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児童ポルノの時効は3年?5年?時効の意味と注意点

児童ポルノの時効は3年?5年?時効の意味と注意点

児童ポルノ禁止法で禁止されている行為には様々な態様があり、行為ごとにそれぞれ公訴時効が定められています。公訴時効が成立すれば児童ポルノ事件で起訴されて処罰をされることがなくなるため、公訴時効がどれほどなのかは注意しておく必要があるでしょう。

児童ポルノ事件には3年の時効の罪と5年の時効の罪があります。どのような行為が3年の時効で、どのような行為が5年なのか、そして公訴時効とはそもそもどのようなもので、いつから時効期間が始まるか、以下を読めばそれらの疑問点のすべてが分かります。

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児童ポルノの時効は〇年|逮捕・起訴される可能性

児童ポルノにおける時効(公訴時効)とは

児童ポルノ事件には、公訴時効があります。公訴時効とは、一定期間が経過した事件については検察官の起訴をする権利が消滅するという期限のことをいいます。時効が完成すれば、警察がその事件について捜査をすることはなくなりますし、処罰の心配もなくなります。

公訴時効はそれぞれの罪の刑罰の内容や年数ごとに期間が定められています(刑事訴訟法250条)。児童ポルノ禁止法違反は、その行為態様によって法定刑が異なり3年の時効の罪と5年の時効の罪があります。

第二百五十条
 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年

刑事訴訟法250条

児童ポルノ所持の時効は3年

自分のために児童ポルノを所持した場合には、3年の時効です。すなわち、児童ポルノを所持してから、3年経過した場合には所持したことで罪に問われ刑罰を受けることがなくなります。なお、所持の他にも、他人に児童ポルノを製造・提供した場合の時効は同じ3年となります。

5年未満の懲役又は罰金等の刑罰が定められている場合に時効期間が3年となり、自分のために児童ポルノを所持した場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金になるため、時効3年に該当することになります。

児童ポルノの不特定多数への提供の時効は5年

児童ポルノを不特定多数に提供した場合には、時効期間が5年です。児童ポルノを所持するよりも犯罪態様が悪質で、刑罰内容も重いため、所持が3年なのに対して時効期間が2年長くなっています。なお、同じく児童ポルノを公然と陳列した場合にも、時効期間は5年となります。

児童ポルノを不特定多数に提供した場合、より児童ポルノが広まり、より多くの児童の権利を害するため、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金の刑罰が定められています。5年以上10年未満の懲役刑が定められている場合には公訴時効期間が5年となるため、児童ポルノを不特定多数に提供した場合公訴時効が5年となります。

児童ポルノの時効はいつから始まる?

公訴時効の起算点は、犯罪行為が終わった時からです(刑事訴訟法253条)。たとえば、児童ポルノの所持であれば、所持が終わった時点から3年経てば時効、不特定多数への提供であれば、不特定多数のものに提供をする状態が終わってから5年経てば時効により刑罰に処せられなくなるということになります。

「犯罪行為が終わった時」とは、児童ポルノの所持などの状態が継続する犯罪については、その所持が終わった時点から時効が始まることに注意が必要です。すなわち、児童ポルノの所持を続けて3年以上経っても時効は成立しません。

児童ポルノで時効を迎えるとどうなる?

児童ポルノ事件で時効を迎えた場合、その事件について検察官は起訴することができないため、刑事罰に処せられることがありません。あくまで検察官が起訴できなくなるのみですので、児童ポルノ事件について捜査ができないということではございませんが、起訴ができなくなれば、捜査の目的を欠くことになりますので、事実上捜査としても終了することになるでしょう。

実は時効成立してない?児童ポルノの時効停止・中断事由

時効の停止とは、一定の間は時効が進まずに時効完成が先送りになることをいいます。公訴時効の場合、犯人が国外にいる期間又は犯人が逃げ隠れているために起訴状謄本の送達や略式命令の告知ができない期間は公訴時効が停止されます(刑事訴訟法254条)。

たとえば、児童ポルノの所持が終了し、2年経ったあとに犯人が国外に行き、その2年後に日本に帰国した場合、まだ児童ポルノ事件の時効は成立しておらず、帰国から1年後に時効が成立することになります。時効停止事由がある場合には時効の成立時期については注意が必要です。

時効の中断(更新)とは、一定の事由により時効期間がリセットされることをいいますが、刑事事件の公訴時効には中断はありません。

児童ポルノの時効を心配する前に知るべき基礎知識

児童ポルノ禁止法で禁じられる行為とは?

