1. »
  2. »
  3. 在宅事件の流れを解説|起訴率は低い?在宅捜査で呼び出される回数は何回?

在宅事件の流れを解説|起訴率は低い?在宅捜査で呼び出される回数は何回?

在宅事件

在宅事件では、逮捕や勾留などの身柄拘束を受けることなく、警察や検察から呼び出しを受けて捜査される流れとなります。

在宅事件で、捜査機関から呼び出される回数に制限はありません。捜査や取り調べの必要性があると判断されるたびに、呼び出されることになります。

逮捕される身柄事件とは異なり、在宅事件では仕事や学校を休む必要がなく、すぐに弁護士に相談する必要を感じない人が多いのが実情です。

しかし、在宅事件はいつ逮捕事件に切り替わるかわかりません。起訴される可能性もあり、早い段階で対策をしておく必要があります。

警察から呼び出しを受けたときには、在宅事件であってもすぐに弁護士までご相談ください。この記事は、在宅事件の実際について詳説しています。ぜひ参考にしてみてください。

刑事事件でお困りの方へ
無料相談予約をご希望される方はこちら
tel icon
24時間365日いつでも相談予約受付中 0120-204-911

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。

在宅事件の流れ|逮捕・勾留の流れとは時間制限の面で違う

在宅事件とは?在宅事件の流れ

在宅事件とは、身柄拘束(逮捕・勾留)されずに日常生活を送りながら捜査や裁判を受ける刑事事件のことです。刑事事件では、検挙(被疑者が特定)されたすべての犯罪が逮捕されるわけではありません。犯罪の嫌疑があったとしても、逃亡や罪証隠滅のおそれがなければ、身柄拘束されずに在宅事件になるのです。

在宅事件になると、被疑者は警察から何度か呼び出されて取り調べを受けます。警察での十分な捜査が終わると、検察へ捜査書類と事件が引き継がれる流れとなります(いわゆる「書類送検」)。

刑事事件の流れ(在宅事件)

在宅事件だと、日常生活を送りながら捜査が進むため、手続きの進捗はなかなか把握できませんが、警察から「次からは検察の呼び出しがあります」などと伝えてもらえるケースもあるでしょう。

事件を引き継いだ検察官から直接、被疑者は呼びだされて取り調べを受けるなど、追加の捜査等が行われた上で事件を起訴するか不起訴にするか判断されます。在宅のまま起訴されれば、刑事裁判にも自宅から出廷することになるのです。

身柄事件は逮捕・勾留されると起訴・不起訴の判断がでるまで最大23日間拘束される可能性がある一方で、在宅事件に時間制限はありません。在宅事件と逮捕事件では、厳格な時間制限の有無が大きな違いといえるでしょう。

在宅事件と身柄事件の違い

在宅事件身柄事件
身柄拘束なしあり
取調べ方法呼び出し留置施設で拘束
学校や会社行ける行けない
起訴可能性あり可能性あり

なお、在宅事件は「そもそも逮捕されることなく、最初から在宅で捜査が進められるケース」「一度逮捕・勾留された後に釈放されて在宅事件に切り替わるケース」に分けられます。

在宅事件から逮捕される可能性はある

在宅事件の捜査が進んでいても、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、逮捕事件に切り替わる可能性があります。

在宅事件では、捜査機関から何度か呼び出されて取り調べを受けることになるでしょう。捜査機関から呼び出されているのに無意味に拒否し続けたり、被害者に被害届を取り下げるよう脅迫まがいの示談を申し入れたりすると、逃亡や証拠隠滅のおそれありとして逮捕される可能性が高まってしまうのです。

在宅事件の捜査期間は長すぎる?

