
警察の少年課から呼び出しを受けたご本人や、その保護者の方へ。
突然、警察の「少年課」から電話がかかってきて「警察署に来てください」と呼び出しを受けたら、ご本人も保護者の方も驚き、不安になると思います。
「何を聞かれるの?」「親も立ち会えるの?」「子どもに前科がつくのでは…」と心配になるのも、無理はありません。
この記事では、警察の少年課から呼び出しを受けたときに知っておきたい基本的な情報を、わかりやすく解説します。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
警察の少年課とは? 呼び出しの理由は?
警察の少年課とはどんな部署?
警察の「少年課」は、未成年(20歳未満)の少年に関する問題を専門に取り扱う部署です。
警察の少年課の主な業務は、以下のようなものです。
警察の少年課の業務
- 少年の犯罪に関する調査や取り調べ
- 喫煙や深夜徘徊などの補導活動
- 学校・地域からの相談対応
- 少年の非行を未然に防ぐ指導や支援 など
警察の少年課は、ただ単に「犯罪者を扱う」部署ではなく、未成年の行動や環境に配慮しながら、将来の更生に向けた対応を行う部署です。
警察の少年課から呼び出しがあったからといって、「すぐに逮捕される」「重大な罪で処罰される」ということではありません。まずは落ち着いて対応しましょう。
警察の少年課から呼び出しがある理由は?
警察の少年課から呼び出される理由はさまざまです。よくあるケースを以下にまとめました。
よくある呼び出しの理由
呼び出しの理由 | 具体例 |
---|---|
補導(非行防止目的の指導) | ・夜間の外出、喫煙等が警察に見つかった場合 |
目撃者に通報された | ・痴漢の目撃者が、少年の事件を通報した場合 |
目撃者として事情聴取したい | ・事件の目撃者として、話を聞かれる場合 |
被害届が出された | ・万引きした店に、被害届を出された場合 |
被害届を出した | ・被害者として、被害届を出した場合 |
このように、呼び出しには「犯人として取り調べるため」以外にも、指導目的や事実確認のものも多くあります。
刑事事件に関わる可能性がある場合でも、呼び出しの時点で、「逮捕」や「前科」が確定しているわけではありません。
まずは事情聴取を受けることになります。
警察の少年課から呼び出しがあったときの対応は?
落ち着いて電話対応、事実確認などする
警察の少年課から連絡が来たときは、慌てず、まず次の点を確認してください。
電話で確認しておきたいこと
- 呼び出しの理由
- 子どもに対する疑いの内容は何か(非行、証人、被害者、加害者なのか)
- 呼び出し日時と場所、所要時間の目安
必要に応じて、警察に「何を準備していけばよいか」も確認しておくと安心です。
また、弁護士に相談すべきケースも多いです。適切な弁護活動を実施してもらうためにも、まずは落ち着いて電話対応をおこない、しっかり事実確認することが大切です。
警察の少年課からの呼び出しには、保護者が付き添うことが望ましい場合も多いです。警察から提案された呼び出し日時について、都合が悪い場合は、スケジュール調整の交渉ができるケースもあります。
警察から呼び出し後、すぐに弁護士相談
警察の少年課から呼び出しがあっても、その重大性に気づかないケースも多いです。
いつの間にか少年審判の数日前になってしまい、急いでご相談にいらっしゃる方もいます。
少年審判は、それまでにおこなわれた警察の取り調べ、調査官の調査結果などをもとに、少年の処分を決める手続きです。
少年審判の当日の対応も大切ですが、事前準備も非常に重要です。
少年事件に強い弁護士に相談すれば、少年審判までにすべきことが分かります。
少年審判までにすべきことの例
- 内省を深める
・事件の原因、自分の課題、克服の方法を考える - 更生のための環境調整
・保護者が少年と向き合い、事件の原因や少年のためにできることを考える
・学校や職場に復帰できるよう、関係各所と調整をおこなう - 示談を進める
・被害者への謝罪、賠償、示談書の作成
など
少年審判までにすべきことは沢山あります。
警察の少年課から呼び出しがあったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
少年の取り調べに親は立ち会える?弁護士も呼べる?
