1. »
  2. »
  3. 児童ポルノで逮捕されたら|逮捕の流れと弁護士相談のメリット

児童ポルノで逮捕されたら|逮捕の流れと弁護士相談のメリット

児童ポルノで逮捕

児童ポルノの犯罪類型にはさまざまなものがあり、身近な行為で児童ポルノ法違反となる可能性があります。児童ポルノをただ見ただけでも、児童ポルノ法違反として逮捕されてしまうのでしょうか。

以下では、児童ポルノ法違反ではそもそも児童ポルノとは何なのか、どのようなものが捜査の対象となっており、どのような内容が実際に児童ポルノ法違反として逮捕となる可能性があるのか、実際の実例や逮捕となってしまった場合の流れを見ることでその全てが分かります

刑事事件でお困りの方へ
無料相談予約をご希望される方はこちら
tel icon
24時間365日いつでも相談予約受付中 0120-204-911

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。

児童ポルノで逮捕される条件とは

児童ポルノで逮捕される割合は?

アトム法律事務所で扱った児童ポルノ事件では逮捕された割合は36%です。

逮捕の条件は、①逮捕の理由があるか、②逮捕の必要性があるか(証拠隠滅の可能性や逃亡のおそれがあるか)です。

児童ポルノの削除は容易であるため、②逮捕の必要性のうち、証拠隠滅の可能性が高いと判断されることが多いです。また、児童に働きかけて児童ポルノを作成した場合には、証拠隠滅のため児童に働きかけて危害を加える可能性もあり、より逮捕の必要性が高まります。

そのため、児童ポルノ事件は逮捕の可能性が高い犯罪類型となっています。

①児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」とは?

第二条(定義)
 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(中略)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

児童ポルノ禁止法

「児童ポルノ」とは、「写真、電磁的記録(中略)に係る記録媒体その他の物」の中で、①児童との性交又は性交類似行為が写っているものや、②児童が性器を触る又は触られる内容のもの、③衣服の全部又は一部を身に着けない児童の性的な部分が殊更露出されているもので性欲を刺激・興奮させるようなもののことを指します(児童ポルノ禁止法2条3項)。

同条は平成26年に改正されており、衣服を身に着けない児童の姿のうち、「殊更に児童の性的な部分」が露出されたものに限定し、より定義が厳密化されました。

なおここでいう「児童」とは18歳に満たない子どものことをいいます。

②児童ポルノ禁止法で禁止される行為とは?

児童ポルノ禁止法で禁止される具体的な行為としては、児童ポルノの単なる「所持」、児童ポルノの「保管」、児童ポルノを他人に配るなどの「提供」、共有フォルダなどに児童ポルノを載せて他人から見れる状態にしておく「陳列」、児童ポルノを作る「製造」という主に5つのものが定められています。

「所持」は、性的好奇心を満たすために児童ポルノを単純に所持しているものを含み、平成26年に成立したものになります。「提供」では、たとえばSNSのダイレクトメッセージなどで児童ポルノ動画を配るなども含まれます。「製造」には、児童自身に児童ポルノを作成させるというものが含まれます。

③児童ポルノ禁止法違反の刑罰とは?

児童ポルノの「所持」「保管」「提供」「陳列」「製造」、それぞれの行為態様における刑罰は児童ポルノ禁止法の7条で規定されています。

第七条

1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条

7条1項がいわゆる「児童ポルノの単純所持」に関する規定です。ただ単に児童ポルノを所持・保管しているだけの人よりも、児童ポルノを製造したり、第三者に提供したり、販売したりしている人のほうが刑罰は重くなります。

なお、7条6項における「陳列」とは、児童ポルノを不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことを言います。たとえば、児童ポルノに該当する写真や映像のURLを誰でも閲覧できるインターネット掲示板に投稿した場合は陳列にあたります。

④「自己の性的好奇心を満たす目的」とは?

児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項前段では、「自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(略)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

「自己の性的好奇心を満たす目的」とは、児童ポルノの所持や保管一般が処罰対象となるのではなく、性的好奇心を満たすための所持のみを処罰するために記載されています。たとえば、研究目的や報道などの取材の過程で児童ポルノを所持・保管に至ったような場合にはこの目的に該当しません。

児童ポルノ違反事件の「所持」「保管」にあたるためには、「自己の性的好奇心を満たす目的」が必要となりますが、その判断には、所持保管に至った経緯や態様あるいは分量、さらには所持保管している対象の内容等の客観的事情からの推認によって、そのような目的か否かが立証される必要があるということになります。

⑤「自己の意思に基づいて」とは?

