2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
- カッとなって人を殴ってしまった
- 酔っ払った勢いでつい殴ってしまった
人を殴ってしまった場合、暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。
喧嘩となり互いに手を出しているような場合でも、相手の怪我の状況などによっては、罰金刑や拘禁刑などが科されるケースがあります。
人を殴ってしまって暴行罪や傷害罪に該当する場合、被害者対応や警察対応が重要です。
事件後なるべく早い段階で弁護士に相談して、刑事処分の回避に向けて動き出しましょう。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
人を殴ってしまったら何罪?
人を殴ってしまった場合、暴行罪や傷害罪に問われる可能性があります。
暴行罪とは、他人に暴行を加える行為を罰する罪であり、傷害罪とは、他人の身体に傷害を与える行為を罰する罪です。
ここでは、暴行罪と傷害罪の構成要件や違いなどを解説します。ご自身がどちらの罪に問われるのか、確認していきましょう。
暴行罪の成立要件
暴行罪は、刑法208条に規定されており、人の身体に向けた不法な有形力の行使を行った場合に成立する罪です。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する
刑法208条
暴行罪の成立要件となる「有形力」とは、相手に対する物理的な力の行使を意味します。
殴る、蹴る、引っ張る、つかむ、押す、叩く、といった行為は、すべて有形力の行使に該当します。
その他にも、音や光などを利用して、体に物理的な接触をせずに相手に危害を加える行為も「有形力の行使」に含まれます。相手の耳元で大声をあげたり、楽器を鳴らしたりする行為が典型例です。
不法性
暴行罪が成立するためには、有形力の行使が「不法」であることが必要です。
「不法」とは、法律上許されていないことを指します。
正当防衛や緊急避難などの正当な理由があれば、暴行罪は成立しません。
故意
暴行罪が成立するためには、有形力の行使が「故意」に行われた必要があります。
「故意」とは、行為の違法性や結果の発生を認識し、それを認識しながら行うことを指します。例えば、相手を殴って傷つけてやろうと考えながら殴った場合などは、故意に有形力の行使をしたことになります。
傷害罪の成立要件
傷害罪の成立要件は、他人の身体に傷害を与える行為を行ったことです。
具体的には、他人を殴る、蹴る、突き飛ばす、または物を投げつけるなどの行為によって、他人に骨折、出血、内出血、打撲などの傷害を与えた場合に成立します。
人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
刑法204条
傷害罪の成立要件となる「傷害」とは、人の生理的機能を害することを指します。
例えば、骨折や打撲、内出血、出血、気絶、意識障害、精神疾患、感染症、などの状態を招く行為が、傷害罪に該当します。
実務上、極めて軽微な怪我(全治数日など)の場合は、傷害罪ではなく暴行罪として扱われるケースもありますが、基本的には怪我をさせた時点で傷害罪の対象となります。
暴行罪と傷害罪の刑罰
暴行罪と傷害罪の刑罰は、以下のとおりです。
暴行罪・傷害罪の刑罰
- 暴行罪:2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、拘留または科料
- 傷害罪:15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
暴行罪と傷害罪は、どちらも刑法の「暴行」に関する罪ですが、傷害罪の方が暴行罪よりも重い刑罰が科されます。
これは、傷害罪では、人の身体に傷害を与えることによって、被害者の健康や生活により重大な影響を与える可能性があるためです。
また、暴行罪と傷害罪は、怪我の有無によって区別されます。
しかし、被害者が怪我を負っていたとしても、怪我が軽微な場合などでは、傷害罪が成立しなかったり、傷害罪よりも軽い刑罰が科されたりすることがあります。
暴行罪と傷害罪の違い
| 暴行罪 | 傷害罪 | |
|---|---|---|
| 怪我 | なし | あり |
| 刑罰 | 2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金 又は拘留若しくは科料 | 15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
人を殴ってしまったらどうなる?
喧嘩になり人を殴ってしまった場合には、被害者から慰謝料請求を受けたり、逮捕されたりする可能性があります。
人を殴ってしまったら訴えられる?
人を殴ってしまった場合、被害者から訴えられる可能性があります。訴えられた場合、民事訴訟で損害賠償を請求されることになります。
損害賠償の対象となるのは、治療費や慰謝料などです。
慰謝料は、被害者の精神的苦痛を金銭的に評価したものです。慰謝料の額は、被害者の怪我の程度や、殴った理由などによって異なります。
互いに同程度の怪我を負った場合、過失相殺(お互いの落ち度を差し引くこと)により、結果として賠償額が大幅に減額されたり、相殺に近い形になったりすることがあります。
ただし、喧嘩であっても、一方的に暴力を振るった場合や、相手の怪我が重傷であった場合には、訴えられる可能性があります。
人を殴ってしまったら逮捕される?
