2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
大学生が逮捕された場合、退学や前科を回避できるかどうかは、早期に弁護士へ相談できるかどうかで大きく変わります。
大学生が逮捕されると、保護者・本人ともに「大学は退学になる?」「内定や将来に影響は?」「親族や知人に知られたくない…」といった不安を抱えるのは当然です。
この記事では、大学生の子どもが逮捕された保護者や、逮捕を心配している大学生本人に向けて、逮捕後の流れ、退学のリスクとその回避方法、弁護士に相談するメリットについて解説します。
なお、この記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、成人とは20歳以上の者を指しています。民法上の成人(民法4条)とは異なるものです。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
大学生は年齢に関係なく逮捕される
大学生であれば、年齢に関係なく逮捕される可能性があります。19歳以下の少年でも、14歳以上であれば、刑事責任能力があると判断されるからです。
逮捕には主に「現行犯逮捕」「後日逮捕」の2種類があります。
現行犯逮捕
現行犯逮捕は、犯罪の最中または直後の犯人を逮捕することです。
特徴として、警察などの捜査機関だけでなく、被害者や周囲の人であっても例外的に逮捕状なしで犯人を捕まえることができます。
現行犯逮捕は、犯人を間違える可能性が低く、犯罪の嫌疑が明白です。逮捕状の発付をしていたら犯人を取り逃してしまう可能性もあることから、例外的に逮捕状なしでの逮捕が認められています。
後日逮捕(通常逮捕)
後日逮捕とは、警察官が裁判官が発付する逮捕状を基に逮捕することをいいます。
警察官が加害者を特定し、逮捕の必要性があると判断した場合に裁判官に逮捕状の発付を請求します。裁判官は本当に逮捕の必要性があるのかを審理し、必要性が認められた場合には逮捕状を発付します。
その後、逮捕状を持った警察官が加害者の身柄を拘束するというのが後日逮捕の基本の流れです。
警視庁の統計によれば令和6年の都内の刑法犯のうち、現行犯逮捕の総数が4,360件、通常逮捕の総数が5,645件となっています。
現行犯逮捕と後日逮捕の違い
| 現行犯逮捕 | 後日逮捕 | |
|---|---|---|
| 逮捕を行う人 | 誰でも可能 | 主に警察官 |
| 逮捕状の必要性 | なし | あり |
大学生の逮捕は年齢に関係なく行われますが、逮捕後の流れは、逮捕された者が20歳以上か19歳以下かによって大きく異なります。
20歳以上の大学生が逮捕された場合
逮捕から起訴・不起訴の判断までの身柄拘束は最長23日間

まずは20歳以上の大学生が逮捕された後の流れを見てみましょう。
20歳以上の大学生は成人と同じ手続きが取られます。逮捕後に事件が起訴されるかどうか決まるまで、最長で23日間の身柄拘束が続く可能性があります。
逮捕されても、警察は微罪処分として釈放する場合がありますが、それ以外の場合、事件を検察官に引き継ぐ検察官送致(送検)が48時間以内に行われます。
検察官の判断により24時間以内に勾留請求が行われ、原則として10日間身柄が拘束されます。必要に応じ、さらに最長で10日間の勾留延長が行われます。
起訴されたら99%以上の確率で有罪となる
捜査の結果、検察官は起訴するかどうかを決定します。不起訴や処分保留となった場合は釈放されますが、起訴されると略式裁判(略式命令)もしくは公判(正式裁判)が開かれます。
日本では、起訴されると99%以上の確率で有罪となり、罰金刑や拘禁刑などの刑罰が決定されます。
有罪判決が確定すると、前科がついてしまうため、将来的に不利益が生じるおそれがあります。
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19歳以下の大学生が逮捕された場合
19歳以下の大学生は逮捕後に家庭裁判所に送られる

19歳以下の大学生が逮捕された場合など、少年の刑事事件のことは「少年事件」と呼ばれます。少年事件は、少年法の適用を受けて手続きが進められていきます。
なお、19歳以下の者が少年審判と刑事裁判のどちらを受けるかは、審判の時点を基準に決定されます。
そのため、事件発生時に19歳以下の大学生であったとしても、捜査や調査の間に20歳になった場合は20歳以上と同じ刑事裁判を受けることになります。
少年が逮捕された直後の流れは、成人の事件とおおむね同じです。
もっとも、少年の場合、逮捕後に続く身柄拘束に関しては、「成人と同じように勾留される」こともあれば、「勾留に代わる観護措置が取られる」こともあります。
観護措置を受けた少年は、少年鑑別所に収容されます。
勾留または観護措置の期間が終われば、一定の嫌疑があると判断された少年事件は、すべて家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所で観護措置や少年審判の必要性が検討される
