2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
会社員に前科がついた場合、すべてのケースで即解雇になるわけではありません。
ただし、就業規則の内容や逮捕・起訴・有罪判決の状況によっては懲戒解雇となるリスクがあり、早期に対処しなければ仕事・退職金・再就職にまで影響が及びます。
この記事では、会社員の前科と解雇の関係を就業規則・逮捕・有罪判決のケースごとに整理し、前科をつけずに仕事を守るために今すぐ取るべき行動をわかりやすく解説します。
「前科がつくかもしれない」「会社に知られてしまうかもしれない」と不安を抱えている会社員の方は、まずこの記事をお読みください。
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目次
会社員に前科がついたら解雇される?ケース別に解説
会社員に前科がついた場合、解雇されるかどうかは状況によって大きく異なります。まず「前科がつく」とはどういう状態かを正確に理解し、そのうえで就業規則に基づき、解雇の可否を判断していく必要があります。
そもそも前科とは?
前科とは、刑事裁判で有罪判決が確定した履歴のことです。単に警察に逮捕された、捜査を受けた段階でつく「前歴」とは法的に異なります。逮捕されても不起訴になれば前科はつきません。

前科がつく流れを整理すると、以下のとおりです。
前科がつく流れ
- 逮捕・捜査
- 検察官による起訴・不起訴の判断(勾留期間は最大23日)
- 起訴→刑事裁判→有罪判決確定=前科
(不起訴→刑事裁判なし→前科なし)
【ケース①】逮捕されただけ(不起訴)
逮捕されただけでは前科はつきません。検察官が不起訴処分の判断を下した場合は、刑事裁判が開かれないため前科がつかずに事件が終了します。
逮捕されただけでは、直ちに懲戒解雇が有効と認められるとは限りません。ただし、就業規則の解雇事由が「逮捕されたとき」となっていれば、不起訴でも懲戒解雇の対象になりえます。特に会社名が報道されているといった影響が出ている場合には注意が必要です。
また、通常は警察が勤め先に連絡することはありませんが、勾留が長期化すると無断欠勤が続き、会社に知られるリスクが高まります。欠勤が長引くだけでも解雇事由となる場合があるため、身体拘束を早期に解くことが最優先です。
【ケース②】起訴されて有罪判決を受けた場合
逮捕の有無にかかわらず、起訴されて裁判で有罪判決が確定した場合、前科がつきます。就業規則の解雇事由が「有罪判決を受けたとき」となっていれば、懲戒解雇が有効と判断される可能性があります。
なお、注意すべき点として、執行猶予つき判決や略式罰金(罰金刑)も前科に含まれます。 「執行猶予中は大丈夫」「罰金で済んだから問題ない」と思い込んでいる方も多いですが、いずれも有罪判決であるため、就業規則上の解雇事由に該当しうることを理解しておく必要があります。
【ケース③】業務に関係する犯罪と無関係な犯罪
犯罪の内容が会社の業務に関係する場合(例:業務上横領、詐欺など)は、解雇される可能性が高くなります。
一方、業務や会社の信用とまったく無関係な私生活上の軽微な犯罪であれば、労働契約法上、解雇が無効と判断されるケースもあります。
ただし、会社は法律の専門家ではないため、実務上は「有罪になった」という事実だけを理由に解雇を行うケースが多いのも現実です。不当解雇の可能性がある場合は弁護士に相談して判断を仰ぐことが重要です。
前科の法的な効力はいつまで続くのか
前科の事実自体は記録として残り続けます。前科の記録は検察庁・裁判所に保管されます。
ただし、前科の法的な効力(刑の言渡しの効力)は一定期間が経過すると失効します。
- 拘禁刑以上の刑
刑の執行が終わってから10年間、新たに刑に処せられなかった場合 - 罰金以下の刑
刑の執行が終わってから5年間、新たに刑に処せられなかった場合
この期間を経過すると、刑が「言渡しの効力を失った」状態となり、資格制限なども解除されます(刑法34条の2)。
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前科がついて懲戒解雇されたらその後はどうなる?