逮捕事件と違って、在宅事件の捜査期間には決まりがありません。そのため、在宅事件の捜査は長引くケースがあり、場合によっては1年以上も捜査が行われることがあります。

もっとも、警察の捜査段階で1~2か月程度、事件が検察に送られてから1~2か月程度で終わる事件が多いイメージです。事件の内容によっては、在宅事件でも1ヶ月程で刑事処分が決まり事件が終了することもあります。

在宅捜査は、軽微な犯罪で行われることが多いです。しかし、中には不同意わいせつ罪などの重い刑罰が予定されている犯罪でも在宅捜査になることもあります。

逮捕の必要がないケースでは身体拘束は行われず、捜査を受けながらも日常生活を維持できるのです。仕事や学校を休むことなく、呼び出しのあったときに呼び出しに応じるだけでよいので、生活への支障は最小限となります。逮捕されるか在宅事件として扱われるかは、当事者にとって大きな違いがあるでしょう。

在宅捜査で呼び出しを受ける回数は?

単純な事件で在宅捜査を受ける、警察と検察を合わせて3回前後の呼び出しとなるケースが一般的です。しかし、被害状況が深刻だったり共犯者がいたりするなど、事件の内容によっては呼び出し回数が増えることもあるでしょう。

在宅事件で警察から呼び出しを受ける回数

在宅事件では、警察から何度か呼び出しをうけて警察に行くことになります。事件当時のことを何度も確認され、同じ質問を繰り返し受けることもあるでしょう。

単純な事件で犯行を認めているのであれば1~2回の取り調べで、検察に引き継がれることが多いです。

しかし、警察から呼び出しを受ける回数は、事件の内容や捜査の進展具合によります。警察が証拠を収集して検察官に送致をしたとしても、補充捜査として必要があれば、警察に呼び出しを受けることもあります。

警察に呼び出しを受けたときは、基本的には素直に応じることをおすすめします。理由があり日程変更を希望するときには、担当警察官に事情を説明し、話を通しておくことが必要です。何も言わずに呼び出しの日に行かなければ、逃亡したと思われることもあり、逮捕の可能性が高まってしまいます

警察による事情聴取(取調べ)を受ける前には事前準備が欠かせません。取り調べで不利にならないようにするための方法を知りたい方は『警察の事情聴取(取調べ)をどう乗り切る?不利にならない対応と今後の流れ』を参考にしてください。

在宅事件で検察官から取り調べを受ける回数

送致後は、検察官から呼び出しを受け、取り調べを受けることになるでしょう。在宅事件での検察官の取り調べは、1回で済むことも多いですが、何度も繰り返し行われることもあります。検察官は、事件を起訴するか不起訴にするかの処分を検討しなければなりません。十分な証拠をもとに刑事処分を決めるため、当事者である被疑者の取り調べは慎重に行われます。

検察官は警察から引き継いだ資料をもとに、被疑者を取り調べます。被害者からも話を聞き、事件の真相究明にあたることもありえます。

取り調べの回数が重なると、検察官がどのようなことを知りたがっているか、事件をどのように読んでいるかが分かるものです。被疑者は取り調べの内容を詳しく弁護士に話し、弁護士からアドバイスをもらいながら捜査を受けるようにしましょう

検察に事件が起訴されてしまえば、有罪率99.9%以上といわれる刑事裁判が始まります。不起訴を目指すのであれば遅くとも検察の呼び出し前には弁護士に相談すべきでしょう。検察の取り調べで処分を告げられてからでは手遅れになってしまうおそれがあります。

関連記事

検察庁から呼び出されたら不起訴は無理?呼び出しの理由と対応方法

コラム|在宅事件でも報道される?

在宅事件でも報道されることはあります。たとえば、「〇〇が書類送検された」というニュースなどは在宅事件の報道です。

ただし、報道はあくまでマスコミの判断で行われますので、報道されるされないの明確な基準が決まっているものではありません。また、在宅事件では報道されたとしても、実名報道はされにくい傾向にあります。

在宅事件に比べると、逮捕事件で報道される場合は、送致の際に警察署から出たところをマスコミに撮影され、顔の映った画像や動画が出回ってしまうリスクが高いです。しかし、在宅事件では警察に連れられているところを撮影されることがないため、悪い印象を与える画像や動画がネットに流れる危険は少ないといえるでしょう。

もっとも、社会的にインパクトのある逮捕事件のほうが報道されやすい傾向にあるというだけで、事件の内容が社会の関心を集めるものであれば、在宅事件でも報道される可能性は十分あるのです。

刑事事件が報道される主な不利益

刑事事件が報道されると、全国に知れ渡るほか、仕事へ悪影響がでたり、ネットに実名が永久に残り続けたりすることになります。

在宅事件は捜査機関からなかなか連絡がこない?