家庭裁判所では裁判官が面接を行い、観護措置が必要と判断した場合は、鑑別所への送致または調査官の観護を24時間以内に決定します。
また、調査官による事件の調査も行われ、事件を起こした動機・原因や少年の家庭環境、交友関係などが調べられます。
その過程では本人や家族と面談を行うほか、大学に書面で質問を送ることもあります。
調査官の観護となった場合は在宅で観護を受けることになりますが、鑑別所送致となった場合は少年鑑別所に収容されます。
期間は原則2週間となっていますが、実際には4週間収容されるケースが大半となっています。
ここまでの過程のいずれかにおいて、少年審判を行う必要がないと判断されれば釈放され事件が終了します。
少年審判により19歳以下の少年の最終処分が決まる
ここまでの手続きで、審判を行う必要があると判断されると、少年審判が開始されます。
少年審判はあくまで少年の更生を目的として行われる手続きであり、通常20歳以上に適用される裁判のような保釈制度はなく、原則非公開で行われるのが特徴です。
少年審判の結果、以下の4つの処分が下ることとなります。
少年審判の終局処分
- 不処分
- 保護処分
- 知事または児童相談所長送致
- 検察官送致(逆送)
(1)不処分
審判が開かれたものの処分は必要ないと認められ、事件を終了することをいいます。
(2)保護処分
少年院送致、保護観察処分、児童自立支援施設等送致があります。なお、保護処分は更生と教育を目的としており、刑罰ではありません。
少年院では、2年程度の収容期間の中で矯正教育や社会復帰支援が行われます。また、保護観察の場合は、保護司の監督のもとで通常の社会生活をしながら更生を目指していきます。
(3)知事又は児童相談所長送致
知事や児童相談所長に事件を送致し、判断を委ねることもあります。
(4)検察官送致決定(逆送)
事件の悪質性などを鑑み、刑事罰相当と判断した場合には、事件を検察官に送致します。この場合は刑事手続きを受け直すこととなるため、20歳以上と同じ通常の刑事裁判が開かれます。
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・少年事件の流れは?逮捕から家庭裁判所・審判・処分まで弁護士がわかりやすく解説
18歳・19歳は「特定少年」として特則が適用される
2022年4月に施行された少年法改正により、18歳・19歳の少年は「特定少年」と位置づけられ、17歳以下の少年とは異なる取り扱いを受けることになっています。
大学生の年齢層の多くがこの特定少年にあたるため、注意が必要です。
特定少年についても、事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所調査官による調査や少年鑑別所での観護措置が行われるという少年法の基本的な枠組み自体は、17歳以下の少年と同様に維持されています。
一方で、特定少年には以下のような特則が設けられています。
- 原則として検察官に送致(逆送)される事件の範囲が、17歳以下の少年よりも拡大されている
- 事件が起訴された場合は、17歳以下の少年とは異なり、氏名や写真等の報道を禁止する規定(推知報道の禁止)が適用されなくなる
そのため、18歳・19歳の大学生は、17歳以下の少年に比べて処分が重くなる可能性や、起訴後に報道されるリスクがある点に注意が必要です。
大学生が逮捕されると退学になる?
大学生が逮捕されても退学になるとは限らない
大学生が逮捕されたからといって、必ずしも退学になるとは限りません。
処分の判断基準となるのは、各大学が定める「学則(がくそく)」です。この学則には、学生が一定の問題行動を起こした場合にどのような懲戒処分を行うのかが規定されています。
しかし、学則の内容は大学によって異なるため、同じケースでも処分が異なる可能性があります。
懲戒処分の具体例
大学で行われる懲戒処分には、一般的に以下のような種類があります。
- 訓告:指導の一環として注意を与える比較的軽い処分
- 停学:一定期間、授業や大学施設の利用を禁止される
- 退学勧告:本人や保護者に退学を促す
- 退学:違反行為が重大だと認定される場合に下される最も重い処分
大学側は、犯したとされる罪がどの程度の規則違反に該当するのかを慎重に判断したうえで、これらの処分を決定します。
国公立大学と私立大学で処分に違いはある?
国公立大学と私立大学を比較しても、特に私立大学では基準をホームページなどで明示している大学は少ないこともあり、退学処分の基準にはっきりとした差といえるものを見出すことはできません。
ただし総じて、大学生は20歳以上もしくはそれに準ずる者として扱われるため、処分も相応に厳しくなると考えられます。
そのため、逮捕後に不起訴となっても、大学名も含めて事件報道された場合、本人が罪を認めている場合などでは重い処分が下る可能性があります。
逮捕は内定や就職活動に影響する?
