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被害者が示談に応じないとどうなる|刑事処分への影響と対応策

示談に応じない

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

何らかの罪を犯してしまい、被害者と示談をしようとしても、被害者が示談に応じてくれない場合があります

被害者が示談に応じない場合、不起訴処分となる可能性が低くなったり、裁判では重い刑罰を科されるリスクが高まります。加害者の反省や被害回復が十分でないと判断される可能性があるためです。

しかし、示談が成立しなくても諦める必要はありません。示談条件の見直しや、供託や贖罪寄付など、取り得る対応策はあります。

この記事では、被害者が示談に応じない場合の刑事処分への影響や、取り得る対応策について解説します。

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被害者が示談に応じないとどうなる|示談交渉決裂の刑事事件への影響

刑事処分を軽くすることができない

示談を成立させることができれば、被害者から「加害者を許し処罰を求めない」という内容の示談書を書いてもらうことができます。このような示談成立により、不起訴処分を獲得したり刑を軽くしたりすることができます

しかし、示談交渉が決裂して示談を成立させることができなければ、刑事処分を軽くすることができません

刑事処分を軽くすることができない結果、起訴されてしまったり刑が重くなったりします。示談交渉決裂によって、示談が成立していれば科されないような重い刑を科される場合もあるのです。

民事上の損害賠償責任が残る

刑事事件を起こしてしまったことによって、被害者に対して損害賠償責任という民事上の責任を負うことがあります。

示談金を支払って示談を成立させることができれば、示談書の中で損害賠償も含めた解決とする旨を定めることで、民事上の賠償問題もあわせて解決することができます

もし示談交渉が決裂して示談を成立させることができなければ、示談金と兼ねて損害賠償金を支払うことができません。これにより、民事責任を果たすことができず、損害賠償義務が残ってしまうこととなります。

被害者の処罰感情を弱めることができない

刑事事件によっては、被害者は加害者に対して強い処罰感情を抱いていることも多くあります。被害者の処罰感情が強ければ、起訴・不起訴の処分決定の際や量刑の決定の際に考慮され、刑事処分が重くなります

示談を成立させることができれば、示談の中で謝罪をして、それを受け入れてもらうことができます。謝罪を受け入れてもらうことができれば、被害者の処罰感情を弱めることができます。

被害者の処罰感情を弱めることができれば、刑事処分の決定の際に考慮され、刑事処分を軽くすることができます。

逆に、示談を成立させることができなければ、被害者の処罰感情を弱めることができません。この結果、刑事処分が重くなることがあるのです。

被害者が示談に応じない主な理由

被害者が示談を拒む背景には、単なる怒りだけではなく、複雑な心理的要因や環境的要因があります。理由を正しく理解し、被害者の心情に寄り添ったアプローチを検討することが、解決への第一歩となります。

加害者への強い処罰感情

お金で解決したくない、正しく裁かれて刑務所に入ってほしい、という強い処罰感情や正義感が先行しているケースです。

特に、性犯罪(痴漢・盗撮など)や重大な傷害事件では、被害者の精神的苦痛が深く、加害者を許すことへの抵抗感が非常に強いのが特徴です

この場合、「お金で解決しようとしている」とネガティブに受け取られることも少なくありません。強引な交渉はかえって火に油を注ぐ結果となり、検察官に対して「厳罰を望む」という意向を強めてしまう可能性もあります。

示談金の額が被害実態と乖離している

治療費や休業損害、精神的苦痛に対して提示額が低すぎると、交渉が決裂しやすくなります。

財産犯(窃盗・詐欺など)の場合、被害者は被害回復を重視する傾向にありますが、最初からあまりにも低い金額を提示してしまうと、不信感を与えることになります

被害者が納得できないと感じる金額差がある場合は、単なる算定根拠の説明だけでなく、誠意を持った再検討が不可欠です

接触すること自体への恐怖

「連絡先や住所を知られたくない」「また何かされるのではないか」という恐怖心から、交渉自体を拒絶されることがあります。

これはストーカー事案や面識のない相手からの性被害、住居侵入などで顕著にみられる傾向です

この場合に被害者は、示談を加害者とのつながりと捉えてしまうため、無理に交渉を迫ることは逆効果です。弁護士を通じて、被害者に安心感を与える形で条件を提示することが重要です。

