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起訴猶予は前歴になる?前科との違いとは?前歴がつくとどうなる?

起訴猶予は前歴?

何らかの犯罪を行ってしまったことで起訴猶予となった場合に、そのことが前歴になるのか、それとも前科になるのかというところは気になるところです。そもそもどのような場合に前歴がついてしまうのでしょうか。また、前歴と前科との違いはどのような点にあり、前歴がつくとどのような効果が生じてしまうのでしょうか。

この記事では、起訴猶予となった場合にそのことが前科や前歴になるのか前歴と前科との違い前歴がついてしまった場合の注意点などについて解説を加えます。

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起訴猶予と前歴や前科との関係

起訴猶予は不起訴処分の一種

ある犯罪を捜査した結果として起訴するか起訴しないかは、検察官が決定します。
不起訴処分とは、犯罪を捜査した結果として起訴しないで事件を終了させる検察官の処分のことを言います。
不起訴処分にはいくつかの種類があり、起訴猶予は不起訴処分の一種です。

起訴猶予とは、罪を犯した嫌疑は十分に認められて有罪を証明することができるだけの証拠があるものの、被疑者の様々な事情を考慮して起訴しないこととする処分のことを言います。
起訴猶予とされるにあたって考慮される事情とは、被疑者の性格や年齢、境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の事情などがあります。
起訴猶予となればその後起訴されて刑事裁判にかけられることはありません。そこで事件は終了となります。

不起訴処分には起訴猶予以外にもいくつか種類があります。他の不起訴処分には、嫌疑不十分嫌疑なしといったものがあります。嫌疑不十分や嫌疑なしとは、十分な犯罪の嫌疑がなく起訴することができないと判断された場合の処分です。刑事裁判にかけられることなくそこで事件が終了となるという効果は起訴猶予と同じです。

起訴猶予になれば前歴がつくが前科はつかない

前歴とは、犯罪を行ったと捜査機関に嫌疑をかけられて捜査の対象となった履歴のことを言います。起訴猶予処分は捜査の結果として起訴しないこととする処分なので、起訴猶予となった履歴は前歴になります。

前科とは、実際に刑事裁判にかけられて有罪となり刑を科せられた履歴のことを言います。執行猶予付き判決の場合にも有罪であったことには変わりないため前科はつきます。逆に、起訴猶予となって起訴されないで終わった場合には、有罪判決を受けていないために前科がつくことはありません

前科は回避するべき|前科の不利益

前科がつけば、前科の内容に応じて一定の職業に就くことができなくなったり選挙権・被選挙権が停止されたりするなどの制約がかけられることがあります。例えば、弁護士、医師、国家公務員・地方公務員、警備員などの一定の職業は、禁錮刑以上の刑など一定の前科があれば就くことができない場合があります。前科には就職制限という不利益があるのです。これに対して、前科ではなく前歴にとどまるのであればこれらの就職制限は基本的にありません。

また、再び罪を犯して刑事裁判にかけられることになれば、次回はより重い刑とされやすくなるという不利益もあります。これらのことから、前科がつくことはできる限り回避するべきだということになります。

実際に罪を犯してしまった場合に前科を回避するためには、起訴猶予による不起訴処分を得るしかありません。起訴猶予を得るためには、捜査の中で真摯に反省して捜査に積極的に協力したり、被害者との間で示談を成立させたりすることが重要です。刑事事件に詳しい弁護士に依頼すれば、示談交渉などの活動を代理して効果的に行ってくれます。このため、前科を回避するためには刑事弁護に詳しい弁護士に依頼することが重要になります。

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前歴がつくことの不利益

前歴は警察や検察のデータベースに記録される

罪を犯してしまったものの起訴猶予処分となり、起訴されて刑事裁判にかけられることなく済んだとしても、前歴はしっかりと残ります。誰がどのような前歴を有しているのかは、警察や検察のデータベースに記録されて保管されます。警察や検察は、この記録をその後の捜査や処分決定のために活用しているのです。

逆に言えば、前歴があることが警察や検察のデータベース以外に保管されることは基本的にありません。市区町村が作成する犯罪人名簿というリストには前科が記録されますが前歴は記録されません。戸籍などに記録されるということもありません。もちろん、一般の人が警察や検察のデータベースを見ることはできませんし、前科前歴があるかどうかについて問い合わせても教えてくれることはありません。前歴があるということは自分から他人に言わない限りは分からないと考えても良いでしょう。

