この記事では、麻薬の一種であるLSDに関連する事件を起こした場合、逮捕・起訴される可能性について解説します。また、処分を少しでも軽減するためにすべきことなどについても解説していきます。
LSDをはじめとした薬物に関する事件においては、できる限り早期に弁護士に相談をし、再犯防止に向けて適切な活動を行うことが重要です。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
LSDは麻薬及び向精神薬取締法で規制されている薬物
そもそも、LSDとはどのような薬物なのでしょうか。LSDを取り巻く社会的・法的な現状を含めて解説していきます。
LSDとは
LSDとは「リゼルグ酸ジエチルアミド」の略称であり、主にライ麦などから採れる麦角アルカロイドに由来するドラッグの一つです。錠剤のほか、LSDの水溶液をしみこませた紙片などの形で使用されます。
摂取すると空間や時間感覚の歪み、幻覚、妄想などといった症状が6時間から14時間ほど続きます。
LSDの乱用はかつて世界的に流行したことがありますが、日本においては1970年に麻薬に指定されました。しかし、現在でもLSDを所持・使用した者が摘発されるケースはしばしばあり、決して過去の薬物になったというわけではありません。
LSDの所持等は法律により罰せられる
LSDは麻薬及び向精神薬取締法で規制対象とされている「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に該当し、同法66条において所持等が禁止されています。
ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に該当する者を除く。)は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
麻薬及び向精神薬取締法66条
また同法27条は、「麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。」としています。そのため、LSDは所持等だけなく、使用も処罰されます(7年以下の懲役)。
LSDで逮捕・勾留・起訴される流れ
LSDで逮捕された場合、その後の流れはどのようなものになるでしょうか。ここでは、逮捕からその後勾留・起訴される流れや可能性についてみてみましょう。
尿検査で陽性となった場合逮捕される
警察官に職務質問をされた際に任意で尿検査の実施を求められ、LSDをはじめとした薬物の陽性反応が出た場合、その場で逮捕される可能性があります。また陽性反応が出なかった場合でも、正式鑑定に回されて反応が出た場合は後日逮捕される可能性があります。
なお、尿検査は任意なので拒否することは可能ですが、LSDなどの違法薬物を使用している可能性が高いと警察が判断した場合、警察は裁判所を通じて後日強制的に採尿を行うことが可能です。
強制採尿
裁判所から発付された強制採尿令状が執行されると、病院に連行され医師が尿道にカテーテルを挿入する方法で採尿を行います。もっとも、実際は強制採尿に至る前に任意で尿提出に応じることがほとんどのようです。
薬物事件は逮捕されることが多い
LSDをはじめとした薬物事件の場合、発覚すれば逮捕・勾留される可能性が高いです。薬物は処分が簡単な上、口裏合わせや隠蔽を行うことも容易であるためです。また、身柄を拘束されていない被疑者が再び薬物を使用するのを防ぐ意味もあります。
LSDの所持の嫌疑で逮捕・勾留された後、使用(施用)の嫌疑で再逮捕され、即座に再び勾留されることもあります。 通常、1回の逮捕・勾留であれば、起訴まで最大でも23日間の拘束ですが、逮捕勾留が繰り返されるとその分、拘束も長期化します。
また、LSDをはじめとした薬物は、逮捕された場合起訴される可能性も高い犯罪です。「令和2年版 犯罪白書」によれば、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで送検された場合の起訴率は56.6%となっています。
ただし、初犯である、所持量がごく微量だった、故意がない、等の情状がある場合においては、不起訴処分となる可能性があります。
LSDで逮捕・起訴されたらどうなる?
LSDの所持等による罰則は、いずれも懲役または懲役と罰金の併科のみとなっており、起訴された場合は裁判が開かれ、出廷する必要があります。当然、有罪となった場合は最低でも懲役刑となります。
ただし、営利目的ではなくLSDの所持のみで起訴され、かつ初犯の場合であれば、執行猶予付きの判決となる可能性が高くなります。
LSD事件においてはできるだけ早く弁護士に相談を
LSDをはじめとした薬物事件を起こした場合、その処分を少しでも軽くするためには、早期に弁護士へ相談することが重要です。
早期釈放・保釈を目指す
先に見たように、LSDをはじめとした薬物に関する犯罪は逮捕・勾留される可能性の高い犯罪です。 また、薬物犯罪では弁護士以外との面会が禁止されるケースもあり、弁護士のサポートは必要不可欠です。
また、早期釈放や保釈を得られるかどうかも大きなポイントです。早期釈放のためには、家族の協力なども得ながら、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを弁護士に伝えることが重要です。
また、同居人や恋人などが大麻・薬物で逮捕され、自分にも身に覚えのない嫌疑がかかっているという場合があります。そのような時は逃亡や証拠隠滅の恐れがないことや所持の事実がないことを弁護士を通じて主張し、逮捕の回避を目指します。
再犯防止の取り組みをしっかりと示し、不起訴・執行猶予を目指す
大麻・薬物は再犯率の高い犯罪です。厚生労働省のホームページ「大麻・薬物をめぐる現状」によると、平成28年度における検挙者に占める再犯者の割合は22.4%となっており、これは10年前の平成18年度に比べて2倍近い数字です。
またLSDなどの薬物事件には被害者がおらず、示談を締結することはできません。そのため、罪を少しでも軽くするためには、再犯防止のための取り組みをしっかりと行い、それを検察官や裁判官に示すことが必要となります。
具体的には、医療機関で治療を受け、「薬物のダルク」などの回復支援施設に入所して依存から回復するなどの取り組みを行います。弁護士や家族などと協力し、診断書やサポート体制などを証拠として提出することで、再犯防止の取り組みを明示するのです。
そうした活動を適切に行うためにも、早期に弁護士に弁護士への相談を行うようにしましょう。