相談を利用する

家族が逮捕された場合、まずどこに相談すればよいでしょうか。相談窓口は、大きく2つあります。一つは、弁護士会の法律相談窓口です。各都道府県にある弁護士会が法律相談窓口を設置していますので、ホームページを確認して問い合わせてみるとよいでしょう。法律相談は事前予約をする流れになります。時間も限られていますので、相談したいことを予めメモに書いておくなど準備をしておくことをおすすめします。

例えば、離れて暮らす息子が逮捕されたとき、息子の住む地域にある弁護士会にいくべきでしょうか。答えは、NOです。最初に正しい情報を入手して冷静に動き方を考えることが大切です。とはいえ、逮捕という緊急事態は一刻を争います。弁護士会の相談窓口を利用する場合は、まずご自身のお住いの近くの弁護士会にお問い合わせください。

2.弁護士事務所の相談を利用する

弁護士会の他に、インターネットで「刑事事件 弁護士」などと検索して、刑事事件を扱う弁護士事務所に問合せることもお考えください。逮捕された息子がどうなってしまうのか、弁護士をつけるとどんなことをしてもらえるのか、弁護士費用はいくらなのか、直接弁護士にお尋ねいただけます。

弁護士事務所の法律相談では、無料相談の有無や、土日でも対応してもらえるかという点も重要です。逮捕は突然されるものです。土日でもすぐ連絡がとれ、相談に乗ってもらえる法律事務所は心強い味方です。中にはセカンドオピニオンを求めて、数か所法律事務所に問い合わせをされる方もいます。弁護士が得意とする分野はそれぞれですし、人柄の部分で合う合わないという問題もあるため、いくつか問い合わせをすることは有意義なことです。

3.刑事事件に詳しい弁護士に相談する

刑事事件で弁護士に相談する場合、その弁護士の解決実績を参考にすることもおすすめです。刑事事件といっても、逮捕される場合もあれば、在宅事件として逮捕されないケースもあります。被害者対応が必要なものとそうでないもの、本人が認めている事件と否認している事件、様々なものがあります。法律上の手続きはすべてに共通していても、事案によりするべきことは違います。そのため、今直面している事件と類似の事件を扱ったことがあるかも、確認しておくとよいでしょう。

また、全国に支店(支部)を展開している法律事務所では、地域を気にすることなく弁護活動を依頼できます。遠く離れた地で息子が逮捕されたという場合でも、法律相談は近くで受けられ、実際に逮捕地近くの弁護士に活動してもらう、ということが可能になります。大切な人が逮捕されたら、まずは弁護士事務所に問合せ、気になることはすべて聞いてみましょう。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了