賭け麻雀や野球賭博などで逮捕されたというニュースを耳にしたことがあると思います。これらの行為は賭博罪で処罰される可能性があります。
もっとも、すべての賭博行為が処罰されるわけではありません。この記事では、賭博罪の成立要件や刑罰をわかりやすく解説します。
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目次
賭博罪と刑罰を解説
賭博罪が処罰される理由
そもそも賭博罪はなぜ処罰されるのでしょうか。自分のお金を自由に使って損失を被るだけなのだから処罰する必要はないようにも思えます。
判例(最大判昭和25年11月22日)は、賭博罪が処罰される理由を次のように説明しています。
- 国民一般の健全な勤労観念を害する
- 賭博行為は、暴行、脅迫、殺人、傷害、強盗、窃盗その他の犯罪を誘発するおそれがある
特に問題となるのは、暴力団等が射幸心(偶然により思いがけない利益を得たいと期待する心)につけこんで悪質な賭博行為を行う場合です。
以上の理由から、実務上、形式的に賭博行為に該当する場合でも、そのすべてが処罰されるわけではありません。
暴力団が関与する賭博行為や、常習的で悪質な賭博行為は処罰される可能性が高いです。
単純賭博罪の成立要件・刑罰
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処せられます(刑法185条本文)。
「賭博」の内容については後程詳しく解説します。
常習賭博罪の成立要件・刑罰
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処せられます(刑法186条1項)。
常習者とは、反復継続して賭博行為をする習癖のある者をいいます。
常習性を認定する際に考慮する事情
- 賭博行為の種類
- 賭けた金額
- 賭博の前科
賭博開帳図利罪の成立要件・刑罰
賭博場を開帳した者は、3月以上5年以下の懲役に処せられます(刑法186条2項)。
開帳とは、自ら主宰者となり、その支配下に賭博の場所を開設することをいいます。違法カジノ店を運営すると同罪で処罰される可能性があります。
賭博罪の処罰の重さに影響する事情
賭博罪の起訴・不起訴や刑罰の重さを決める際、以下の事情が考慮されます。
賭博罪の処罰の重さに影響する事情
- 賭けた金額
- 実際に利得した額
- 賭博で得た利得の使途
- 賭客の数
- 賭博行為の期間
- 賭博の前科や前歴
- 暴力団の関与の有無
賭博罪に該当する可能性があるもの
「賭博」とは、偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為をいいます。
よく違法賭博として、ニュースなどで話題となるのは野球賭博や闇カジノでしょう。もっともそれ以外にも、偶然の勝敗に金銭をかけているものであれば賭博罪に該当する可能性があります。
①賭け囲碁、賭け将棋
当事者の技量によって結果が変わるものであっても、偶然性の要素もゼロではありません。したがって、囲碁や将棋に賭けた場合も賭博罪が成立する可能性があります。
②賭け麻雀
賭け麻雀はレートがいくらであろうと法律的には賭博罪に該当します。
もっとも、実務上、賭け麻雀がすべて処罰されているわけではありません。高レートであったり、賭け麻雀を助長する宣伝行為等を伴うと処罰される可能性は高まるでしょう。
また、賭博に参加した者の属性によっても検挙の可能性は変わります。
過去には、元東京高検検事長だった人物が在職中に賭け麻雀をしていたことが問題になりました。このケースでは、1000点を100円に換算する「テンピン」のレートを採用していました。検察は一度は不起訴処分にしたものの、検察審査会の起訴相当の議決を受け略式起訴しました。結果的に罰金20万円で処罰されました。
③オンラインカジノ
インターネット上で行うカジノ(オンラインカジノ)は多種多様ですべてが賭博罪で処罰されるわけではありません。
ここでは、ゲーム店に設置したパソコンを使用して、インターネットを介し、オンラインカジノ運営会社からオンラインゲームの配信を受け、同店舗内に設置したパソコンを使用して,客にそのゲームを行わせていた行為が賭博に該当すると判断された裁判例(東京高判平成18年11月28日)をご紹介します。
この事例では、以下のようなルールの下でゲームが行われていました。
- 客は、店からゲームを行うために必要なポイントを1ポイントにつき100円で取得する
- 客は、ゲームの結果にポイントを賭け、賭けに勝った場合はポイントを取得しこれに見合う金員を店から取得する
- 客が賭けに負けた場合はポイントを失って、店がそれに見合う金員を取得する
