家族がコカインで逮捕されたとき、家族には何ができるでしょうか。コカインは懲役刑が用意されている重い犯罪です。すぐに法律の専門家である弁護士に相談し、釈放や裁判のことについて正確な情報を手に入れるようにしてください。コカインで逮捕されると、勾留という段階を経て、刑事裁判になる可能性があります。どの段階で釈放の可能性が出てくるか、どのような刑罰が予想されるかは、事件の内容により異なります。
薬物に詳しい弁護士であれば、どのような弁護活動が必要になるか、わかりやすく説明をしてくれるでしょう。まず家族は弁護士に話を聞き、家族として協力できることを整理してみてはいかがでしょうか。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
コカインでの逮捕|刑罰について解説
コカインの刑罰は「懲役刑」
コカインで逮捕され、刑事裁判で有罪となると、刑罰は懲役刑と罰金刑が予定されています。コカインは、「麻薬及び向精神薬取締法」という法律で「麻薬」に指定されており、次の行為が主な規制対象です。
- 製造(第20条)
- 所持(第28条)
- 施用(第27条)
- 譲渡(第24条)
- 譲受(第26条)
- 輸出(第17条)
- 輸入(第13条)
国から許可を受けた者(製造業者や研究者など)以外の者がコカインを所持したり使用(施用)することは禁止されており、これに違反すると「7年以下の懲役」となります。さらに、営利目的が認定されると、「1年以上10年以下の懲役」となり、さらに重い刑罪が予定されています。
また、コカインの製造や輸出入の罪は「1年以上10年以下の懲役」です。営利目的があるとさらに罪は重くなり、「1年以上の有期懲役」が予定されています。所持・使用での「7年以下の懲役」では、もっとも重い刑罰が「懲役7年」となり、営利目的製造での「1年以上の有期懲役」となると、もっとも重い刑罰は「懲役20年」ということになります。
コカインの犯罪は初犯でも実刑になる?
コカインで逮捕された場合、初犯であっても実刑になる可能性は十分にあります。例えば、コカインの所持や使用で逮捕された場合、その量や使用頻度、営利目的の有無などが考慮されますが、初犯であったとしても執行猶予がつかず刑務所に入ることもあるのです。特に、営利目的で反復継続して誰かに販売していた(譲渡の罪)場合、違法薬物を拡散させて利益を得ていたということで、その行為の悪質性から罪は重くなる方向に働きます。その場合には初犯として逮捕されたからといって、不起訴処分で事件が終了する可能性は低くなるでしょう。
コカインで逮捕されると起訴されるという流れを想定しておくことが必要です。そして、起訴されると刑事裁判になりますので、初犯でも早めに公判の準備を開始する必要性が高いです。実刑を免れるためには、薬物事件特有の弁護活動が必要になりますので、家族がコカインで逮捕されたという場合は、すぐに弁護士までご相談ください。
コカインで逮捕されると前科がつく?
コカインの製造、使用、所持などで逮捕された場合、刑事裁判を受ける可能性が出てきます。裁判で有罪になれば前科がつくことになります。執行猶予が付され、実刑とならなかった場合でも、有罪判決が確定すれば前科がつくのです。
コカイン事件の刑事裁判で判決の言い渡しを受けたとき、その翌日からカウントして14日間が控訴期間とされています。判決に不服がある場合には、この控訴期間中に控訴することが可能です。控訴期間が終われば、刑は確定します。また、控訴権を放棄することによっても刑は確定します。刑が確定すると、有罪判決を受けた履歴として前科がついてしまいます。
コカインで逮捕されたら|逮捕後の流れを解説
逮捕・勾留の流れ|逮捕後72時間で勾留が決まる
コカイン事件で逮捕されると、厳格なルールに従って刑事手続きが進められていきます。特に逮捕から勾留までの段階はもっともスピーディに行われます。まず、警察に逮捕されると48時間は警察の手持ち時間です。この間に警察は証拠資料を整えて検察官に引継ぎをします(これを「送致」といいます。)。そして、引継ぎを受けた検察官は、コカイン事件の認否などを被疑者に確認し、24時間以内に、被疑者を勾留すべきかどうかを検討しなければなりません。
検察官が勾留すべきと考えると、この24時間以内(逮捕時から72時間以内)に、裁判官に勾留請求を行います。裁判官は被疑者と面談をして、コカイン事件の被疑事実について確認をし、勾留するかどうか、判断をします。ここで、「コカインなど知らない」「コカインの事件に関与していない」などと否認をすると、勾留された状態で捜査が行われる流れになるでしょう。
逮捕後は、わずか数時間で勾留まで手続が進められていきます。コカイン事件で逮捕されて、どうしてよいかわからないと動揺している間に、勾留が決まってしまうということも少なくありません。逮捕後、家族に逮捕の事実が知らされたときは、すでに一定の手続が進んでいる状態です。家族は、その知らせを聞いたらすぐに弁護士に問合せをいれてアドバイスを求めてください。
勾留から起訴・不起訴が決まるまで
コカインの所持・使用などで逮捕されたとき、逮捕に続き勾留されることが予想されます。勾留されると、10日間は拘束状態が続きます。そして、延長されると、さらに10日間を限度として拘束は続きます。つまり、逮捕されてからおよそ23日間は外部と遮断された状況で生活をしなければなりません。
勾留満期になると、検察官による刑事処分が行われます。起訴されるか、不起訴になるかが決まります。起訴されればその後は刑事裁判が行われる流れになり、不起訴になれば、その時点で事件は終了です。コカイン事件では、通常、起訴され裁判まで進められる可能性が高く、公判対応まで視野にいれておく必要があります。
起訴後、刑が確定するまでの流れは?
