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大学生が大麻・薬物で逮捕されたらどうなる?早期に弁護士への相談を

大学生が大麻

こちらの記事では、大学生が大麻・薬物事件を起こし、逮捕された場合はどのように行動をすべきか、また退学になることを回避するためにすべきことなどについても詳しく解説していきます。

大学生が大麻・薬物で逮捕された場合の処分を少しでも軽くするためには、早期に弁護士に相談することが重要です。

なお、当記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、成人とは20歳以上の者を指しています。民法上の成人(民法第4条)とは異なるものです。

大学生が大麻・薬物で逮捕されたら退学になる?

大学生における大麻・薬物の現状

大麻・薬物をめぐる社会の現状を見ると、大学生が大麻で検挙される事例がここ数年で急激に増加しています。警察庁が公表している「令和2年における組織犯罪の情勢(PDF)」によると、令和2年に大麻で検挙された大学生の数は219人であり、4年前の平成28年に比べると4倍以上となっています。

2020年には、東海大学野球部や近畿大学サッカー部において部員が大麻を使用した問題が大きく報じられたことなどは記憶に新しいでしょう。

また同年、関西学院大学が新入生を対象に行った「薬物に関する意識調査(PDF)」によると、「(大麻、覚せい剤などの)薬物を入手可能と考えますか」という質問に対し、「難しいが手に入る」と答えた人の割合は36.6%、「手に入る」と答えた人は15.3%にのぼりました。

このような事例や調査から見ても、大学生にとって大麻・薬物が身近なものとなっていることがうかがえます。

大麻・薬物で逮捕されても退学になるとは限らない

大学生が大麻で逮捕された場合、最も気になることは学校を退学になるかどうかということでしょう。

結論から言えば、大学生が大麻・薬物で逮捕されても、必ずしも退学になるとは限りません。

大学生の退学処分は各大学の学則できまる

大学生の懲戒処分は、各学校が定めている学則によって決定されます。その基準は各学校によってばらつきがあります。

国公立大学と私立大学の退学基準の違い

国公立大学と私立大学では、処分の基準にはっきりとした差といえるものは見出すことはできません。ただし総じて、大学生は成人もしくはそれに準ずる者として扱われるため、処分も高校生以下と比べると相応に厳しくなると考えられます。

そのため、不起訴となっても、特に本人が罪を認めている場合などでは処分は下る可能性があります。

先ほどの近畿大学サッカー部の例を見ると、大麻取締法違反による立件は見送られたものの、中心となった人物1人は退学、使用や関与を認めた複数人には停学や厳重注意などの処分が大学当局より下りました。その他、監督やコーチも辞任などとなり、サッカー部全体についても無期限活動停止となっています(2021年8月に活動を再開)。

大麻・薬物の刑罰は?大学生の場合はどうなる?

大学生が大麻・薬物の罪を犯した場合、最終的な刑罰はどのようなものになるのでしょうか。

以下は、通常の大麻・薬物事件における刑罰について解説します。まずは大麻について見てみましょう。

大麻の所持・譲渡・譲受の刑罰

大麻に関する罪が発覚した場合、大学生であっても20歳以上であれば成人として扱われ、通常通り逮捕や捜査が行われます。

大麻に関する犯罪は、その犯行様態によって刑罰のパターンが変わることが特徴です。

免許等を持たずに個人で使用する目的で大麻を所持した場合や、大麻を売ったり買ったりした(譲渡・譲受)場合、以下の処罰が下ることが大麻取締法24条の2で定められています。

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

大麻取締法24条の2

また所持・譲渡・譲受の中でも、個人使用でなく営利目的が認められた場合、刑罰は重くなることが同法同条の2の2項に規定されています。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

大麻取締法24条の2

大麻の栽培・輸出・輸入の刑罰

また大麻の栽培や輸出入を行った場合、以下のようなより重い処罰が下ることが定められています。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。

2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。

大麻取締法24条

大麻以外の薬物の刑罰

大麻以外の薬物のうち、ここでは代表的なものである覚醒剤の刑罰をみてみましょう。覚醒剤の刑罰は大麻よりも重く、所持・譲渡・譲受・使用でも10年以下の懲役、営利目的の輸出入・製造が認められた場合は最高で無期懲役となります。

その他の薬物の刑罰に関しては、こちらの記事も『薬物事件で弁護士に相談するメリット|覚醒剤・大麻などで逮捕されたら』ご参照ください。

大学生が大麻事件を起こした際の処分(成人の場合)

大麻取締法で禁止されている主な行為は、上で見たように所持、譲渡・譲受、栽培、輸出入の4つですが、いずれの場合も刑罰は懲役刑以上となっており、罰金刑以下となることはありません。

ただし、懲役刑の判決を受けても、初犯であり悪質性も低いとみなされた場合は執行猶予がつくことも多いです。しかし、逆に再犯となった場合は実刑となる可能性が高くなり、特に執行猶予判決を受けてから5年以内の再犯の場合はほぼ確実に実刑となります。

大学生が大麻事件を起こした際の処分(未成年の場合)

大学生でも19歳以下の未成年の場合は、原則として刑罰が科されることはなく、初犯である、営利目的でないなど、悪質性が低いとみなされた場合は更生と教育を目的とした保護観察処分となることが多いようです。

ただし、常習性や組織性、営利目的が認められるような場合では、少年院送致となる可能性があります。

弁護士へ早期相談して大学生の前科と退学を回避

大学生が大麻により退学となることを回避するためには、早期に弁護士へ相談することが重要です。

不起訴処分を獲得し前科と退学の回避を目指す(成人の場合)

先に見たように、大麻・薬物は微罪として終えることは困難であり、勾留率も高い犯罪です。そのため、まずは勾留を避け、早期に釈放されることを目指すことになります。

早期釈放のためには、家族の協力なども得ながら、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを弁護士に伝えることが重要です。

また、同居人や恋人などが大麻・薬物で逮捕され、自分にも嫌疑がかかっているという場合があります。そのような時は逃亡や証拠隠滅の恐れがないことや所持の事実がないことを弁護士を通じて主張し、逮捕の回避を目指します。

弁護士が少年の更生をサポートし迅速に社会復帰(未成年の場合)

19歳以下の少年事件においては、少年がいかに更生できるかを示すことが重要となります。そのため、弁護士は法的な弁護活動だけでなく、少年の更生のサポートも行います。

具体的には、家庭環境を整えるために家族と協議したり、学校や職場の状況を調査したりするなどの活動を行います。

また少年審判では付添人と呼ばれる者を付けることができますが、これは通常弁護士が務め、法的な視点から少年や家族を支えることが可能となります。

再犯防止の取り組みをしっかりと示す

大麻・薬物は再犯率の高い犯罪です。厚生労働省のホームページ「大麻・薬物をめぐる現状」によると、平成28年度における検挙者に占める再犯者の割合は22.4%となっています。これは10年前の平成18年度に比べて2倍近い数字です。

そのため、罪を少しでも軽くするためには再犯防止のための取り組みをしっかりと行い、それを検察官や裁判官に示すことが必要となります。

具体的には、医療機関で治療を受け、「薬物のダルク」などの回復支援施設に入所して依存から回復するなどの取り組みを行います。弁護士や家族などと協力し、診断書やサポート体制などを証拠として提出することで、再犯防止の取り組みを明示するのです。

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アトム法律事務所 所属弁護士