人を殴ってしまった場合に逮捕されるかどうかは、状況によって異なります。例えば、相手から先に殴ってきた場合や、家族を守るために殴った場合などは、逮捕されない可能性があるでしょう。
人を殴ってしまった場合に逮捕されるかどうかは、弁護士に相談して確認することが重要です。
弁護士は法律の専門家として適切なアドバイスをすることができます。
喧嘩で人を殴ったら逮捕?
他人と喧嘩して殴ってしまった場合、逮捕される可能性があります。
逮捕とは、警察が犯罪を犯した疑いがあり、証拠隠滅や逃亡のおそれのある人を拘束する行為です。
人を殴った場合に逮捕される可能性が高いのは、相手が自分よりも重度な傷害を負った場合です。通常、大人同士が殴り合った事件であれば喧嘩両成敗として、逮捕されることは珍しいといえます。
しかし、殴った相手に手術が必要な程度の怪我を負わせたり入院させたりした場合には、逃亡の恐れありとみなされて逮捕につながるケースがあるのです。

家族同士で人を殴ったら逮捕?
DVや兄弟喧嘩などが、家族間での暴行傷害の代表例です。
家族間の喧嘩や暴行などは、他人同士の事件と比べて、逮捕される可能性は低いといえます。
家族間であるため、話し合いで解決するよう警察が促すケースや、被害者の処罰感情がそもそも強くないというケースもあるでしょう。
しかし、日常的に暴力を振るわれているDVのケースや、命に関わるような大きな怪我をしてしまったケースなどでは、逮捕される可能性が出てくるでしょう。
正当防衛で人を殴ったら逮捕?
正当防衛が成立すれば、原則として処罰されません。正当防衛が成立する場合、暴行罪や傷害罪は成立しないからです。
正当防衛とは、急迫不正の侵害に対して防衛の意思を持ってやむを得ずにした行為が正当と認められる場合をいいます(刑法36条1項)。
正当防衛が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。
正当防衛が成立するための要件
- 急迫性
先制攻撃をすると正当防衛として認められない - 不正の侵害
相手が積極的に違法行為をしていなければ正当防衛として認められない - 防衛の意思
防衛に名を借りて積極的に攻撃すると正当防衛として認められない - やむを得ずした行為
必要性や相当性のない反撃をしたら正当防衛として認められない
正当防衛が成立するか否かは、具体的な状況に応じて判断されます。
なお、正当防衛が成立する場合であっても、警察から事情聴取を受ける可能性があります。正当防衛が認められる成立要件について詳しくは『正当防衛が成立する要件や過剰防衛との違いを解説!どこまで正当防衛?』の記事をご覧ください。
人を殴ってしまったら起訴される?
人を殴ってしまった場合、起訴される可能性があります。
起訴とは、検察官が被告人を裁判にかけることを決定する手続きです。起訴されて刑事裁判で有罪判決を受けた場合、懲役や罰金などの刑罰が科せられます。
喧嘩の事案で起訴されるケースは珍しいといえますが、同種前科が数多くある場合や、被害者が死亡していたり障害が残っていたりする場合には、刑事裁判まで発展する可能性があるでしょう。
人を殴ってしまったらどうすればいい?
暴行罪や傷害罪を起こしてしまった場合は、すぐに弁護士に相談してください。
弁護士は、被害者との示談交渉を代行したり、警察や検察など捜査機関による取り調べを対策したりして、刑事処分を回避するためのサポートを行うことができます。

弁護士に相談して被害者との示談交渉を進める
殴ってしまった相手と示談を締結したい場合には、弁護士に交渉を代行してもらうのが一般的です。
警察に発覚していない段階であれば、当事者同士でトラブルを解決することで、刑事事件化を防ぐことができます。
また、警察が介入した後の段階であったとしても、示談を締結できていれば、不起訴処分などの軽い処分で事件が終了し、前科を回避できる可能性が高まるでしょう。

暴行や傷害の被害者は、加害者に対する恐怖心が強くなりやすいため、事件後に謝罪したり示談を持ち掛けたりするのは適切ではないケースが多いです。
もし仮に面会できたとしても、相手側の怒りが強い状態であれば、冷静に話し合うことは困難になるでしょう。
刑事事件の示談解決の実績が豊富な弁護士であれば、スムーズな示談交渉を行い、不備のない示談を成立させられる可能性が高まります。
弁護士に相談して取り調べ対策を行う
人を殴ってしまった事件で、逮捕されていない段階であれば、警察の取り調べ前に弁護士に相談してください。
取り調べでは供述調書が作成されるため、警察の質問に対してどのように回答するかが非常に重要です。
警察の誘導通りに答えてしまった場合、加害者の刑事処分にとって不利な証拠となってしまうことがあるため、取り調べは冷静かつ慎重な対応が求められます。