法律では、少年事件の取り調べについて、子どもの人権に十分に配慮するよう規定されています。
しかし、実務上、厳しい取り調べがおこなわれることも多いです。
そこで、弁護士に助言を求めて、適切な取り調べ対応ができるように備える必要があります。
少年事件の取り調べを乗り越えるために、少年がとれる手段には、以下のようなものがあります。
少年が取り調べ時にとれる手段(例)
- 保護者の立会い(ただし、案件や判断によって制限される)
- 弁護人を選任(憲法34条、同37条2項)
- 弁護士の同席(要手配。事案による)
- 黙秘(憲法38条1項、刑事訴訟法198条2項)
- 供述調書の氏名押印を拒否(刑事訴訟法198条5項)
など
「どこまで話せばいいのか」「黙っていてもいいのか」と不安なときは、事前に弁護士に相談しておくと良いでしょう。
警察の少年課から呼び出しがあると、前科がつくの?
警察の呼び出しだけで、前科はつかない
前科とは、刑事裁判で有罪が確定した履歴をいいます。
「警察に呼ばれた=前科がつく」という誤解がありますが、実際には、そう単純ではありません。
呼び出し後の一般的な流れ
- 警察での事情聴取や取り調べ
- 必要に応じて児童相談所や家庭裁判所へ送致
- 家庭裁判所での審判(非公開)
- 保護処分の実施
- 保護観察(再発防止のための指導措置)や少年院送致など
未成年者については、少年法により「更生を目的とした対応」が重視されており、多くの場合、「刑罰」ではなく「保護処分」が決定し、事件終結となります。
警察の少年課から呼び出された後、少年審判に移行した場合でも、保護処分であれば「前科」はつきません。
警察の呼び出し後、前科がつく場合
少年審判で検察官送致(逆送)が決定し、その後、起訴され、裁判で有罪が確定したら、前科がつきます。
検察官送致(逆送)とは?
重大事件や再発を繰り返している場合などは、厳しい措置がとられます。つまり、「保護処分」では済まされず、「検察官送致」(逆送)になる可能性があります。
検察官送致(逆送)とは、検察官に事件が送られ、検察官の起訴・不起訴の判断をあおぐ処分のことです。
検察官送致(逆送)は起訴の可能性が高い
検察官送致(逆送)された後は、起訴される可能性が高いです。
2023(令和5)年 逆送後の起訴・不起訴等の割合
人数 | ||
---|---|---|
起訴 | 1,511人 | 98.1% |
家庭裁判所に再送致 | 10人 | 0.6% |
不起訴・中止 | 20人 | 1.3% |
総数 | 1,541人 |
『令和6年版 犯罪白書』 第3編/第3章/第2節/1「3-3-2-1表 逆送事件 検察庁処理人員(罪名別、処理区分別)」より一部抜粋のうえ編集しました。
起訴された事件は有罪になる可能性が高い

起訴されたら、刑事裁判になります。
日本の刑事裁判では、約99%が有罪になるといわれています。
2023(令和5)年 第一審判決の結論
人数 | ||
---|---|---|
有罪 | 44,310人 | 99.2% |
無罪 | 77人 | 0.2% |
免訴・公訴棄却・管轄違い・取り下げ | 人 | 0.6% |
総数 | 44,669人 |
『令和6年版 犯罪白書』第2編/第3章/第3節/1「2-3-3-1表 通常第一審における終局処理人員(罪名別、裁判内容別)」より一部抜粋のうえ編集しました。
前科は、裁判で有罪が確定することを指します。裁判で有罪が確定したら、少年でも前科がつきます。
警察の少年課から呼び出しを受けた時点で、早めに弁護士に相談し、今後の対応について専門的なアドバイスを受けることが重要です。
最後に:警察の少年課から呼び出しがあったら、一人で抱え込まず、専門家に相談を
まとめの一言
警察の少年課から呼び出しを受けたとき、少年・保護者は次のような対応を心がけましょう。
対応のポイント(例)
