
「犯罪を起こしてしまったけど、起訴されるか不安…」「起訴猶予と不起訴って何が違うの?」 ― そんな不安や疑問を抱えている方のために、「起訴猶予」と呼ばれる処分についてわかりやすく解説します。
この記事では、起訴猶予とはどのような処分か、不起訴との違い、どのような人が起訴猶予になる可能性が高いのかについて、具体的な傾向を交えてご紹介します。また、起訴猶予後の注意点や生活への影響もお伝えします。

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目次
不起訴と起訴猶予の違いとは?起訴猶予は不起訴の一種
刑事事件で「不起訴になった」と聞くことがありますが、実は不起訴にもいくつかの種類があり、その中の一つに「起訴猶予」があります。
まずは、不起訴と起訴猶予の違いについて、わかりやすく解説します。
そもそも不起訴とは
不起訴とは、検察官が被疑者を刑事裁判にかけない(=起訴しない)と判断する処分のことです。
つまり、警察に逮捕・送致されたとしても、検察官が「刑事裁判にかけない」と決めた場合、その人は裁判を受けることなく刑事手続きが終了します。
不起訴となれば前科はつきません。
不起訴になる理由は大きく3つ
不起訴といっても、すべてのケースが「無実だった」というわけではありません。不起訴になる理由は複数あり、主に次の3パターンに分類されます。
不起訴処分の種類
- 嫌疑なし
捜査の結果、犯罪の犯人でないことが判明した場合 - 嫌疑不十分
捜査の結果、刑事事件の証拠が不十分で、犯罪事実が認められない場合 - 起訴猶予
犯罪の嫌疑が認められるが、犯人の性格や境遇、犯罪後の情況などを考慮し、あえて不起訴にする場合
起訴猶予とは
起訴猶予(きそゆうよ)とは、犯罪の嫌疑(証拠)は十分にあるが、情状を考慮し、検察官が「起訴する必要がない」と判断した場合に行われるものです(刑事訴訟法248条)。
分かりやすく言えば、検察官が「有罪にできるだけの証拠があるが、反省の意思や被害者との示談などを踏まえ、あえて起訴しない処分」です。
不起訴の種類である「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」のうちで、最も多かった不起訴の理由は起訴猶予で、令和4年における起訴猶予は、不起訴処分全体の69.1%に上ります(令和6年版 犯罪白書 第2編/第2章/第4節)。
また、令和5年における検察庁終局処理人員総数79万1,457人のうち、起訴猶予は44万4,261人であることからも、事件後の対応によって起訴猶予で不起訴となる可能性があることがわかるでしょう。
実務上、罪を認めている場合は、起訴猶予での不起訴を目指していくことになります。
【まとめ】不起訴と起訴猶予の違い
「不起訴」は裁判にかけない処分全体を指し、その中で「起訴猶予」は証拠が十分でも情状などを考慮して起訴しない不起訴の一種です。どちらも前科はつきません。
不起訴と起訴猶予の違い
不起訴(総称) | 起訴猶予(不起訴の一種) | |
---|---|---|
意味 | 裁判にかけない処分の総称 | 証拠は十分だが、情状などを考慮し起訴しない |
主な理由 | 嫌疑なし、嫌疑不十分など | 示談成立、反省の意思あり、犯行が軽微など |
前科 | つかない | つかない |
起訴猶予になりやすいケースや人の特徴
次のような条件に数多く当てはまる場合、起訴猶予になる可能性が高くなります。これはあくまで一般的な事案の傾向ですが、処分を左右する重要な要素です。
起訴猶予になりやすいケース・人の特徴
起訴猶予になりやすいケース・人
- 初犯である(これまでに犯罪歴がない)
- 犯罪の内容が軽微である
- 被疑者が深く反省しており、再発防止の意思が見られる
- 被害者と示談が成立している、または賠償が済んでいる
- 被疑者の年齢や社会的背景に特別な事情がある(未成年、高齢者、精神的・家庭環境など)
- 家族や職場などによる監督体制が整っている
たとえば、初めての万引きをしてしまった実家暮らしの大学生が、すぐに反省し、被害店舗に謝罪・弁償を済ませたケースでは、起訴猶予となる可能性が比較的高いでしょう。
上記のケースでは「初犯」「犯罪内容が軽微」「反省」「被害店舗への賠償」「家族の監督体制」といった起訴猶予になりやすいケース・人の要件を数多く満たしているからです。
もっとも、統計上、不起訴処分となったケースの約7割は「起訴猶予」によるものです。そして、その多くは、謝罪と賠償を尽くし、被害者との示談が成立していることが理由となっています。
実務上、起訴猶予獲得は、被害者との示談の有無が鍵を握ることが多いです。被害者がいる事件の場合には、弁護士を通じて示談成立を目指しましょう。