黙秘すべき内容や、正直に話すべき内容など、刑事事件における最適な対応は、弁護士でなければ判断が困難でしょう。
逮捕されたら接見を依頼する
ご家族が喧嘩やトラブルに巻き込まれ、人を殴って逮捕されてしまった場合には、警察署などに留置され、取り調べを受けることになります。
いきなり逮捕されてしまった場合には、パニック状態になっていることが多く、取り調べで警察官と適切なやり取りをできる人は少ないです。
家族が人を殴って逮捕されてしまうと、弁護士でなければ面会が許可されないことが一般的です。
本人から事件についての話を聞いたり伝言を送ったりしたい場合には、弁護士を留置施設まで派遣する初回接見が効果的です。
接見に向かう弁護士は、家族や友人からの伝言や今後の警察対応に関するアドバイスなどを行い、逮捕されたご本人をサポートします。
弁護士に相談して自首する
酔っ払った勢いで知らない人と喧嘩になり、殴ってしまった場合には、相手の連絡先や個人情報などが分からないケースもあるでしょう。
謝罪することも示談することもできず、いつ被害届が出されるか不安になっている場合には、自首することも一つの手段です。
弁護士相談の際に、ご自身の事件で自首が有効かどうか確認してみてください。

人を殴ってしまった場合に不起訴となるためには
被害者と示談交渉
人を殴って暴行罪や傷害罪で逮捕された場合、被害者との示談は、不起訴処分を獲得するための最も重要なポイントです。
被害者が加害者に対して許しの気持ちを持つことができれば、検察官も起訴する必要性がなくなるためです。
示談交渉は、弁護士に依頼して行うことをおすすめします。弁護士は被害者の意向を把握し、適切な示談条件を提示することができます。
また、示談交渉がまとまらない場合でも、裁判で争うための準備を進めることができます。
示談交渉では、被害者の被害状況や加害者の反省態度を踏まえた条件を提示することが大切です。被害者の損害を賠償することも重要です。
反省態度や更生意欲を訴える
検察官は、加害者の反省態度や更生意欲も不起訴処分の判断材料とします。
加害者が事件を深く反省し、今後は二度と犯行を繰り返さないことを誓うことが大切です。
具体的には、以下のようなことを検察官に伝えましょう。
- 犯行を深く反省していること
- 被害者に謝罪していること
- 更生のために努力していること
相手に非がある場合は捜査機関に交渉
喧嘩相手に非がある場合は、捜査機関に交渉して不起訴処分を求めることもできます。
例えば、被害者から一方的に暴行を受けた場合や、被害者が自分を殴るよう挑発してきた場合などは、相手に非があることを検察官に認めてもらうことができます。
ただし、相手に非がある場合でも、被告人の反省態度や更生意欲が重要であることに変わりはありません。
人を殴ってしまった際のよくある質問
Q.相手に怪我をさせていなくても、警察に逮捕されますか?
怪我がなくても「暴行罪」として逮捕される可能性はあります。
胸ぐらを掴む、突き飛ばす、服を引っ張るといった行為だけでも暴行罪は成立します。現行犯逮捕されなかった場合でも、後日、防犯カメラの映像や目撃証言から警察が自宅にやってくる「後日逮捕」のリスクは残ります。
早急に示談交渉を開始することが、逮捕回避の最も有効な手段です。
Q.会社にバレずに解決することは可能ですか?
逮捕・勾留(身柄拘束)を避けることができれば、会社に知られる可能性は極めて低くなります。
警察に逮捕され、そのまま長期間拘束されると、無断欠勤が続くことで職場に発覚するケースがほとんどです。弁護士が介入し、被害者と早期に示談を成立させて「被害届を取り下げ」または「不起訴処分」を得ることができれば、職場に知られることなく事件を終結させることが可能です。
Q.示談金がどうしても払えない場合はどうなりますか?
分割払いの交渉や、親族からの借入などを検討する必要があります。
示談が成立しない場合、検察官に「反省していない」と判断され、起訴(裁判)されるリスクが高まります。起訴されて罰金刑や拘禁刑が確定すると、一生消えない「前科」がつきます。
弁護士であれば、あなたの経済状況に合わせて、被害者側と現実的な支払い方法(分割払い等)を交渉できる場合があります。
人を殴ってしまったら弁護士に相談を
ついカッとなって人を殴ってしまったケースは、弁護士に相談することをおすすめします。
相互に暴力があった事案でも、怪我の程度、経緯、悪質性、前歴、逃亡や証拠隠滅のおそれ等により、逮捕・勾留に至る場合があります。
事件直後は何でもないと思っていても、被害者が診断書や被害届を警察に提出していて、いつの間にか自分が加害者になっているケースもあるものです。
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