被害者が示談に応じない場合の対応策

示談金を積み増す

示談に応じてもらえない理由として、提示している示談金が足りないという場合もあります。提示している示談金の額が被害者にとって受け入れられる額に届いていなければ、示談を受け入れてもらうことはできません。

この場合には、示談金を積み増して再度提示することにより、示談に応じてもらえる可能性を上げることができます

示談金を積み増すにあたっては、示談金の相場を把握していることが大切です。最初に提示した示談金の額が相場よりも低い金額であれば、被害者が示談に応じないのも当然です。この場合には、相場に合わせた示談金の額を再度提示することになります。

もしも最初に提示した示談金の額が相場並みの額であったのにそれでも応じてもらえなければ、被害者の処罰感情が非常に強いのかもしれません。

この場合には、被害者の意向を確認して、どの程度の額の示談金であれば示談に応じてもらえるのかを確認します。被害者に示談に応じてもらえるまで、可能な限り示談金の額を積み増すと良いでしょう。

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刑事事件の示談|示談金の相場や条件、弁護士に依頼するメリット

示談条件を見直す

示談に応じない理由として、示談の条件が被害者にとって受け入れられないものとなっている場合があります。このような場合には、示談の条件を見直して修正することにより、示談を受け入れてもらえる可能性を高めることが重要です。

主に、宥恕条項の見直し、接触禁止条項の具体化・強化、物理的距離の確保などが有効です。

宥恕(ゆうじょ)条項を見直す

「被害者が加害者を許し、処罰を望まない」という宥恕条項付きの示談書は、刑事処分を軽くするための重要な証拠になります。もっとも、被害者の処罰感情が強く、どうしても「許す」という言葉に納得してもらえない場合もあります

この場合、被害者に宥恕条項を押し付けることは逆効果です。あえて宥恕条項を外す、あるいは「検察の判断に委ねる」といった表現にとどめることで、示談成立を優先させた方が良いでしょう。

「許す」という文言がなくても、示談金を支払い、被害者がそれを受け取ったという事実があれば、「被害弁償が済んでいる」と評価されることがあります。これにより、不起訴処分や刑の減軽につながる可能性があります。

接触禁止条項を具体化・強化する

被害者が示談を拒む大きな理由の1つに、「示談をした後、また嫌がらせをされるのではないか」「近くに来られるのが怖い」という再犯や接触への不安があります。

この不安を取り除くために、接触禁止条項をより具体的に、かつ厳しく設定することも有効です

単に、接触をしないと書くのではなく、以下のように条件を具体化・強化することが考えられます。

具体的な条件の例

  • 接近禁止距離の指定
    自宅や勤務先から半径〇m以内には近づかない、と明記する
  • 連絡手段の遮断
    電話、メール、SNSのほか、第三者を介した連絡も一切行わない、と明記する
  • 違約金の設定
    万が一接触した場合は、示談金とは別に違約金を支払う、という条項を加える

加害者側から、あえて厳しい制約を課す姿勢を見せることは、被害者に対する誠意の証明となり得ます。「これだけ守ってくれるなら示談に応じてもいい」という心理的な安心感につながります。

物理的に距離を置く

被害者と同じ職場や近隣に住んでいる場合、被害者が抱く「また遭遇してしまうのではないか」という恐怖心が、示談交渉の大きな障壁となります。

この不安を根本から取り除くために、接触禁止条項だけではなく、加害者側から転居や退職、配置転換などを条件として提示することも検討に値します

生活基盤を変えることは、加害者側にとっても大きな負担を伴いますが、その分「被害者と二度と関わらない」という強い意思を客観的に示すことができます。

金銭賠償だけでは拭いきれない心理的な不安を和らげることができれば、頑なに示談を拒んでいた被害者の心情に変化が生じ、解決へ向かう可能性が高まります。

供託や贖罪寄付(しょくざいきふ)を活用する

被害者が示談金の金額にかかわらず全く受け取る意思がないことを示している場合には、供託という方法があります。

供託は、被害者が示談金を受け取ってくれない場合に取ることができる手段です。被害者に示談金を支払う代わりに、法務局という国の機関にその示談金を預けることによって供託をすることができます

供託をすれば、被害者が受け取りを拒絶しても、一定の要件を満たすことで、法律上は損害賠償金を弁済したのと同様の効果が得られます(民法494条)。

示談が成立した場合ほどの効果は見込めませんが、被害弁償の意思を示した事実として、刑事処分を軽くする方向で考慮される可能性があります

このほか、薬物犯罪などのように被害者がいない犯罪であれば、贖罪寄付を活用することも考えられます。贖罪寄付とは、罪を償う気持ちの表れとして公益的な団体などに寄付をすることをいいます。

