「家族が逮捕されて拘置所に入れられたが面会できるのか」「拘置所に面会に行きたいがいつ会えるのか」など、拘置所で面会したい場合にどうしたらいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。家族など一般の方が拘置所で面会する場合、時間や人数、刑務官の立会いなどさまざまな制限を受けます。また、接見禁止という処分がつくと、家族も面会できません。しかし、弁護士なら比較的自由に面会しやすいです。そこで今回は、拘置所で面会する方法や、接見禁止の場合に弁護士に相談するメリットをご説明します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
拘置所へ面会に行く前に知っておきたいこと
拘置所とは|留置場・刑務所との違い
「拘置所」とは、勾留された被告人や死刑囚が生活する法務省の施設です。
本来であれば勾留中は被疑者段階であっても拘置所に収容されるのが原則ですが、実務上は取り調べの便宜や施設数の都合から被疑者勾留の段階では警察の留置場での拘束となる場合がほとんどで、起訴された後に拘置所に移ることが多いです。
拘置所は拘置支所と合わせると全国に110か所ほどあります。
※拘置支所:独立した拘置所(全国8か所)以外の小規模な拘置施設で、ほとんどが刑務所の敷地内に設置されている。機能は拘置所と違いはない。
拘置所に収容されている人
未決囚(みけつしゅう) | 勾留され、刑事裁判を受けている被告人で刑が確定していない人 |
死刑囚(しけいしゅう) | 死刑判決を受けて執行を待っている受刑者 |
なお上記のほか、一部の懲役囚なども拘置所に収容されているケースがあります。
拘置所と留置場・刑務所の違い
拘置所に似た施設には「留置場」や「刑務所」があります。
「留置場」は警察に逮捕されたり、保護された人が収容される警察署内の施設です。全国に約1300か所ほどあります。
逮捕後は1~2泊程度(最大72時間)を留置場で過ごしたのち、勾留されるかどうか判断がされます。勾留が決まると、通常はさらに起訴されるまでの最大20日間を留置場で生活します。起訴された後は拘置所に移ることになります。
なお、麻薬事件等では逮捕後すぐ拘置所に送られるケースもあります。
「刑務所」は、裁判で実刑判決を受けた者が収容される施設です。裁判が確定すると拘置所からそのまま刑務所へ移ることになります。
拘置所や留置場での身体拘束は罪証隠滅や逃亡を防止することが目的であるのに対し、刑務所の目的は刑の執行です。そのため、拘置所と比べ、面会や髪型・服装、その他の生活面での制限が多くあります。
収容施設 | 収容される人 | 一般的な収容期間 |
---|---|---|
留置場 | 警察に逮捕されたり、保護された人 | 逮捕~起訴まで(最大23日間) |
拘置所 | 勾留された被告人や死刑囚 | 起訴~判決まで |
刑務所 | 懲役刑や禁錮刑などの実刑判決を受けた人 | 実刑判決確定後 |
逮捕後の流れや釈放のタイミングを知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
拘置所での面会は誰でもできる?
拘置所での面会は、原則誰でもすることができます。ご家族等の親族、恋人や友人、会社の同僚も面会することができます。年齢制限もないので、未成年の子どもも面会できます。ただし、一度に面会できる人数は3人までとする拘置所が多いです。家族で面会する場合はご注意ください。
なお、懲役刑などの実刑判決を受けた一部の受刑者も拘置所に収容される場合がありますが、この場合は、面会できる人の範囲は厳しく制限されます。家族や、出所後に受刑者を雇用する人など、受刑者の更生や保護に関係する立場にある人に限られるのが原則的な運用です。
拘置所での面会に時間や回数の制限はある?
拘置所での面会時間や回数には制限があります。家族など一般の人が面会できる時間帯は、概ね8:30~16:00です(昼休憩を除く)。1回の面会時間は、30分程度で拘置所が決めます。面会者が多い場合等は、5~30分に調整されることもあれば、遠方から来た人には配慮されることもあります。
また、本人が一般の人と面会できる回数は、1日1回とされています(東京拘置所の場合)。先に友人が面会した日は、家族も面会できません。できるだけ早く出向く方が面会しやすいですが、面会時間帯や昼休憩の時間は、拘置所により異なる場合があります。事前に直接問い合わせることをお勧めします。
土日祝やお盆・年末年始は拘置所で面会できる?