裁判所は、店と客が「現金の得喪」を争っていたことになり、賭博に該当することは明らかであると判断しました。
賭博罪に該当しないもの
①競馬、競輪などの公営ギャンブル
公営ギャンブルは、それぞれ特別法によって合法とされているため賭博罪に該当しません。
②パチンコ
パチンコ店は風営法上の許可を得て営業しています。風営法では、パチンコ店が客に現金を提供することを禁止しています(風営法23条1項1号)イカサマ提供すると賭博罪に該当するからです。
そこで、パチンコ店は、出玉に応じて特殊景品を提供しています。客は特殊景品を景品交換所で現金と交換します。景品交換所は問屋に景品を売却します。このような三店方式により、パチンコは賭博行為に該当しないと考えられているのです。
③詐欺(イカサマ)賭博
賭博罪が成立するには、当事者双方にとって偶然である必要があります。したがって、イカサマのような詐欺賭博の場合、賭博罪の成立は否定されます。だました側に詐欺罪のみ成立し、客に賭博罪は成立しません(最判昭和26年5月8日)。
④第三者が資金提供する賞金制大会
賭博罪が成立するには、当事者同士で「利益の得喪を争う関係」が必要です。したがって、スポンサーなど第三者が賞金や賞品を用意する大会であれば賭博罪には該当しません。
もっとも、内容によって景品表示法や風営法など他の法律に違反する可能性もあります。大会主催者は事前に専門家の十分な助言を受けるよう注意してください。
一時の娯楽は賭博罪に該当しない
「一時の娯楽に供する物」を賭けた場合、賭博罪は成立しません(刑法185条ただし書)。
「一時の娯楽に供する物」に当たるかどうかのポイントは2つです。一つ目は価格が安いこと。二つ目はすぐに費消される物であることです。具体的には、その場ですぐに飲食する菓子や飲み物が該当します。
では、金銭も少額であれば賭博罪に該当しないのでしょうか?
判例は、金銭について、その性質上「一時の娯楽に供する物」に該当しないとしています(大判昭和4年2月18日)。つまり、少額であっても金銭を賭けた以上、形式的には賭博罪に該当するという意味です。
もっとも、実務上は現金であっても菓子代や飲食代金程度の賭けであれば賭博罪で処罰される可能性は低いです。
賭博罪の捜査の流れ
賭博罪は一斉摘発による現行犯逮捕の可能性あり
賭博罪では、警察が賭博店を一斉摘発して現行犯逮捕するケースが少なくありません。
賭博は密室で行われるので、現行犯逮捕しない限り客観的証拠を押さえるのが困難だからです。一斉摘発の結果、その場にいた客も現行犯逮捕される可能性があります。
賭博罪で逮捕後の流れ
賭博罪で逮捕されると警察署に連行され、逮捕後48時間以内に検察官に送致されます。検察官が起訴・不起訴を決定するまで、逮捕から最長23日間拘束されます。
逮捕後は警察や検察の取り調べを受けます。取り調べで不利な供述を防ぐには、できる限り早く弁護士のアドバイスを受ける必要があります。早期にアドバイスを受ければ、早期釈放や不起訴処分にもつながります。
一刻も早い弁護士接見をご希望の方は、逮捕直後から接見可能な私選弁護士がおすすめです。
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・逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説
賭博罪で弁護士に依頼するメリット
不起訴処分獲得
弁護士は、ご依頼者様から十分に事情を聴き取った上で、不起訴処分を獲得するための主張を行います。
例えば、「仲間内での少額の賭博行為で違法性が低い」「一時の娯楽に供する物を賭けたにすぎない」と検察官に主張します。検察側の証拠を精査し立証が不十分であると主張するケースもあります。
弁護士は、書面の提出だけでなく検察官に直接面談して不起訴処分にすべき理由を説得的に主張します。
早期釈放の実現
弁護士への依頼で早期釈放を実現し、仕事や私生活への影響を最小限に食い止めることが期待できます。
具体的には、弁護士は、同居家族による身元引受書等を提出し逃亡のおそれがないことを主張します。
また、適切な取り調べアドバイスによって逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示します。
刑の軽減
不起訴処分に向けた弁護活動は刑の軽減にもつながります。
さらに、弁護士は家族に今後の監督を誓約してもらうなど、再犯防止の環境づくりにも尽力します。罪を認める場合、ご本人の反省の気持ちが裁判官にしっかり伝わるよう何度も打合せを行います。
これらの弁護活動の結果、略式起訴による罰金刑や執行猶予つき判決など刑の軽減が期待できます。
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