贖罪寄付をすれば、罪を償う気持ちを具体的な形にすることができるため、刑事処分を軽くする効果を期待することができます

示談交渉を弁護士に依頼する意義

弁護士に依頼すれば示談交渉が進みやすい

加害者やその家族が直接被害者とやり取りをすると、感情的な問題でうまく示談交渉が進まないことがあります。そのため、示談交渉は弁護士に依頼して行うべきです

弁護士が間に立つことで、当事者同士で行うよりも円滑に示談交渉を進めることができます。

刑事事件の示談の流れを詳しく知りたい方は『刑事事件の示談の流れ|加害者が示談するタイミングや進め方は?』の記事をご覧ください。

弁護士であれば被害者の連絡先を教えてもらえる

示談交渉をするためには、被害者の連絡先が分からなければなりません。しかし、多くの刑事事件では、加害者が被害者の連絡先を知りません。

このような場合には、捜査を担当している検察官に示談のために被害者の連絡先を知りたいと頼んで、被害者の連絡先を教えてもらいます。被害者が連絡先を教えることを承諾していれば、検察官から被害者の連絡先を教えてもらえます。

もっとも、多くの場合、被害者は弁護士限りでなければ連絡先を教えてくれません。加害者に直接連絡先を知られることは怖いと考えるからです。

そのような事情から、弁護士に示談交渉を依頼していなければ、被害者の連絡先を知ることもできないという場合が多くあるのです。

弁護士に依頼すれば、弁護士限りで被害者の連絡先を教えてくれるため、示談交渉を行うことができるようになります。この意味でも、弁護士に依頼することは欠かせないといえます

示談の経験が豊富な弁護士に依頼する

示談交渉を弁護士に依頼する場合、刑事事件の示談経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。弁護士にはそれぞれ得意分野があり、示談交渉に慣れていない弁護士もいます。

刑事事件を数多く取り扱い、示談交渉の実績が豊富な弁護士であれば、より適切な対応が期待できます。

被害者が示談に応じないまま刑事手続きが進めば、重い刑事処分が下されてしまう場合もあります。そのため一刻も早く示談を成立させる必要があります。

示談の経験が豊富な弁護士であれば、示談に応じない被害者ともスムーズに示談交渉ができ、刑事処分が軽くなることが期待できます。

被害者が示談に応じない場合の解決策まとめ

被害者が示談に応じない状況は、加害者側にとって非常に苦しいものですが、決して打つ手がないわけではありません。

示談金を積み増す、条件から宥恕条項を外して被害弁償に徹する、あるいは「供託」や「贖罪寄付」といった代替案を講じることで、刑事処分が軽くなる可能性は残されています。

大切なのは、被害者の感情を無視して強行するのではなく、法律の専門家である弁護士を介して、その場の状況に応じた最善の対処を講じることです

一刻も早く不起訴処分の可能性を高め、刑の減軽を目指すためには、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします

アトムの解決事例

アトム法律事務所では、被害者が示談に応じない姿勢を示していたケースでも、粘り強い交渉によって解決に導いた実績があります。

ここでは、一部の解決実績をご紹介します。

迷惑防止条例違反の事例

駅で女性を盗撮し現行犯逮捕されたケース。前科がなく、会社への影響を最小限に抑えるための早期釈放と、事件の円滑な解決を求めてご両親が依頼された事案


弁護活動の成果

被害者は示談に応じない姿勢で、厳しい条件も提示されました。しかし、弁護士が粘り強く交渉した結果、無事に示談を成立させることに成功、結果として不起訴となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴処分

傷害事件の事例

飲酒後の口論から相手に怪我をさせてしまったケース。被害者が示談を拒絶する姿勢を見せていたため、今後の重い刑事処分を回避する目的で相談に来られた事案。


弁護活動の成果

被害者は「一切示談に応じない」と強硬な姿勢でしたが、弁護士が粘り強く反省の情を伝えたことで、宥恕付き示談が成立。最終的に不起訴となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴処分

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刑事事件は時間との勝負です。特に、示談に応じてもらえない状況が続くと、その間に起訴の手続きが進んでしまい、不利益を被る可能性があります

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了