就職活動中や内定後に逮捕された場合、内定取り消しや選考不合格につながるのではないかと不安に感じる方も少なくありません。
内定は労働契約の一種としての性質を持つため、企業が一方的に取り消すには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる必要があります。
逮捕された事実だけで直ちに内定取り消しが認められるわけではありませんが、起訴された場合や、大学から退学・停学等の処分を受けた場合には、内定取り消しを検討される可能性が高まります。
就職活動中の場合も、応募先企業から前科・逮捕歴の有無について尋ねられない限り、法律上、自己申告の義務が一律に定められているわけではありません。
もっとも、選考過程で発覚した場合の対応や、内定後に事実が判明した場合の説明の仕方については、個別の事情によって適切な対応が異なります。
内定取り消しや就職活動への影響を最小限に抑えるためにも、早期に弁護士に相談し、不起訴処分の獲得や大学側との適切な対応を進めることが重要です。
大学生の事件を弁護士に相談するメリット
大学生が逮捕により退学となることを回避するためには、早期に弁護士へ相談することが重要です。
不起訴処分を獲得し前科と退学の回避を目指せる(20歳以上の場合)
日本においては、起訴されると99%以上の確率で有罪となり、前科がつきます。不起訴となった場合は刑事裁判自体が開かれなくなるため、前科がつくことはありません。
大学生の懲戒処分においては、不起訴になったからといって必ず退学を防げるわけではありません。しかし、退学を避けるためには、まずは不起訴処分を獲得することが重要です。
不起訴処分を得るためには、検察官が起訴するかどうか決定するまでに、弁護士を通じて被害者と示談を締結するなどの活動を行うことが必要となります。
大学生が逮捕されてから検察官が事件を起訴するまでの期間は、最長23日間が原則です。
つまり、不起訴を獲得するためには、逮捕後すぐに弁護士を依頼し、逮捕されている本人に代わって被害者との示談交渉など、不起訴獲得に向けた弁護活動をしてもらう必要があります。
刑事事件はスピードが命です。弁護士への依頼が早ければ早いほど、弁護活動の幅も広がります。
「不起訴を獲得して前科を防ぎたい」「できる限り退学のリスクを減らしたい」といった方は、弁護士にご相談ください。
少年の更生をサポートすることができる(19歳以下の場合)
少年事件においては、少年がいかに更生できるかを示すことが重要となります。そのため、弁護士は法的な弁護活動だけでなく、少年の更生のサポートも行います。
具体的には、家庭環境を整えるために家族と協議したり、学校や職場の状況を調査したりするなどの活動を行います。
また、弁護士は少年審判で付添人としての役割を担います。審判当日は緊張している少年に寄り添い、更生に向けた努力が裁判官に伝わるように、付添人独自の視点で質問していきます。
アトムの解決事例(大学生の逮捕)
ここでは、大学生の逮捕に関する実際の解決事例を、プライバシーに配慮したかたちでいくつかご紹介します。
すれ違いざまに臀部を触った痴漢の事例
痴漢(不処分)
路上を自転車で走行中、女性を追い抜きざまに臀部を触ってしまったケース。約1か月後に、痴漢行為として逮捕されたが、当日中に釈放された。少年(大学生)による迷惑防止条例違反の事案。
弁護活動の成果
連絡先の開示を拒まれた被害者に対し、家庭裁判所送致後も謝罪と示談の手紙を送るなど粘り強く働きかけ、示談成立と深い反省を家庭裁判所に主張・立証を尽くしたところ、不処分となった。
示談の有無
あり
最終処分
不処分
泥酔し通行人に暴行した事例
傷害・器物損壊(不起訴処分)
大学生の依頼者が、泥酔した状態で男性とトラブルになり、顔や腹部を殴って全治1週間の怪我を負わせたうえ、相手のメガネを壊したケース。傷害と器物損壊の容疑で現行犯逮捕された。
弁護活動の成果
検察官に勾留請求をしないよう求める意見書を提出して早期釈放を実現したうえ、被害者との示談交渉を進め、治療費・慰謝料・弁償を含む示談成立と宥恕を主張・立証を尽くしたところ、不起訴処分となった。
示談の有無
あり
最終処分
不起訴処分
商業施設内でスカート内を盗撮した事例
盗撮(不起訴処分)
依頼者の息子(大学生)が、女性のスカート内を盗撮したとして現行犯逮捕されたケース。就職活動中であり、逮捕による大学・就職活動への影響を懸念していた。迷惑防止条例違反の事案。
弁護活動の成果
勾留請求をしないよう求める意見書を提出して早期釈放を実現したうえ、被害者側との示談交渉を粘り強く進め、反省と再犯防止策の誓約を主張・立証を尽くしたところ、不起訴処分となった。
示談の有無
あり
最終処分
不起訴処分
大学生の逮捕…今後の処分が不安な方は弁護士に相談
弁護士を通すと被害者への被害弁償と示談がスムーズ
不起訴による釈放の可能性を高めるためには、被害者のいる犯罪の場合、早期に被害者対応を行うことが重要です。
真摯に反省して謝罪を行い、示談を締結することで、検察官が再犯の可能性や本人の社会復帰への影響などといった様々な情状を考慮し、不起訴の可能性が高まります。
19歳以下の少年事件の場合は、その手続きは更生を主目的としているため、示談ができれば審判不開始や不処分となるわけではありません。
しかし、示談を締結することで、少年が事件と向き合い更生に向かって進んでいることを示し、処分の軽減を図ることが可能となります。
いずれの場合においても、被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。
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