2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
「大麻・薬物事件を起こして逮捕されてしまった。会社を解雇されるのか、仕事はどうなるのか」——このような不安を抱えている方は少なくありません。
結論として、会社員が大麻で逮捕されても、必ず解雇されるわけではありません。解雇されるかどうかは各企業の就業規則の内容や、刑罰が科せられるかどうかによって異なります。
ただし、大麻事件は身体拘束が長期化する可能性が高く、長期間の欠勤により、会社に事件が知られるリスクが高まります。
仕事を失わないためには、できるだけ早く弁護士に相談し、早期釈放・不起訴処分を目指すことが最も重要です。
この記事では、会社員が大麻・薬物で逮捕された場合の解雇の可能性、逮捕後の流れ、刑罰、そして仕事を守るための具体的な対処法について、弁護士が詳しく解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
会社員が大麻で逮捕されたら解雇される?
会社員が大麻・薬物事件を起こした場合、懲戒解雇となる可能性があります。
ただし、「逮捕=即解雇」ではなく、実際には複数の要素によって解雇されるかどうかが変わります。
会社員が逮捕されても直ちに解雇されるとは限らない
社員が逮捕されても、通常、警察から勤務先へ直接連絡されることはありません。そのため、会社に知られることなく穏便に事件を解決することができれば、直ちに解雇されることはありません。
しかし、大麻・薬物は、逮捕後の勾留率が非常に高い犯罪です。
令和7年版犯罪白書によると、令和6年における大麻事件の勾留請求率は約98%、勾留認容率は約98%です(令和7年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節)。逮捕された大麻取締法違反の被疑者は、およそ95%が勾留されています。
身体拘束が長期に及ぶと、そのぶん会社に事件のことを知られる可能性は高まります。また、長期欠勤それ自体が解雇事由となりえます。そのため、早期釈放を目指すことが仕事を守るうえでとても重要です。
解雇されるか否かは各企業の就業規則による
会社員の懲戒処分に関する規定は法律で一律に定められているわけではありません。処分は各企業の就業規則にしたがって行われます。
就業規則の解雇事由が「有罪判決を受けた場合」などとなっていれば、逮捕されただけでは即座に解雇されることはないでしょう。この場合、有罪判決を受けると解雇事由となります。
また、不起訴となった場合は刑事裁判は開かれず、前科がつくことはありません。しかし、解雇されるか否かは就業規則によるため、本人が容疑を認めている場合などは、最終的に不起訴となっても懲戒解雇となる場合もあります。
会社員が大麻で解雇される可能性が高いケース・低いケース
解雇の可能性は、以下のような事情によって大きく変わります。
解雇の可能性が高いケース
- 実名や会社名が報道・SNS等で公になった場合
- 業務に直接関連する状況で発覚した場合(例:社用車内で大麻所持が見つかった、取引先との会食中に使用が発覚した等)
- 勾留が長期化して無断欠勤が続き、業務に重大な支障が生じた場合
- 職場内で他の社員に大麻を譲渡する等、社内秩序を直接乱す行為があった場合
解雇の可能性が低いケース
- 事件が会社に知られず、業務への支障が生じなかった場合
- 不起訴処分となり、前科がつかなかった場合
- 完全にプライベートの出来事であり、業務との関連性がない場合
- 初犯であり、所持量が微量かつ個人使用目的にとどまる場合
もっとも、就業規則の懲戒解雇事由が「有罪判決が確定した場合」とされている場合、たとえ会社に影響を及ぼさなかったとしても有罪判決を理由に解雇される可能性はあります。
会社員が大麻・薬物で逮捕された後の流れ

逮捕〜送致(48時間以内)
逮捕後、警察は48時間以内に事件を検察官へ送致(送検)します。
送致~勾留請求(送致後24時間)
検察官は、警察から受け取った証拠と、ご本人から直接聞いた話の内容をもとに、さらに留置場に置くこと(勾留)が必要かを判断します。勾留が必要な場合は、裁判官に勾留請求を行います。
勾留請求の期限は、逮捕後72時間かつ、送致後、検察官が被疑者を受け取った時から24時間以内です。
勾留(最大20日間)
検察官が勾留を請求し認められると、原則10日間(必要に応じ最大10日間の延長)、身柄が拘束されます。
勾留中は長期欠勤が続くため職場バレのリスクが高まります。弁護士を通じて早期釈放を目指すことが重要です。
起訴・不起訴の決定
捜査を経て、検察官が起訴・不起訴を決定します。日本の起訴後有罪率は99%を超えるため、前科を避けるには不起訴を目指すことが最も現実的な手段です。
もっとも、不起訴であっても職務外の非行として懲戒処分の対象となる可能性はあるため、処分の有無や内容は所属機関の判断によって決まります。
逮捕後の釈放タイミングについて詳しく知りたい方は『逮捕されたら?逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説』の記事をご覧ください。
大麻の刑罰は?初犯より再犯の方が罪は重くなる?
大麻の刑罰(営利目的なし)

使用・所持・譲渡・譲受の刑罰
免許等なく個人で大麻を不正に使用・所持した場合や、譲渡・譲受した場合の刑罰は、7年以下の拘禁刑です(麻薬及び向精神薬取締法66条の2第1項、同66条1項)。
所持は、自分の支配下に大麻がある状態のことをいい、カバンや衣服のポケットに携帯する場合に加え、車や家で保管する場合も含みます。所持量が微量(0.5グラム以下)の場合は、大麻草なら不起訴になる場合もありますが、濃度が高い樹脂だと通常起訴されます。
譲渡・譲受は、有償無償を問わず違法行為です。友人・知人などに大麻を無償で渡した場合でも、犯罪となります。
栽培・輸出・輸入の刑罰
免許等なく個人使用目的で大麻を栽培・輸出入した場合の刑罰は、1年以上10年以下の拘禁刑です(大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項、麻薬及び向精神薬取締法65条1項)。
大麻の刑罰(営利目的あり)