在宅捜査で連絡がこない理由は主に2つ

在宅事件では捜査機関からなかなか連絡がこないケースも多いでしょう。連絡がこない理由として主に考えられるのは「事件の悪質性や被害の程度が軽く、後回しにされている」、「捜査機関が捜査方針を慎重に検討している」の2つです。

  • 事件の悪質性や被害の程度が軽く、後回しにされている
    在宅事件の多くは、少額の万引きや軽めの喧嘩による暴行事件など、そこまで悪質でない事件や、被害者がいても被害の程度が比較的軽い場合が多いです。そのため、刑事手続きの処理が後回しにされ、より悪質な事件や被害の程度が重いものを優先されてしまう傾向にあるのです。
  • 捜査機関が捜査方針を慎重に検討している
    事件の内容によっては、捜査機関が捜査方針を慎重に検討することがあります。たとえば、示談成立によって被害者が被害届を取り下げる可能性がある場合、示談の進捗を見守りつつ、示談の結果に応じて判断する必要があるからです。

いずれも、逮捕事件と違って「在宅事件では時間制限がない」という特徴から、時間的に余裕を持って対応されることになり、自然と連絡がこないことにつながりやすくなります。

在宅事件で不起訴になっても連絡がこないのは当然

在宅事件では、捜査が終了したり不起訴処分になったりしても、本人へ連絡がきません。捜査機関の取り調べを受けて、しばらく連絡がこないと思っていたら、知らぬ間に不起訴になっていた、ということがあるのです。

検察官が最後の取り調べで「不起訴の見込みです」「近く不起訴になるでしょう」と言ってくれる場合もありますが、いつ不起訴になったかは、直接検察官に確認しなければわかりません。

刑事事件に詳しい弁護士であれば、不起訴処分のタイミングを正確に把握するため、適宜検察官に確認をとります。そして、不起訴になったことを示す「不起訴処分告知書」を取得し、不起訴で事件が終了したことを確認します。

在宅事件での被疑者の起訴率は低い?

在宅事件と起訴率に相関関係はない

令和4年度の検察統計によると、刑事事件全体の起訴率は約32%でした(令和4年度 検察統計「被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年比較」より参照)。

「在宅事件は起訴されにくい事件だ」と考える方がいるかもしれませんが、在宅事件かどうかは起訴率に直接的に関係しているわけではありません。

起訴か不起訴かを決めるのは事件の内容だからです。逮捕事件と在宅事件は、あくまで被疑者に逃亡や罪証隠滅のおそれがあるかどうかの違いであって、起訴されやすさとは関係ありません。

もっとも、在宅捜査に時間がかかっていて、その間に被害者対応(謝罪・示談)が完了し、結果的に不起訴処分になるということはあります。つまり、結果的に在宅事件が起訴率を低くすることはあっても、「在宅事件だから起訴されにくい事件だ」とはいえないのです。

同じように、逮捕事件だからといって、ただちに起訴される可能性が高いともいえません。適切な弁護活動を行うことで、起訴の可能性を低くすることが可能です。被害者対応を迅速に行うことで、不起訴獲得を目指すことができます。家族が逮捕されたときには、「起訴されてしまう」「刑事裁判になってしまう」と諦めることなく、すぐに弁護士に相談することが大切です。

在宅事件でも内容に応じて起訴される

逮捕の必要がない在宅事件でも、証拠を収集したうえで、起訴が相当と考えれられれば検察官に起訴されます。同居の家族が存在し、定職についているなどの事情があれば、身体拘束されない在宅事件として捜査を受けることがありますが、在宅事件だからといって起訴されないわけではなく、収集された証拠から刑事処分は決められるのです。

在宅事件で起訴されると、その後の刑事裁判も自宅から出廷することになります。決められた期日に自宅から裁判所に向かわなければなりません。ただし、在宅事件では、裁判期日の予定を調整すること以外、仕事や学校に影響することは少ないと考えてよいでしょう。

なお、在宅事件で起訴されると起訴状が届きます。起訴状が届いたら刑事裁判に向けて準備をしなくてはなりません。関連記事『起訴状が届いたらどうなる?取るべき対応と起訴後の流れを解説』では、起訴状が届いたら何をすればいいのか、時系列ごとに解説していますので参考にしてください。

在宅事件で不起訴を獲得するためには?