一般の人は、平日8:30~16:00しか面会できず、土日祝日は面会することができません。お盆期間については、一般的に官公庁にはお盆休みがないので、平日であれば上記時間帯に面会できます。一方、年末年始は、いわゆる御用納めの日から休みになるため、面会できないのが原則です。
他方、弁護士による面会は、状況によって土日祝や年末年始もできる場合があります(年末年始は閉鎖する拘置所もありますが、弁護士会は期日直前など緊急性と必要性に応じて認められるとしており見解が分かれています)。ご自身が面会できない場合は、弁護士に面会を代行してもらうことをお勧めします。
拘置所で面会する場所は?立会人はいる?
拘置所で面会する場所は、面会室と呼ばれる部屋です。小さな穴の開いた透明なアクリル板で仕切られており、拘束されている人と面会者がアクリル板を挟んで対面します。穴から音声は聞こえるので、直接会話したり、絵や手紙を示すことはできますが、お互いの身体に触ることはできません。
一般の人が拘置所で面会する場合、原則、刑務官が同席し、話の内容を記録します。証拠隠滅の恐れがあるような会話や、暗号を用いたやりとりなどの行為はできず、発覚した場合は面会が中断されたり強制終了されます。また、面会室には、スマホ、録音機器、PC等や、タバコ、危険物は持ち込めません。
拘置所での面会当日の手続き
拘置所での面会に予約はできる?
拘置所での面会は、予約できません。面会するには、直接出向くしかありません。ただし、電話で、その日の面会状況を教えてもらえる場合もあります。取調べがある場合や、弁護士を除くほかの人が先に面会をしていると、その日は面会できない可能性が高いので、事前に電話で問い合わせておきましょう。
また、前述の面会時間帯や昼休憩で面会できない時間などは、拘置所によって多少運用が異なります。この点も、事前に電話で確認しておくことをお勧めします。加えて、年末年始で面会ができない日は、法務省のホームページで公開されますので、その時期に面会を検討している場合は確認しておきましょう。
拘置所での面会の流れを知っておこう
拘置所で面会を希望する場合は、拘置所に直接出向き、面会窓口で所定の用紙に記入して申し込みを行います。申し込みの際は、被告人との関係や、面会の目的を質問され、身分証の提示を求められるのが通常です。身分証がない場合は面会ができないこともあるので、必ず持参してください。
面会受付が済んだあとは、荷物等をロッカーに入れ、順番を待つことになります。待ち時間は、面会室の混み具合によっても異なりますが、概ね10分程度です。前に弁護士が面会している場合は長引くこともあります。面会が終わると、ロッカーのカギを返却し、拘置所の門を開けてもらって帰ります。
拘置所での面会に持っていけないもの
拘置所の面会には持ち込めないものがあります。スマホ、携帯電話、ボイスレコーダーなどの録音機器、カメラ、PC等の電子機器、タバコ、危険物は持ち込めません。なお、危険物にはライターやボールペンも含まれます。これらは、拘置所に入る際にロッカーの鍵が渡されるので、そちらに入れます。
面会室に入る際は、一般の方は原則として手荷物が持ち込めないと考えておきましょう。メモを取りたい場合は、通常面会室内にメモ用紙とボールペンが用意されているので、そちらを利用します。なお、差し入れする場合は、面会室で直接渡すのではなく、差し入れ窓口で申し込みを行います。
拘置所での面会で差し入れはできる?
拘置所での面会では差し入れができます(未決囚の場合は、法律の規定で認められない場合があります)。差し入れは、原則として誰でもできます。差し入れ窓口で申し込みを行うので身分証を持参しましょう。また、ご自身で出向けない場合は代行してくれる弁護士もいるので、問い合わせてみてください。
面会を考えている人にとって「何を差し入れるべきか、何が差し入れできるのか」というのは、大きな悩みでしょう。
拘置所内にも売店があり肌着や日用品、食べ物を買うことができるため、現金の差し入れは特に喜ばれやすいです。必要なものは本人が自分で注文・購入するのが確実ですので、まずは現金を差し入れるのが良いと思います。
ほかには、書籍や写真の差し入れも喜ばれます。起訴後の勾留中は取り調べを受けることもなく自由な時間が多くありますし、裁判に向けて不安も強く孤独な状況ですので家族の写真などは心の支えになります。
差し入れはできるものとできないものがあります。拘置所によって違いもあり、細かく規定が設けられていますので不明な場合は拘置所に確認しましょう。また、差し入れ屋を利用することも確実です。
差し入れ屋とは?