使用・所持・譲渡・譲受の刑罰
営利目的で大麻を使用・所持・譲渡・譲受した場合の刑罰は、1年以上10年以下の拘禁刑です。情状によっては300万円以下の罰金が併科される場合があります(麻薬及び向精神薬取締法66条の2第2項、同66条2項)。
栽培・輸出・輸入の刑罰
営利目的で大麻を栽培・輸出入した場合の刑罰は、1年以上20年以下の拘禁刑です。情状により500万円以下の罰金が併科される場合があります(大麻草の栽培の規制に関する法律24条2項、麻薬及び向精神薬取締法65条2項)。
初犯より再犯の方が罪は重くなるのか?
大麻の刑罰は、基本的に拘禁刑です。ただし、拘禁刑の判決を受けても、初犯であり悪質性も低いとみなされた場合は執行猶予がつくことも多いです。
しかし、再犯となった場合は実刑となる可能性が高くなり、特に執行猶予判決を受けてから5年以内の再犯の場合はほぼ確実に実刑となります。
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会社員が大麻で仕事を失わないための正しい対処法
逮捕を回避するために弁護士に相談する
大麻・薬物は微罪として終えることは困難であり、勾留率も高い犯罪です。そのため、まずは勾留を避け、早期に釈放されることを目指すことになります。
早期釈放のためには、家族の協力なども得ながら、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを弁護士を通じて示すことが重要です。
また、同居人や恋人などが大麻・薬物で逮捕され、自分にも嫌疑がかかっているという場合があります。そのような時は逃亡や証拠隠滅の恐れがないことや所持の事実がないことを弁護士を通じて主張し、逮捕の回避を目指します。
不起訴処分の獲得や執行猶予を目指す弁護活動
大麻・薬物事件において不起訴を目指すためには、犯行が悪質でないことや十分に反省して再犯の恐れがないことなどをしっかりと検察官に示すことが必要です。
起訴された場合、保釈による釈放を目指して活動を行います。弁護人により保釈請求を行い、逃亡や証拠隠滅の恐れのないことが認められると保釈決定が下り、保釈金を納付することで釈放されます。
裁判では執行猶予つき判決を得て実刑を回避することを目指します。初犯で個人使用目的であれば執行猶予がつくことが多いですが、営利目的や常習性が認められた場合は実刑になるケースが多くなります。
大麻・薬物依存を治療して再犯を防ぐ
薬物は再犯率の高い犯罪であることから、罪を少しでも軽くするためには再犯防止のための取り組みをしっかりと行い、それを検察官や裁判官に示すことが必要となります。
具体的には以下の取り組みが有効です。
再犯を防ぐ取り組みの例
- 医療機関で薬物依存の治療を受ける
- 「ダルク(DARC)」などの回復支援施設に入所する
- 弁護士・家族と協力して診断書やサポート体制を整え証拠として提出する
会社員が大麻で逮捕された場合によくある質問
Q.会社員が大麻で逮捕されたら、必ず会社に連絡されますか?
会社員が大麻で逮捕されても、警察から会社に連絡が行くことは基本的にはありません。
ただし、会社内で大麻を所持していた疑いがある場合や、会社の関係者が事件に関わっている場合には、警察から会社へ連絡や捜査が入ることがあります。
また、勾留が長期化して不自然な欠勤が続くことで、会社に事件が知られてしまうケースも多いです。
Q.大麻で逮捕された会社員が、自主退職ではなく懲戒解雇された場合のデメリットは何ですか?
懲戒解雇されるデメリットは、以下が挙げられます。
懲戒解雇された場合のデメリット
- 退職金が不支給または減額されることが多い
- 離職票に「重責解雇」と記載され失業給付の受給開始が遅れる
- 転職活動において不利になる可能性がある
弁護士に早期相談し、懲戒解雇を避けるための方策を検討することが重要です。
Q.大麻の使用罪が新設されたと聞きましたが、会社員への影響はありますか?
令和6年12月12日の法改正により、大麻の「使用(施用)」にも新たに罰則が設けられました。
そのため、尿検査で大麻成分が検出されただけでも起訴される可能性が高まりました。会社員にとっては、大麻を使用した事実がより立証されやすくなったことを意味しており、従来以上に慎重な対応が求められます。不安がある方は、早急に弁護士にご相談ください。
まとめ
会社員が大麻で逮捕された場合、懲戒解雇となる可能性はありますが、必ずしも解雇されるわけではありません。解雇の可否は就業規則の内容、事件の結果(起訴・不起訴)、会社への影響の度合いなどによって判断されます。
仕事を守るために最も重要なのは、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、早期釈放と不起訴処分の獲得を目指すことです。大麻事件は勾留率が約95%と高く、身体拘束が長引けば長引くほど、会社に事件が知られ、解雇されるリスクが高まります。
令和6年の法改正により大麻の使用罪が新設され、大麻事件をめぐる状況はより厳しくなっています。日常生活を取り戻したいとお考えの会社員の方は、できるだけ早く弁護士に相談してください。
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