児童ポルノ法違反において、所持あるいは保管開始の時点において、「自己の意思に基づいて」所持、保管するに至った者の場合には処罰対象となるとされており、自己の意思ではなくたとえば他人によって操作されて所持・保管に至った場合には児童ポルノ法違反に該当しないこととされています。

児童ポルノ法の制定目的は、児童に対する性的搾取や性的虐待が児童の権利を著しく侵害するために、そのような搾取をなくすというものです。そのため、自己の意思で児童の権利を害するような行動を取っていない者まで処罰対象とするのは法の趣旨とは異なるため、処罰対象から外れることになっています。

児童ポルノは見ただけで逮捕される?

児童ポルノは見ただけでは「所持」ではなく規制対象とはならないため、見ただけで逮捕されることはありません。しかし、児童ポルノを見るためにダウンロードしてそれを保存すれば、児童ポルノの「所持」となり捜査対象となりますので、逮捕される可能性があります。

児童ポルノのダウンロードは、プライベートの空間で行うため、捜査自体が困難となります。しかし、児童ポルノのダウンロード自体は「所持」として児童ポルノ法違反の対象となりますので、たとえば児童ポルノサイト自体が摘発され購入しダウンロードした場合にサイトの方から発覚し、逮捕となる可能性はあります。

児童ポルノは削除しても逮捕される?

児童ポルノは一度「所持」すれば児童ポルノ禁止法違反となります。そのため、所持した児童ポルノを後で削除したとしても児童ポルノ禁止法違反に抵触します。もっとも、削除した場合には児童ポルノ法違反をした物証がないということで、元々所持をしていた証拠が他に存在するかという問題になるでしょう。

児童ポルノ法の制定目的は、児童の権利を著しく侵害する児童に対する性的搾取や性的虐待をなくすというものです。そのため、一度所持をすればその時点で児童に対する性的搾取が行われているため、児童ポルノ禁止法違反になります。しかし、物証がない場合には逮捕の要件が無いとして逮捕に至らない可能性もあります。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検察が受理した事件数

令和2年版の犯罪白書によると、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検察が受理した事件数は年々増加傾向であることがわかります。

年次児童買春・児童ポルノ禁止法違反
検察庁新規受理人員
平成22年2,090
平成23年2,069
平成24年2,205
平成25年2,331
平成26年2,386
平成27年2,562
平成28年2,713
平成29年3,074
平成30年3,576
令和元年3,397

引用元:令和2年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節

事件数が増加した原因のひとつは、2015年から児童ポルノの単純所持も処罰の対象になったためだと考えられます。

実際に児童ポルノで逮捕された実例は?

①児童ポルノサイトが摘発され利用者が逮捕

児童ポルノで逮捕された例として、児童ポルノサイトが摘発され、そのサイトの利用者リストから児童ポルノを所持した人を割り出し、児童ポルノ所持として逮捕された実例があります。このように、発見されにくい児童ポルノ所持も、提供側から発覚し逮捕となるケースがあります。

児童ポルノの所持の場合、秘密空間で行われるため発覚されにくいものとなります。しかし、児童ポルノ提供にあたる児童ポルノサイトが摘発された場合、そのサイトが調べられた結果、児童ポルノを得た利用者は児童ポルノを所持しているということから事件が発覚し、逮捕となるという実例があります。

②児童の裸を撮影・販売し逮捕

児童ポルノの逮捕例として、児童の裸を撮影、その画像や動画を販売して逮捕になった事例があります。児童の裸を撮影した場合には「製造」に該当し、さらにその児童ポルノを販売した場合「提供」に該当します。このような児童と接触し直接児童ポルノを製造する行為はより逮捕の可能性が高いものになります。

逮捕となるには、証拠隠滅の可能性や逃亡の可能性が必要となります。児童の裸を撮影・販売する行為は、児童と直接面識があり児童への危害の可能性が高く証拠隠滅の可能性が高いとともに、児童ポルノ製造目的で盗撮した場合単独の行為よりも重い刑罰が予定されており、より逃亡の可能性が高く、逮捕されやすくなります

③児童買春時に写真撮影を行い逮捕

児童買春の際に児童の裸体等の写真や動画を撮影して児童ポルノを製造したことが発覚し、逮捕となったケースがあります。児童買春自体逮捕に至りやすい犯罪類型であり、それに加え児童ポルノ製造を行った場合には、より逮捕の必要性が高いと判断されやすく、発覚すれば逮捕になる可能性が極めて高いものとなります。

児童買春は児童との直接接触により児童への危害の危険性があるものです。さらに児童の裸体や性的な行為を撮影することで児童ポルノを製造するという態様はより児童への性的な危害の度合いが大きく、証拠隠滅の可能性が高いでしょう。加えて、裁判となる可能性もあることから逃亡のおそれもあり、逮捕事案となります。

なお、児童ポルノを製造する目的で児童買春を行った場合の刑罰は1年以上10年以下の懲役刑のみ定められています。児童買春のみを行った場合の刑罰は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金なので、児童ポルノを製造する目的での児童買春がいかに重く見られているかがわかります。

