「刑事ドラマで警察の隠語を聞くことがあるけど本当に使っているの?」
現場の警察官の間に飛び交う隠語について知りたい方へ。捜査を秘密裏に進めたいという要請もあって、現場の警察官の間では隠語が飛び交っています。逮捕に関していうと、パクる(逮捕する)、そうめん(逮捕)などの隠語があります。
このページでは、警察の隠語について紹介していきます。
逮捕の隠語
逮捕に隠語はあるでしょうか。あるとして、どのような言葉が用いられているのでしょうか。
隠語は当事者の間でだけ通じればいいものなので、その地域特有の隠語というものも、当然あります。ここでは、比較的一般的と思われる隠語を取り上げます。
捜査の端緒から実際に逮捕が行われるまでの時系列に沿って、隠語を紹介してゆきましょう。カッコ内の言葉が正式名称です。1つの事項について隠語が複数あるときは、列挙します。
まず、110番通報などにより、ヤマ(事件)が入ります。最寄りのハコ・PB(交番)からPM(警察官)・アヒル(制服巡査)が出動します。あんこ(新入り)もデカ長(巡査部長)の後について出動です。現着(現場に到着)すると、ゆみへん(強盗、強制性交)の中でもタタキ(強盗事件)、それも押し込み(侵入強盗)でした。
マルガイ・害者(被害者)に事情聴取したところ、ホシ(犯人)は二本立て(2人連れ)で、家にいきなり押し入ってきてヤッパ(刃物)でマルガイを脅し、現金約5万円を脅し取っていったそうです。臓品(盗難品)は現金だけで、ホシ2名はバイコロ(原付バイク)に乗って走り去ったといいます。幸い、マルガイにはケガはなかったので、強盗罪でタレ(被害届)を出してもらいました。
ホシたちは土足で家に入ってきたので、ゲソ(足痕跡)が遺っていました。
すぐにPC(パトカー)や月光仮面(バイクに乗る警察官)、また自邏隊(じらたい、自動車警邏隊)に情報が流されて配備されたほか、ばんかけ(検問)も行われます。アヒル(制服巡査)だけでなく凸ピン(私服警官)も駆り出され、マルモク(目撃者)への聞き込みなどの地取り(周辺の聞き込み)が行われます。また、その晩は職質・バンかけ(職務質問)も入念に行われます。当然、ガセ(誤った情報)も多くあります。しかし、ホシが挙がらずお宮入り(迷宮入り)になるという事態を避けるために、幅広くタレコミ(協力者からの情報)を集めては洗う(詳しく調べる)という地道な作業を繰り返してゆきます。
地取りの結果、マルヒ・太夫(被疑者)が挙がってきました。犯行当時のアリバイなども洗ったところ、どうやらクロ(真犯人)と見てよさそうです。
高飛び(国外逃亡)のおそれがあるので、泳がせる(身柄を確保せず監視する)ことはせず、パクる(逮捕する)ことが決まりました。
証拠をまとめて、ビラ・お札(おふだ、逮捕状)を請求します。レツ(共犯者)についても、同様にお札を請求します。臓品(盗難品)やヤッパ(刃物)などの証拠品が自宅にある可能性があるので、お札と同時にガサ入れ(家宅捜索)もする必要があり、ガサ状(捜索令状)も取っておきます。
そして、マルヒのヤサ(家)にそうめん(逮捕)に乗り込むXデーがやって来ました。数日前からシキテン(見張り)を立ててあるので、マルヒがその時間帯にヤサにいることはわかっています。朝方、インターホンを押し、「宅配便でーす」といって玄関を開けさせます。それと同時に家に立ち入り、お札を示して、「※※、強盗の容疑で逮捕する」と告げます。マルヒの身柄を押さえ、ワッパ(手錠)を掛けて、無事にパクることに成功です。レツについても、無事にパクってガサをかけることに成功したと無線が入りました。
あとは、入念に取り調べて、落ちる・歌う・ゲロる(自白する)のを待つだけですが、これがまた一筋縄ではいかない作業です。どうやって落とす・割る(自白させる)か、デカ長やブケホ(警部補)は考え始めていました。
警察も逮捕の隠語を用いる?
このように、逮捕に限らず、捜査に関する用語は隠語のオンパレードです。
捜査を秘密裏に進めたいという要請があるので、現場の警察官の間では、一般人が聞いたら意味が分からない隠語が飛び交っているのです。