- まずは落ち着いて、電話で詳細を確認
- 呼び出しの背景・日時・場所・必要なものをメモする
- 子どもの立場(加害者・被害者・関係者)をできる限り確認する
- 保護者の同席が可能か確認し、できる場合は同行する
- 不安な場合や、事件性があると感じたら弁護士に相談する
警察の少年課から呼び出しを受けるのは、お子様ご自身も、保護者の方にとっても不安なことです。
しかし、早めに正しい情報を得て、適切な対応をすれば、問題の悪化を防ぐことができます。
特に取り調べや家庭裁判所への送致がある場合など、今後の進み方に影響を与える局面では、少年事件に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
アトム法律事務所は、2008年創業以来、刑事事件の弁護活動に注力しており、解決実績も豊富な弁護士集団です。
警察の少年課からの呼び出し、少年審判のお悩みなどは、少年事件に強いアトム法律事務所までご相談ください。
お子様が安心して更生できるよう、ご本人はもちろんのこと、親御様のサポートもいたします。
アトムの弁護士の解決事例(少年事件)
こちらでは、過去にアトム法律事務所が取り扱った少年事件について、プライバシーに配慮したかたちで、一部をご紹介します。
公然わいせつで少年課から電話(審判不開始)
大学生(20歳未満)が電車内で下半身を露出し、警察に逮捕された事件。警察の少年課から自宅に電話があり、今後の対応について、保護者がご相談にいらした。
少年審判歴あり。
弁護活動の成果
・早期釈放
受任後、ただちに裁判所と交渉し、逮捕後の勾留を阻止。早期釈放を実現。
・環境調整等
受任後から試験観察中、継続して、弁護士が、通院や環境調整をサポート。
示談の有無
目撃者の方との示談あり。
最終処分
不処分
盗撮で少年課から電話呼び出し(審判不開始)
男子高校生が、駅ビルの女子トイレに入り、個室内の女性を盗撮した事案。その後、被害者に見つかり逃走。後日、警察の少年課から呼び出しがあった。
余罪多数。
弁護活動の成果
・取り調べ対応
警察の少年課からの呼び出しに先立ち、取り調べへの対応についてアドバイス。
・学校への連絡阻止
裁判所に対して、早期に学校の通知書を提出し、学校への調査・連絡を控えるよう意見。結果、学校への事件発覚を阻止。
・環境調整等
少年の処分軽減のため、毎日日記をつけること、性的嗜好を治すためのクリニック治療など、内省を深めるために弁護士がサポート。
示談の有無
示談あり。
最終処分
審判不開始
アトムの弁護士の評判・依頼者の声
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
立ち直るきっかけを作ってくれてありがとうございました。

まず、夜中の遅くにでも電話対応してくださったことがありがたかったです。そのおかげでいろいろとスムーズに事を運べることができました。いつも親身になっていただき、そして、迅速に対応していただけたこと、大変感謝しております。本人も「立ち直るきっかけをつくっていただけたこと、本当にありがたく思っております。」と申しており、アトム法律事務所さんに出会えたことに感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。
弁護士さんの迅速な対応と言葉に励まされました。

早々に対応して下さり、ありがとうございました。弁護士さんの言葉に、とてもはげましを受けました。
アトムの弁護士相談:24時間予約受付中
アトム法律事務所では現在、24時間365日、弁護士相談のご予約を受付中です。
警察沙汰になった少年事件については、初回30分無料で弁護士相談を実施中です。
- 中学生の息子が警察に逮捕された
- 高校生の娘が少年審判を受けることになった
など
くわしくはお電話でオペレーターにおたずねください。