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監禁の有名裁判例

監禁罪といえば部屋から出られなくするのが典型例ですが、その態様は様々です。
ここでは、「監禁」の該当性について参考となる判例をご紹介します。
また、監禁致傷罪でなく、監禁罪・傷害罪の成立を認めた判例についてもご紹介します。

客観的に逃走可能な状況であったとしても監禁罪の成立を認めた裁判例

裁判所名: 東京高等裁判所 事件番号: 昭和40年(う)第363号 判決年月日: 昭和40年6月25日

判決文抜粋

「被告人の同女に対する仕打が前記のように苛烈なものであつたため、敢て施錠や監視を必要としなかつたものとさえ言えないことはないのであつて、以上のような情況の下において当時被告人に監禁の意思がなかつたものとする所論は到底採用することができない」

弁護士の解説

「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にしてその行動の自由を奪うことをいい、客観的に逃走可能な状況があったとしても、犯人の言動により恐怖心を抱いて逃走できなかったときは監禁にあたるとされます。
本件では常時監視の目があったわけでも施錠されているわけでもない場所であっても被告人の脅迫的な言動等によって脱出するのは困難であったとして、監禁罪が成立すると判示しました。

監禁中になされた傷害であっても監禁致傷罪が成立しないとされた判例

裁判所名: 最高裁判所 事件番号: 昭和42(あ)1482号 判決年月日: 昭和42年12月21日

判決文抜粋

「暴行は、不法監禁の状態を保つため、その手段としてなされた旨の摘示はなく、右判示を挙示の証拠と合わせ読めば、右暴行は、右の手段としてではなく被告人が自動車内における右朴の態度に憤慨した結果なされた事実を判示したものと認められる、(略)監禁致傷罪は成立せず、監禁と傷害の二罪が成立し、両者は併合罪の関係になる」

弁護士の解説

監禁の手段としてなされたものでなく、別個の動機、原因から暴行して傷害を負わせたときは、監禁致傷罪ではなく、監禁と傷害の二罪が成立し、両者は併合罪の関係となるとした判例です。
本件では被害者を監禁中、被害者の態度に憤慨した被告人が被害者の頬を殴ったという事案について、監禁と傷害の二罪が成立すると判示しました。

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