「高校生のわが子が万引き事件を起こし、逮捕されてしまった。いったいどうすればよいのか」
こちらの記事では、高校生の子どもが逮捕された時はどのように行動をすべきか、また退学になることを回避するためにすべきことなどについても詳しく解説していきます。
高校生が万引きで逮捕された場合の処分を少しでも軽くするためには、早期に弁護士に相談することが重要です。
目次
高校生が万引きで逮捕されたら退学になる?
警察庁が公開している「令和2年の刑法犯に関する統計資料」によると、令和2年における万引きで検挙された14~19歳の件数は4,164件となっており、現状では減少傾向となっています。
高校生が万引きで逮捕された場合、最も気になるのは学校を退学になるかどうかということでしょう。逮捕によって退学となることはあるのでしょうか。
万引きで逮捕されても退学になるとは限らない
結論から言えば、高校生が万引きで逮捕されても、必ずしも退学になるとは限りません。
学校教育の制度について定めた学校教育法は、11条において、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは(略)児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。」と定めています。
また同法施行規則26条3項は、「退学は、(略)次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。」と定めています。
一 性行不良で改善の見込がないと認められる者
二 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
三 正当の理由がなくて出席常でない者
四 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者
学校教育法施行規則26条3項
高校生の退学処分は高校の校則できまる
上記のように、学校教育法を見れば分かる通り、逮捕されたことによっては法律上では必ずしも退学になるわけではありません。
逮捕されたことで退学処分になるかどうかは、最終的には各高校の校則によって決定されます。
公立高校と私立高校の退学基準の違い
高校生の処分に関して、明確な基準といえるものはありません。その裁量は基本的に個別の高校に委ねられています。
退学は最も重い処分であり、一般的には、重大な犯罪行為を犯した場合などに限られます。ただし、私立高校においては公立高校よりもやや厳しい措置が取られる傾向があるといえます。
高校生の万引きの処罰はどうなる?
高校生が万引きの罪を犯した場合、その後の流れや最終的な処分はどのようなものになるのでしょうか。
万引きの刑罰は窃盗罪と同じ
「万引き」という罪名はなく、刑法235条の窃盗罪にあたります。
万引きと聞くと、特に未成年の場合では軽い印象があるかもしれません。しかし、窃盗罪は刑法に定められた正式な犯罪であり、未成年の場合であっても逮捕されるケースがあることはしっかりと認識しておく必要があります。
高校生が万引き事件を起こした際の処分
高校生が万引きをした場合、その程度が軽いとみなされれば店で注意を受ける程度に留まりますが、重いと判断された場合は補導され学校に連絡がされたり、警察に通報され刑事事件としての手続きが進み場合によっては逮捕されることが考えられます。
特に、万引きを何度も繰り返し店に大きな被害を与えている、組織的に万引きを行っているなど、悪質と考えられる場合は学校側も厳しい対応を行うことが予想されます。
高校生が逮捕された場合の流れについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
弁護士へ早期相談して高校生の退学回避を目指す
高校生が万引きの罪を犯したことにより退学となることを回避するためには、早期に弁護士へ相談することが重要です。
弁護士が少年の更生をサポートし迅速に社会復帰
少年事件においては、少年がいかに更生できるかを示すことが重要となります。そのため、弁護士は法的な弁護活動だけでなく、少年の更生のサポートも行います。
具体的には、家庭環境を整えるために家族と協議したり、学校や職場の状況を調査したりするなどの活動を行います。
付添人として審判不開始や軽い保護処分を目指す
少年審判においては、少年側をサポートする役割として付添人と呼ばれる人を付けることができ、通常の場合は弁護士がなるのが一般的です。
付添人は審判までに必要な準備を行い、少年が更生の道をたどっており処分を軽減すべきであるという弁護活動を行います。
少年審判においては、少年側のサポートを行う役割を持っているのは付添人のみとなっています。付添人は必ず付けなくてはならないものではありませんが、法的な視点から少年やその家族のサポートが可能な弁護士は心強い味方になります。
弁護士を通すと被害者への被害弁償と示談がスムーズに
少年事件においても、処分の軽減のためには成人の場合と同様に被害者と示談を締結することが重要となります。しかし少年自身や保護者が示談をすることは困難であるため、弁護士が交渉を行うことで示談の締結を目指します。
少年事件は更生を主目的としているため、示談ができればすなわち審判不開始や不処分となるわけではありません。しかし、示談を締結することで、少年が事件と向き合い更生に向かって進んでいることを示し、処分の軽減を図ることが可能となります。
また万引き事件の場合、チェーン店などは示談には一切応じない方針を取っているところも多いです。その場合は被害の弁済を行い、謝罪を尽くすなど、示談とは別の形で反省の意を示すことで、審判不開始や不処分の可能性を高めるケースが多くなります。