この記事では、麻薬の一種であるヘロインに関連する事件を起こした場合、逮捕・起訴される可能性について解説します。また、処分を少しでも軽減するためにすべきことなどについても解説していきます。
ヘロインをはじめとした薬物に関する事件においては、できる限り早期に弁護士に相談をし、再犯防止に向けて適切な活動を行うことが重要です。
目次
ヘロインは麻薬及び向精神薬取締法で規制されている薬物
そもそも、ヘロインとはどのような薬物なのでしょうか。
ヘロインは非常に強力な薬物
ヘロインとは「ジアセチルモルヒネ」の略称であり、植物のケシからモルヒネを抽出して加工した薬物です。
ヘロインはきわめて強い薬理作用と依存性が特徴の薬物であり、摂取すると強い陶酔感を覚えますが、その後が激しい痛みや失神などの禁断症状が引き起こされ、大量に摂取すれば命にも関わります。
心身への影響はモルヒネの3倍ともいわれており、その有害性から、個人での使用はもちろん医療的な使用も一切が禁じられています。
ヘロインの所持等は法律により罰せられる
ヘロインは麻薬及び向精神薬取締法で規制対象とされている「ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬」に該当し、同法12条において、その所持や施用が禁止されています。
第十二条 ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。
(略)
4 何人も、第一項の規定により禁止されるジアセチルモルヒネ等の施用を受けてはならない。
麻薬及び向精神薬取締法
ヘロインで逮捕・勾留・起訴される流れ
ヘロインで逮捕された場合、その後の流れはどのようなものになるでしょうか。ここでは、逮捕からその後勾留・起訴される流れや可能性についてみてみましょう。
尿検査で陽性となった場合逮捕される
警察官に職務質問をされた際に任意で尿検査の実施を求められ、ヘロインをはじめとした薬物の陽性反応が出た場合、その場で逮捕される可能性があります。また陽性反応が出なかった場合でも、正式鑑定に回されて反応が出た場合は後日逮捕される可能性があります。
なお、尿検査は任意なので拒否することは可能ですが、ヘロインなどの違法薬物を使用している可能性が高いと警察が判断した場合、警察は裁判所を通じて後日強制的に採尿を行うことが可能です。
薬物事件は逮捕されることが多い
ヘロインをはじめとした薬物事件の場合、逮捕・勾留されることが多いです。薬物は処分が簡単な上、口裏合わせや隠蔽を行うことも容易であるためです。また、身柄を拘束されていない被疑者が再び薬物を使用するのを防ぐ意味もあります。
またヘロインをはじめとした薬物は、逮捕された場合起訴される可能性も高い犯罪です。「令和2年版 犯罪白書」によれば、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで送検された場合の起訴率は56.6%となっています。
ただし、初犯である、所持量がごく微量だった、故意がない、等の情状がある場合においては、不起訴処分となる可能性があります。
ヘロインで逮捕・起訴されたらどうなる?
ヘロインの所持等による罰則は、いずれも懲役または懲役と罰金の併科のみとなっており、起訴された場合は裁判が開かれ、出廷する必要があります。当然、有罪となった場合は最低でも懲役刑となります。
ただし、営利目的ではなくヘロインの所持のみで起訴され、かつ初犯の場合であれば、執行猶予付きの判決となる可能性が高くなります。
ヘロイン事件においてはできるだけ早く弁護士に相談を
ヘロインをはじめとした薬物事件を起こした場合、その処分を少しでも軽くするためには、早期に弁護士へ相談することが重要です。
不起訴処分を獲得し前科と退学の回避を目指す
先に見たように、ヘロインをはじめとした薬物に関する犯罪は逮捕・勾留される可能性の高い犯罪です。そのため、まずは勾留を避け、早期に釈放されることを目指すことが重要です。
早期釈放のためには、家族の協力なども得ながら、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを弁護士に伝えることが重要です。
また、同居人や恋人などが大麻・薬物で逮捕され、自分にも身に覚えのない嫌疑がかかっているという場合があります。そのような時は逃亡や証拠隠滅の恐れがないことや所持の事実がないことを弁護士を通じて主張し、逮捕の回避を目指します。
再犯防止の取り組みをしっかりと示す
大麻・薬物は再犯率の高い犯罪です。厚生労働省のホームページ「大麻・薬物をめぐる現状」によると、平成28年度における検挙者に占める再犯者の割合は22.4%となっており、これは10年前の平成18年度に比べて2倍近い数字です。
またヘロインなどの薬物事件には被害者がおらず、示談を締結することはできません。そのため、罪を少しでも軽くするためには、再犯防止のための取り組みをしっかりと行い、それを検察官や裁判官に示すことが必要となります。
具体的には、医療機関で治療を受け、「薬物のダルク」などの回復支援施設に入所して依存から回復するなどの取り組みを行います。弁護士や家族などと協力し、診断書やサポート体制などを証拠として提出することで、再犯防止の取り組みを明示するのです。
そうした活動を適切に行うためにも、早期に弁護士に弁護士への相談を行うようにしましょう。