拘置所の近くには、拘置所に指定された「差し入れ屋」と呼ばれる差し入れ専門の商店があることがあります。差し入れ屋で販売されているものは、基本的に拘置所の規定に沿っているため安心です。特に食べ物については差し入れ屋で購入したものしか差し入れることができません。差し入れ屋にお願いをして、買ったものを差し入れてもらうこともできます。
例えば東京拘置所の場合、面会所入口向かいにある「池田屋差入店」などが有名です。
差し入れ可能な主なもの | 服(紐のついたパーカー等は不可)、眼鏡、書籍、写真、手紙、歯ブラシ、現金、切手 |
差入れできない主なもの | 靴、タバコ、ゲーム、食べ物(差し入れ屋や売店で購入したものは可) |
拘置所で面会できないときは弁護士に相談しよう
接見禁止なら拘置所で面会できない
逮捕直後の72時間は家族も面会できませんが、勾留に切り替わると面会できるのが原則です。しかし、「接見禁止」の処分がつくと面会できません。接見禁止は、被疑者・被告人が弁護士以外の人と連絡を取ることを禁止する処分です。拘置所で面会することができず、手紙も禁止されることが多いです。
接見禁止がつくのは、逃亡や証拠隠滅が疑われる場合に限られます。身体を拘束されている拘置所では、専ら証拠隠滅の恐れが問題になります。具体的には、共犯者がいるケース、被害者を脅しそうなケース、家族に証拠を処分させそうな薬物事犯のケースなどで、接見禁止の処分がつきやすいといえます。
弁護士なら接見禁止でも拘置所で面会できる
接見禁止がつくと、家族、友人、同僚など一般の人は面会も手紙のやり取りも禁止され、場合によっては差し入れも制限されます。しかし、唯一、弁護士なら面会することができます。拘置所にいる被疑者・被告人には弁護人選任権という権利があるので、この権利を守る必要があるからです。
弁護士なら、接見禁止がついても、拘置所で、緊急性や必要性の条件に応じて休日等でも、何時間でも、刑務官の立会いなく、面会がしやすく、手紙のやり取りも自由に行えます。接見禁止がつくと、孤独感が深まり精神的に追い込まれやすいので、弁護士の面会でアドバイスや励ましを受けることがとても大切です。
弁護士が接見禁止に対応できる3つのこと
接見禁止がついた場合、弁護士なら次の3つの対応ができます。
・準抗告:裁判開始前に、接見禁止処分に対して異議申し立てをする手続き
・抗告:裁判開始後に、接見禁止処分に対して異議申し立てをする手続き
・接見禁止処分の一部解除申立て:家族等に限り接見を認めるよう裁判所に依頼する手続き
準抗告や抗告が認められると、接見禁止が取り消され、家族等と面会できるようになります。異議申し立ては、裁判官の判断の誤りを別の3人の裁判官が判断するものなので、認められるのは非常に難しいのが実情です。しかし、諦めずに、刑事事件の経験が豊富な弁護士にまずは相談してみましょう。
最新情報|弁護士が行うテレビ電話による接見
平成20年から、弁護士に限り、一部の拘置所に収容されている未決囚とのテレビ電話による接見(外部交通)ができるようになりました。テレビ電話による接見は、前日までに予約をし、当日は検察庁か所定の法テラスに出向き、電話ブースで20分の制限時間内でモニターを見ながら話をします。
テレビ電話による接見は、電話ブースが個室でない場合に話が外部に漏れる可能性があること、時間が20分に限られることなど、通常の弁護士接見に比べ制約があります。弁護士のアドバイスをしっかり受けたい場合は、拘置所まで来てくれるフットワークの良い弁護士に相談されることをお勧めします。