起訴されると、被疑者は被告人という立場に変わります。起訴後、およそ1ヶ月前後で第一回公判の期日が設定されます。公判が始まると、事件が審理され、最終的に判決が言い渡されるのが刑事事件の流れです。
審理は、事件の内容によって長期化するケースもあります。コカインの所持や使用を認めている場合には比較的早く審理が尽くされますが、事件を否認している場合、共犯者がいる場合、コカイン以外の薬物事件も関わっている場合などでは、何度も期日が設けられて審理が行われるため、1年以上かけて裁判が行われることも否定できません。
そして、最終的に判決が言い渡されます。判決が出されると直ちに刑が確定するわけではなく、判決の翌日から14日間の不服申立期間(控訴期間)を経過してはじめて刑が確定するのです。このとき、控訴をすれば控訴審終了まで刑は確定しないこととなります。
家族がコカインで逮捕されたらすべき3つのこと
①コカイン事件に詳しい弁護士に相談する
コカインは違法薬物です。違法薬物には、他にも覚醒剤や大麻、合成麻薬など、様々なものがあります。薬物事件は窃盗や詐欺などと違い、被害者が存在しないため、示談をして事件解決を目指すことができません。薬物事件独特の弁護活動が必要になり、できるだけ早くから弁護士に活動をしてもらうことが重要になります。
特に、コカインは、使用するとその薬理効果が数分程度しかもたないことから、覚醒剤などと比べ依存する危険性が低いと言われることがあります。しかし、一度、中枢神経が刺激され高揚感、多幸感が得られると、その興奮状態を求めて二度三度と手を出してしまい、結局コカインから離れられなくなってしまう展開が容易に想像されるでしょう。
覚醒剤などの他の違法薬物と同様、コカインも自分の力で脱することはできないものだと心得ておく必要があります。家族や専門の医療機関の助けを借りて、根本的に治療していくことが必要になります。薬物事件にくわしい弁護士であれば、そうした根本治療を目指すことを主眼におき弁護活動を展開してくれるでしょう。
②弁護士接見で事情を把握し釈放を目指す
コカインで逮捕されたとき、どの段階で釈放が現実的になるかはケースにより異なります。逮捕後は、できるだけ早く弁護士を被疑者のもとに派遣し、状況を把握することが大切です。弁護士は、まず、どのような事実で逮捕・勾留されているかを把握し、勾留を阻止することができるケースなのか、起訴後の保釈を目指すべきかを判断します。
保釈を目指す場合でも、勾留中に準備を進めておく必要があり、逆算すれば逮捕直後から釈放に必要な環境調整などを行う必要があります。また、医療機関のサポートを受けるにしても、その交渉や事前準備には時間がかかります。家族は、まず弁護士に相談して正確な状況を把握するところから始めることが大切です。
③刑を軽くするための活動(不起訴・執行猶予の獲得)
弁護士は、弁護士活動の最終的な目標として、不起訴を目指したり、執行猶予の獲得を着地点に考えます。不起訴になれば、その時点で事件は終了しますので、もっとも望ましい結果といえるでしょう。起訴され公判になれば、実刑を回避するために執行猶予付き判決を目指すことがゴールになります。
執行猶予も難しいという事件の場合、たとえば、営利目的で反復継続してコカインを輸出入していたという場合には、実刑が濃厚になるでしょう。そのときには、できる限り刑を軽くするような公判活動が必要になります。
コカインのような薬物事件では、本人の健康状態にも気を配りながら刑事事件の対応をしていくことが必要です。刑事事件の中でも、薬物事件に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。大切な家族が逮捕されたという緊急事態だからこそ、家族は落ち着いて、専門家に意見を仰ぐことが大切です。