第八条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律8条1項

④児童にLINEで写真を送らせ逮捕

児童と連絡を取り、児童に児童ポルノに当たる写真を撮らせてそれをLINEで送ることにより逮捕となったケースがあります。Twitterや出会い系サイトなどで児童と知り合い、性的なやり取りの流れの中で児童ポルノを撮らせ送らせていたことが児童ポルノ「製造」にあたり逮捕されるということになります。

児童とネット上で知り合い、LINEを交換してから性的なやりとりをすることは閉鎖的なやりとりであり発覚しづらいかと思われますが、送り合っていたことが児童が補導されての捜査や児童の親に発覚することから捜査された場合、児童と直接の連絡を取っていたことから危害の可能性が疑われ、逮捕となるケースがあります。

児童ポルノの逮捕~その後の流れは?

児童ポルノでの家宅捜索・押収

児童ポルノの所持や製造など、児童ポルノが存在することを疑われた場合、自宅などで家宅捜査が行われ、児童ポルノが発見された場合には押収されることが通常となります。児童ポルノは証拠隠滅が容易であることが多いため、証拠の確保のため突然の家宅捜索となるケースが少なくないものとなります。

児童ポルノ事件が発覚した場合、まずは朝方に自宅に警察官が行き、その場で家宅捜索の上、児童ポルノを発見次第押収し、本人に任意同行を求めるというケースが一般的です。押収されるものとしては児童ポルノ自体はもちろん、児童ポルノが含まれると思われるパソコンやスマートフォンなども対象となります。

児童ポルノでの逮捕・勾留

児童ポルノ事件が発覚した場合、逮捕される可能性が高く、その後勾留される可能性も高いです。児童ポルノ事件により早朝の家宅捜索後そのまま逮捕となるケースも少なくなく、被害者である児童への危害の可能性や証拠隠滅の可能性から勾留に至ることも多いものとなります。

児童ポルノ事件の中でも、逮捕勾留の可能性が高いものは「製造」となります。児童ポルノ製造の場合、児童ポルノ自体の証拠隠滅の可能性に加え、児童との直接の関わりにより児童ポルノを製造しているため、児童への危害の可能性が高く、発覚した場合により逮捕・勾留に至りやすいものとなります。

児童ポルノでの起訴・不起訴の決定

児童ポルノ事件の捜査が終わり、起訴不起訴の決定が検察官によりなされます。通常は起訴となる可能性が高いものになります。起訴の場合には裁判となる正式起訴か、簡略な手続で罰金刑のみを科す略式起訴となる可能性があり、また被害児童の親との示談の締結や事実の悪質性の程度によっては不起訴の可能性もあります。

児童ポルノは被害者となった児童自身の保護と同時に児童性風俗の保護という福祉的な犯罪類型となります。そのため、成人に対する犯罪のように児童の保護者との示談の取り交わしのみで不起訴となる可能性が極めて高くなるものとは異なり、事案の悪質性や児童保護の観点からも起訴不起訴の決定がなされるものになります。

児童ポルノでの刑事裁判

児童ポルノ事件において、正式起訴された場合には裁判所にて裁判を受けることになります。児童ポルノ事件にて裁判となる場合は、たとえば児童ポルノの点数がかなり多い児童ポルノ自体の性被害の程度が大きい児童の年齢が児童の中でも幼いなどの悪質性の高いケースが多いです。

児童ポルノの裁判では、被害児童の名前が出てくる場合には被害児童保護のために秘匿され、裁判中には出てこないようにするという配慮がなされる場合がほとんどでしょう。最終的な児童ポルノの判決内容としては、悪質性や犯罪歴、再犯可能性などの事情から懲役刑となる場合も執行猶予付判決となる場合もあります。

児童ポルノで逮捕されたら早めに弁護士に相談を

児童ポルノで逮捕されてしまったら、まず早めに弁護士に相談しましょう。弁護士は相談を受けた後、弁護士が逮捕された本人の元に向かい、事案を的確に把握の上、身体解放や処分軽減のための適切な助言を与えた上で、児童ポルノ事件を解決に向かうための弁護活動を行うことができます。

児童ポルノ事案は、さまざまな行為体系があり、その内容も刑罰の重さも異なります。したがって、弁護士にまず相談して、事案の内容からどのような刑罰が見込まれるのか、身体拘束の可能性があるのか、何をすれば良いのかを知ることが、児童ポルノ事件の解決のために重要となります。

弁護士に相談・依頼をする流れやメリットについては『児童ポルノに強い弁護士が教える|弁護士に相談すべき児童ポルノ事件』で詳細に解説しているため、こちらもぜひご参考になさってください。

刑事事件でお困りの方へ
無料相談予約をご希望される方はこちら
24時間365日いつでも相談予約受付中 0120-204-911

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。

弁護士アイコン

監修者情報

アトム法律事務所 所属弁護士