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風営法違反の刑罰・捜査の流れ・裁判例
風営法違反で適用される刑罰
風営法は、キャバレーやパチンコなどの「風俗営業」や、いわゆる性風俗店の「性風俗関連特殊営業」を規制する法律です。
無許可や不届で営業を行ったり、自己名義で他人に営業させたり、性風俗店で18歳未満の者を働かせたりした場合に処罰されます。
風営法49条1号 無許可営業
5年以下の拘禁刑
もしくは1000万円以下の罰金
第三条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(略)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(略)の許可を受けなければならない。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき。
公安委員会の許可を得ずに風俗営業をした場合、この罪に問われます。
「風俗営業」とは、キヤバレーや営業所内の照度が10ルクス以下の飲食店、パチンコ店などを指し、いわゆる性風俗店は含まれません。
風営法52条5号(不届営業)
6か月以下の拘禁刑
もしくは100万円以下の罰金
第二十七条 店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別(略)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 営業所の名称及び所在地
三 店舗型性風俗特殊営業の種別
四 営業所の構造及び設備の概要
五 営業所における業務の実施を統括管理する者の氏名及び住所
第五十三条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
五 第二十七条第一項、(略)の届出書を提出しないで性風俗関連特殊営業を営んだ者
公安委員会に届出をしないで、いわゆる性風俗店を営業した場合、この罪に問われます。
風営法49条3号(名義貸し)
5年以下の拘禁刑
もしくは1000万円以下の罰金
または併科
第十一条 第三条第一項の許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
三 第十一条(第三十一条の二十三において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
公安委員会から風俗営業の許可を受けた者が、自己の名義を貸すなどして他人に風俗営業を営ませた場合、この罪に問われます。
風営法50条5号(性風俗店年少者従事)
2年以下の拘禁刑
もしくは200万円以下の罰金
第二十八条
12 店舗型性風俗特殊営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
三 営業所で十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。
第五十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
五 偽りその他不正の手段により第三十一条の二十二の許可又は第三十一条の二十三において準用する第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けたとき。
※態様により併科もあり得る
性風俗関連の店舗営業にあたり、18歳未満の者を客に接する業務に従事させた場合は、この罪に問われます。
風営法違反の捜査の流れ
昨今、警察は、風営法に違反している店舗の取り締まりを強化しています。
ある日突然、警察官が店舗に立ち入り、そのまま逮捕・取調べを受けるケースが多いようです。
警察の捜査が行われる場合
1
警察が捜査
2
違反を確認
3
摘発
警察官は、保護などをした18歳未満の児童からの聞き取りやおとり捜査、営業可能地域にあるのかの照合などの捜査活動により、店舗の違法性を認知します。
その後は、店舗の経営者がいるようなタイミングを狙って店舗に立ち入り、摘発する流れとなります。
風営法違反の有名裁判例
風営法は、パチンコやキャバレーなどの風俗営業を無許可で行うことを処罰しています。
ここでは、改正前風営法2条1項3号における「ダンス」の意義や、風営法2条6項3号、同法施行令2条1号「専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行の用に供する興行場」の該当性について争われた裁判例をご紹介します。
風営法2条1項3号に定める「ダンス」の意義が争われた裁判例
裁判所名:
大阪高等裁判所 事件番号:
平成26年(う)第705号 判決年月日:
平成27年1月21日
判決文抜粋
「(3号営業に対する規制の主な目的は、)男女間の享楽的雰囲気が過度に醸成されることを防止することを通じて性的逸脱行為の発生を防ぎ健全な性風俗秩序を維持することにある」
「風営法2条1項3号にいう「ダンス」とは,男女が組になり,かつ,身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスを指(す)」
個室ビデオ店の風営法2条6項3号、同法施行令2条1号「専ら」「興行場」の該当性について争われた裁判例
裁判所名:
東京高等裁判所 事件番号:
平成19年(う)第1189号 判決年月日:
平成19年8月29日
判決文抜粋
「店内に多数の個室を設置し、多数のアダルトビデオ等をあらかじめ準備した上、来店した客に対し、店内の個室において、それらのアダルトビデオ等のうち客の選択したものを視聴させていた」
「本件個室ビデオ店は、まさにアダルトビデオ等を視聴するために来店する客を対象として営業し、そのような客にアダルトビデオ等を視聴させることを専門的に行っていた」