アトムの解決事例(示談で起訴猶予を獲得した事例)
商業施設のエスカレーターで、被害者女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとされるケース。警察官に声をかけられ交番と警察署に連行された。依頼者には同種の余罪が多数あった。迷惑防止条例違反の事案。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。
起訴猶予にならずに起訴される可能性が高いケースとは
以下のような場合、起訴猶予では済まず、起訴されて裁判になる可能性が高いです。
起訴される可能性が高いケース
- 再犯・常習的な犯行
- 事件が悪質で、社会的影響が大きい
- 被害者とトラブルが解決していない(示談が未成立)
- 被疑者が反省していない、否認している
- 社会的に許されないと判断される背景がある
つまり、再犯や悪質な犯行、被害者との示談が未成立といった処罰の必要性が高いケースは、起訴猶予とならず起訴される可能性が高いといえます。
起訴猶予になった場合の影響と注意点
起訴猶予は前科になる?
結論から言うと、起訴猶予は前科にはなりません。
不起訴処分の一種である以上、「前科」はつきません。しかし、検察庁や警察の内部記録には、捜査機関に嫌疑をかけられて捜査の対象となった履歴(前歴)として残ります。
そのため、将来的に再び犯罪を犯した場合、起訴猶予となった過去の犯罪が判断材料として使われる可能性もあります。起訴猶予は無罪ではないことに注意が必要です。
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・起訴猶予は前歴になる?前科との違いとは?前歴がつくとどうなる?
起訴猶予後の就職や社会生活への影響
起訴猶予は前科ではないため、一般的な就職活動や日常生活には大きく影響しないことがほとんどです。
ただし、刑事事件が勤めている会社や通っている学校に発覚した場合、会社や学校が独自に調査・判断して懲戒処分を受ける可能性はあります。
また、刑事事件が実名報道された場合は、インターネットに記事が残ることで、就職や社会生活に影響を及ぼす可能性は否めません。
再犯時の注意点:起訴猶予は一度きりになりやすい
起訴猶予は、「今回は見逃す」という意味合いが強いため、同じようなことを繰り返すと、次回は起訴される可能性が非常に高くなります。
たとえば、過去に万引きで起訴猶予処分を受けた人が、2回目も同様の行為を行った場合、再び起訴猶予になることは難しく、起訴(裁判)されて刑罰を受ける可能性が高まります。
まとめ
起訴猶予とは、犯罪を立証できるだけの証拠がそろっていても、被疑者の反省の態度や被害者との示談などを考慮して、検察官があえて起訴を見送る措置です。つまり、「罪はあるが、今回は裁判をせずに様子を見る」という判断です。
起訴猶予を得るためには、被害者との示談をはじめ、反省や再発防止への取り組みなどの対応が重要です。
早い段階で弁護士に相談し、適切な対応を取ることで、不起訴という結果につながるケースも少なくありません。
「起訴されるかもしれない」と不安な方は、できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判
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アドバイスと心を支えて頂き起訴猶予処分となりました。

(抜粋)この度は、大変お世話になりました。先生の弁護活動により、起訴猶予処分となり、心から感謝しております。私の犯してしまった行動による自業自得ですが、毎日が不安でしょうがなかったのですが、先生にいろいろとアドバイスを頂き、折れそうな心を支えてもらいました。今回のことを猛省し、二度と同じ過ちを繰り返さないという事を心に刻み込み、社会生活をやり直し、真っ当に生きていきます。この度はありがとうございました。
相談したおかげで、自分自身が落ち着いて対応することができました。

(抜粋)この度は庄司先生、及びアトム法律事務所の方々には大変お世話になりました。先生の弁護活動のおかげで、起訴猶予処分にしていただき、心から感謝しております。事件を起こして警察の取り調べを受けることがかなり私の心身に苦痛をもたらし、もう何もかも終わりだと思ったこともありましたが、先生に相談させていただくうちに落ち着いて対応できるようになり、その結果、前科がつかない処分となり、本当によかったです。
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