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前歴がつくと次に罪を犯した場合に処分が重くなる

もしもまた次に何らかの罪を犯してしまった場合には、警察や検察はデータベースに保管されている前歴を参照しつつ捜査や処分を行います。このような前歴の参照は、検察官がする起訴・不起訴の処分決定の際には必ず行われます。

もし前歴があれば、次に罪を犯した場合の検察官の処分は前歴がない場合と比べて重いものになるのが通常です。前回が起訴猶予だった場合には、再び起訴猶予を得ることはより難しくなります。これは、一度は起訴猶予にして更生する機会を与えたのにまた犯罪を行ったということは刑を与えなければ更生できないのだと判断されるからです。このため、前歴がある場合には再び罪を犯してしまうことがないようにすることが重要です。

前歴が報道によりインターネット上に残る可能性

前歴が記録されている公的機関のデータベースを一般の人が見ることはできないため、ここから前歴が漏れる可能性はありません。しかし、犯罪を行った際に犯人と犯罪の内容が合わせて報道されてしまうことはあります。これによって、前歴に関する情報がインターネット上に残ってしまう可能性があります。インターネット上に残ってしまった前歴に関する情報は容易には削除することができません。このため、自分で前歴の情報をコントロールすることができなくなるというリスクがあるのです。

たとえ逮捕されることなく書類送検に終わったとしても、前歴がつくことに変わりはありません。しかし、書類送検で済めば、逮捕される場合よりもあまり大きく報道されないことが期待できます。報道が大きくならない結果として、前歴がインターネット上に拡散されるリスクも小さくなります。このことから、逮捕の回避は前歴がインターネット上に拡散してしまう可能性を最小限にとどめるためには欠かせません。逮捕の回避については、自首や示談、捜査への積極的な協力などいくつかの方法があります。逮捕の回避に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

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起訴猶予で前歴がついた場合の注意点

前歴は履歴書に書く必要はない

就職のために履歴書を書く際に、賞罰欄という記入欄が設けられていることがあります。この欄に、前歴について書く必要があるのではないかと悩むことがあるかもしれません。しかし、前歴であれば履歴書に書く必要はありません。

前歴は、犯罪の捜査を受けたという履歴であり、刑事罰を受けた履歴ではありません。このため、罰として申告しなければならない履歴にはあたらないのです。前歴であれば履歴書に記入して申告しなくても虚偽申告などの問題にはなりません。反対に、前科であれば刑事罰を受けた履歴であることから、正直に申告しなければならないということになります。

再び罪を犯してしまわないようにする

犯罪の捜査を受けた結果、起訴猶予となり前歴がついてしまった場合には、再び罪を犯してしまわないように注意する必要があります。前歴がついている状態で再び罪を犯してしまえば、前歴があることが考慮されて刑事処分が重くなってしまうからです。

もちろん罪を犯してしまうことは何度もあることではないことかと思われます。しかし、薬物犯罪や酒に酔って起こしてしまう犯罪のように依存性・常習性のある犯罪であれば、ついもう一度同じ犯罪を行ってしまうことはあり得ます。このような前歴がある場合には、前歴がついてしまったことをしっかりと心に刻んで再び罪を犯してしまうことがないように気をつけましょう。

前歴があるのに再び罪を犯してしまったら

前歴があるのに再び罪を犯してしまった場合に、重い処分が見込まれることからどうすればいいのか悩まれるかもしれません。しかし、前歴があったとしても、弁護活動の内容によっては再び起訴猶予を獲得したり執行猶予付き判決のような軽い刑にとどめたりすることは可能です。

前歴がある場合に再び起訴猶予を獲得したり執行猶予付き判決を獲得したりするためには、刑事事件の経験豊富な弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。刑事事件に詳しい弁護士であれば、どのような活動をすれば再び軽い刑事処分を獲得することができるかをよく知っており、適切な弁護活動を行ってくれます。前歴があるのに再び罪を犯してしまった方も、まずは弁護士に相談してみましょう。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了