児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)では、児童ポルノ(①児童が性交している様子② 児童の性器、児童が他人の性器を触っている様子③ 裸や半裸の児童の写真や電子データ等)を、所持、提供、製造、運搬、輸入、輸出、陳列する行為が禁止されています。

児童ポルノ禁止法は、18歳未満の児童が自分の性的な意思決定が未熟な状態にも関わらず、児童の性的な権利を害されないように定められている法律です。児童ポルノ禁止法には様々な行為態様がありますが、その内容によって法定刑や時効などが変わっています。

児童ポルノの所持だけで逮捕される?

児童ポルノをただ所持するだけでも、児童ポルノ禁止法に違反するため、逮捕となるリスクは存在します。もっとも、児童ポルノの所持は基本的に私的な空間でなされるため発覚しづらい部分があり、購入の経緯などから発覚し捜査を受けるかどうかにより捜査対象となるかは変わるでしょう。

児童ポルノについて「所持」に当たるかどうかが問題となります。たとえば、児童ポルノについてはただネット上で閲覧するのみでは「所持」に当たらないため逮捕されることはありませんが、児童ポルノのデータをダウンロードして「所持」した場合に逮捕される可能性があります。

児童ポルノの時効成立後も民事訴訟のリスクあり

児童ポルノ事件の時効が成立した場合、起訴されて罪に問われることはございませんが、被害者から民事訴訟により損害賠償を請求される危険性は残ります。

不法行為の損害賠償請求の民事的な時効は、相手を知ってから3年、不法行為の時から20年です。そのため、公訴時効になっていても犯人を知ってから3年以内で事件から20年経っていない場合には民事訴訟のリスクがあります。

【シチュエーション別】児童ポルノの時効成立はいつ?

児童ポルノだと気づかなかった場合の時効は?

成人のアダルトコンテンツだと思っていたところ児童ポルノを所持、提供など児童ポルノ禁止法違反の行為をしてしまっていた場合、児童ポルノだと知らずに行為を終えていた場合にはそもそも児童ポルノ禁止法違反とはならず、行為を終える前に児童ポルノだと気づいた場合には同じく行為が終わった時から時効となります。

児童ポルノの公訴時効はあくまで行為が終わった時から開始することになります。児童ポルノ禁止法の行為は児童ポルノが通常のアダルトコンテンツではなく児童ポルノと認識していなければそもそも成立しませんので、行為開始時点で児童ポルノと気づかなかった場合にはその後気づくかどうかによって変わります。

児童ポルノを所持し続けて3年、時効は成立する?

児童ポルノの所持を開始してから3年経っていたとしても、まだ所持を続けていれば公訴時効は成立しません。公訴時効は行為が終わった時から数え始めるため、児童ポルノを所持し始めた時点が3年前としてもそのまま所持していれば所持という行為が終わっていませんので、時効は成立しません。

すなわち、児童ポルノの所持による時効を成立される場合とは、児童ポルノを所持し、その後削除してから3年が経過する必要があります。そのため、児童ポルノを所持し続ける限りは公訴時効が成立するどころか何年経ったとしても時効期間が開始さえされませんので、注意してください。

児童ポルノをネットに公開して5年、時効は成立する?

児童ポルノをネットに公開して5年経ったとしても、公訴時効が成立するとは限りません。不特定多数への児童ポルノの提供は5年で公訴時効となりますが、その後も公開を続け提供を続けている場合には、その提供を終えない限り行為が終わった時といえないため、公訴時効は成立しないこととなります。

公訴時効は行為が終わった時から時効を数え始めるため、提供行為について公訴時効が成立されるためには提供行為が終わってから5年が経つ必要があります。したがって、ネットに公開する形で児童ポルノを提供している場合、その公開をやめて提供行為を終えてから5年経って初めて時効が成立します。

児童ポルノの時効成立を確認するには?

児童ポルノの時効が成立しているかどうかは、まずは弁護士に相談した方がよいでしょう。児童ポルノ禁止法の行為が終わっているかどうか、時効が成立しているかどうかという法的な判断を自身で行うことは危険性がありますので、弁護士に相談して時効成立の有無を確認し助言を得ることが必要となります。

たとえば児童ポルノの時効が成立しているかが分からないとして、警察や検察に問い合わせを行ってしまうと、もしその時点で時効が成立していなかった場合に、捜査対象となっていなかったのに捜査され処罰を受けることになる危険性があるため、得策ではありません。まずは弁護士に相談しましょう。

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アトム法律事務所 所属弁護士