被害者がいる事件なら在宅事件でも示談する

被害者がいる事件の場合、被害者対応を適切に行い示談を締結することが、在宅事件で不起訴処分を獲得するための重要なポイントです。

在宅事件では、逮捕事件と異なり、被疑者は自由に身動きをとることが可能です。弁護士との打合せもしやすくなるため、在宅捜査の間は被害者対応を迅速に行うことができます。

その結果、不起訴獲得の可能性が高くなるのです。

なお、示談には示談金が必要な場合がほとんどです。お金の用意をするにも、身動きがとれる、とれないとでは大きな違いがあります。

示談の流れ

示談は、基本的には弁護士が被疑者に代わって行います。弁護士が代わって行うのは、被害者への配慮という点と、被疑者に証拠隠滅の機会を与えないという点からです。しかし、場合によっては、被疑者本人を連れて示談に行き、被疑者とともに謝罪を行うこともあります。これは在宅事件でなければ行うことができません。

関連記事

刑事事件で示談をすべき5つの理由|示談金の相場も紹介

警察・検察からの呼び出しにどう対応するか重要

在宅事件では、警察や検察官から呼び出しを受け、取り調べを受けるために出頭します。このとき、取り調べでは何を聞かれ、どう回答するのがよいか、不安に思うことでしょう。取り調べで回答したことは記録に残り、裁判で不利な証拠として使われる可能性もあります。一回一回の取り調べで、どう回答するかを事前に弁護士と打合せをしておくことで、不利な立場になることを少しでも回避することができます。場合によっては黙秘をすべきシーンもあるかもしれません。

警察・検察対応を慎重に行うためには、弁護士のサポートを受けつつ捜査を受けていくことをおすすめします。捜査は起訴に向けて行われるものです。不起訴の可能性を少しでも高めるためにも、弁護士への相談は重要です。

取り調べの正しい応じ方を弁護士がアドバイス

取り調べでは、捜査機関は少しでも多くの情報を被疑者から聞き出そうとします。取り調べ担当者はあの手この手で聞き方を変えて被疑者に供述を迫ってくるでしょう。

しかし、黙秘をすべき質問かどうかという判断は被疑者本人では難しいケースが多いです。回答に苦慮したとき、回答をしても問題ないか不安になったときには、弁護士に相談した上で対応するようにしてください。

なお、取り調べの部屋に弁護士が入室することはできません。そのため、必要があるときには、弁護士は取調室の外で待機し、休憩時間に打合せを行うことがあります。一度誤った受け答えをしてしまうと、あとで取り返しがつかないことになる場合もあります。取り調べを「今さえ乗り越えられたら」と思って対応するのではなく、後の刑事処分、刑事裁判を見越して対応することが大切です。

在宅事件の無料相談はアトム法律事務所まで

在宅事件は逮捕事件と比べると緊迫感に欠けており、通常の日常生活に大きな変更が生じないため、「特に弁護士のサポートは必要ない」と思われやすいです。

また、在宅事件では国選弁護士を利用することができないので、ご自身で弁護士を探さなければならないことも、弁護士への相談が遅れてしまう理由かもしれません。

しかし、在宅事件でも、いつどの段階で逮捕されるかわかりませんし、起訴される可能性も十分あります。検察官から起訴すると告げられた後に慌てて弁護士へ相談しても、もはや手遅れになってしまっているということもあります。

捜査を受けているのであれば、すぐに弁護士に相談することを強くおすすめします。

アトム法律事務所は、刑事事件に注力する私選弁護士の法律事務所として、在宅捜査を受けている方の弁護士無料相談を24時間365日受付しています。まずは、下記バナーより気軽にお問い合わせください。

刑事事件でお困りの方へ
無料相談予約をご希望される方はこちら
24時間365日いつでも相談予約受付中 0120-204-911

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。

岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了