退職金・失業保険への影響
懲戒解雇となった場合、多くの企業では就業規則上、退職金が没収される規定が設けられています。ただし、逮捕の事実が会社に伝わった時点で自主退職を促されるケースも多く、その場合は退職金が支払われることもあります。
失業保険(雇用保険)については、懲戒解雇でも受給は可能です。しかし、雇用保険法上「自己の責めに帰すべき重大な理由で退職した者」に該当するとして、原則として給付制限(2~3か月程度)が設けられます。
再就職への影響
再就職に際して履歴書に賞罰欄がある場合、一般的には有罪判決を受けた事実(前科)について記載が求められます。前科の事実を記載したことにより、就職が難しくなる可能性はあるでしょう。
前科の事実を故意に記載しない場合には、内容によっては経歴詐称と評価されるリスクがあります。もっとも、賞罰欄がない履歴書であれば自ら申告する義務はありませんが、面接で聞かれたら嘘をつくのは避けるべきです。
また、一定の犯罪歴がある場合には、医師・弁護士・公務員などの資格職について、法律上の欠格事由に該当し、資格取得や就業が制限されることがあります。ただし、欠格事由の内容や期間は職種や資格ごとに異なります。
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前科をつけず仕事を守るために今すぐすべきこと
前科による解雇を防ぐためには、早期に対処することが最大の鍵です。
不起訴処分の獲得を目指す
前科を回避する最も現実的な方法は、不起訴処分を獲得することです。日本の刑事裁判では起訴されると99%以上の確率で有罪判決となり、前科がつきます。不起訴を勝ち取ることが前科回避への最短ルートです。
不起訴の中でも、「犯罪の嫌疑は認められるが、情状を考慮してあえて起訴しない」と判断される起訴猶予の獲得が現実的な目標となります。
示談を早期に成立させる

被害者のいる事件では、被害者との示談が不起訴獲得に直結します。 真摯に反省・謝罪して示談を成立させることで、検察官が情状を考慮し、起訴猶予となる可能性が高まります。
示談交渉は、逮捕から起訴まで最大23日という限られた期間内に行う必要があります。起訴が決まった後では示談が成立しても不起訴に変更することは原則としてできません。
弁護士へ早期に相談する
被害者との示談交渉を本人が直接行うことは、感情的な対立から困難なことがほとんどです。弁護士を間に立てることで交渉がスムーズになり、示談成立の可能性が高まります。
また、勾留中は外部との連絡が遮断されるため、弁護士のみが本人と面会し、外部との橋渡し役を担える存在です。身柄の早期釈放を実現するためにも、逮捕直後に弁護士に相談することが重要です。
示談交渉を弁護士に依頼すべき理由はこちらの記事で詳しく解説しています。
会社員の前科に関するよくある質問
Q.会社員が逮捕されたら、会社に必ず知られますか?
逮捕されても、会社に必ず知られるわけではありません。
通常、警察が勤め先に連絡する法的義務はなく、実務上も職場への告知は稀です。
ただし、勾留が長引いて無断欠勤が続いた場合や、報道された場合は会社に知られるリスクが高くなります。
Q.不起訴になれば前科はつきませんか?
不起訴になれば前科はつきません。前科がつくのは刑事裁判で有罪判決が確定した場合に限られます。
検察官が不起訴処分の判断を下した場合は刑事裁判は開かれず、前科がつく可能性はゼロです。ただし、「前歴」(捜査を受けた事実)は残ります。
Q.執行猶予がついた場合、前科はつきますか?
執行猶予がついた場合も前科はつきます。執行猶予は「刑の執行を一定期間猶予する」制度であり、有罪判決であることに変わりはありません。
就業規則が「有罪判決を受けたとき」を解雇事由としている場合、執行猶予付き判決であっても懲戒解雇の対象になりえます。
会社員の前科・解雇に関するお悩みは弁護士に相談
会社員に前科がついたからといって、必ずしも即座に解雇されるわけではありません。解雇の可否は就業規則の内容、犯罪の種類、逮捕・起訴・有罪判決のどの段階かによって異なります。
ただし、執行猶予つき判決や罰金刑も「有罪判決」である以上、就業規則によっては懲戒解雇の対象になりえる点は見落としがちなリスクです。
前科をつけず、仕事を守るうえで最も現実的な手段は不起訴処分の獲得です。
しかし、逮捕から起訴まで最大23日という限られた時間の中で被害者との示談を進め、検察官に働きかけるためには、専門家のサポートなしに動くことは非常に困難です。対処が1日遅れるだけで、取れる選択肢が狭まってしまいます。
「前科がついたら仕事はどうなるのか」「会社に知られる前に何かできることはないか」と少しでも不安を感じているなら、一人で抱え込まず、刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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